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なんだか全然、上手くいかないなあ。
おかしくない?私は特別なのにい…。
だって平民として地味に暮らしていた娘が実は貴族の娘で、ある日父親が迎えに来て貴族の仲間入りって…まるで物語みたいじゃない!
でも男爵家ねー…公爵家とか王族が良かったけど。確か今王女様っていないはずだから、急に現れた私に国民も王子様達も夢中になっちゃうの!でもまあこれはこれでいいわ。
うふふ、確かそんなお話もあったわよね。地位の低い女の子が、高位の人達をメロメロにしちゃうお話!
王子様やお貴族様はー、いっつも周りが自分に対して一線引いているのが嫌なのよね。
地位とかお金とか顔とか抜きにして、本当の自分自身を見てくれる…そんな女の子を待っているのよ!
その役目は私にこそ相応しいよね?貴族のお嬢様みたいにケバケバでハデハデじゃないし、素朴で癒されるってパパも言ってたし!
でも実際そうよね、同じ人間なのに、地位が違うから話も出来ないっておかしいわよね。
しかも名前で呼ぶことも駄目なんて、変よね。仲良くしたいんだから名前で呼びたいのよ、間違ってないわよね。
パパに寄宿学校の話を聞いた時は、すぐに編入を決めたわ!王子様もいるっていうし。いつも周りに群がってる令嬢とは毛色の違う私に興味を持って、そこからメロメロになっちゃうのがよくある展開よね。
婚約者?関係無いわ。パパは私が学園に通うことを渋っていたけど…何がそんなに心配なの?
帰ってくる頃には私は高位貴族の夫人、それか王子妃になってるのに。パパも鼻が高いでしょ?
そしてパーティー会場で、早速見つけちゃった!
隣国の皇子様と、次期魔王の男性!魔王妃も素敵ね~。
(※次期候補としか言ってません)
なのに従者ごときが邪魔してきたわ。ふうん、中々格好良い男の子ね…もしも王子様達がダメだった場合、キープしておこうかしら?でもお金無さそうだし、ちょっとチヤホヤされるだけでいいや。
それにあの獣憑きの少年、あの子も可愛くて素敵!でも魔族の女と女従者は邪魔。
大体魔族だからって、何が偉いの?意味分かんない。どうせちょっと力が強いくらいでしょ、それに…何より私より可愛いのが腹立つわ。
でも着ているドレスは素敵!どこで売ってるのかしら?
色々話したかったのに…新入生に邪魔されたわ!
「何すんのよ!?」
「こちらの台詞ですわ!?」
「殿下方がお優しい方だから助かりましたわ…!」
ああ…この子達もガチガチの貴族の風習に染まっちゃってるのね。可哀想…。
皇子様達もいないし…もうここに用は無いわね。
あーあ、なんで皇子様達と同じ寮じゃないんだろ。つまんないなあ。
でもやっぱり私はヒロインなのよね!他にも格好良い高位貴族様とお近付きになれちゃったんだから!!
例えば~アシュレイ様!なんと!彼は私と同じで元々庶民だったんですって!!
それが才能を見出されて公爵家の養子になったって!すごいわ、顔が良くて才能があって地位もある!旦那様候補の筆頭ね!!
なのに…彼の側にはいっつもあの魔族の女がいるのよ!なんで!?そこは私の場所よ!!
彼の隣で笑うのは私なのに…!しかもアシュレイ様、私には無表情しか向けてくれないのに、あの女の前ではいっつも笑ってるのよ!!
…なーんて、ふふ!私には分かるわ、あれは愛想笑いね。
武に特化した家ほど魔族を崇拝してるって聞いたから、きっと家の事情で魔族に逆らえないのね…大丈夫、私がいつか救ってみせるわ!
それと~、アルバート様!弟のジェイド様も素敵だけど、アルバート様の方が私のタイプなのよね。
まージェイド様は、アルバート様がダメだった場合の保険にしておこうかしら。
なのにー…アルバート様婚約者がいるって!でもどっからどう見ても私の方が良くない?
あんな女、ちょっとスタイルが良くて美人なだけじゃない!どうせ性格最悪に決まってるわ。
高飛車で可愛げのない婚約者に愛想が尽きた彼を、私が優しく包んであげるの。最高のシナリオね。
仲睦まじそうにしてるけど…演技もしなきゃいけないなんて、王子様は大変ね。
あとディーデリック様!すっごい格好良い…顔だけだったらダントツで彼よね。しかもすっごく強いって言うし、私のことを守って欲しいな!
でも私魔国に行くのやっぱヤダなー。彼にはうちにお婿に来てもらおっと。
でも、ディーデリック様の周りにもあの魔族の女がウロチョロしてるのよねー。目障りだけど…今は我慢しなくっちゃ!
それにデメトリアス様。強引な俺様って良いわね~。私は追いかけるより追いかけられたいのよね~。
でも彼、自分の従者以外寄せ付けないのよね。でも偶然、秘密の特訓見ちゃった!!私も仲間に入れてもらって、毎日一緒に過ごすうちに2人の間に愛が芽生えるのよね…完璧だわ。
なのに、失敗しちゃった…あの女のせいで…!
しかもそれ以降、特訓場所変えちゃったみたいなのよね。どこ探してもいないわ、はあ…。
あと、侯爵家のヨハネス様。ちょっと地味だけどよく見ると美形!魔法もそこそこ出来るし、いいわよね。
チョロチョロしてる妹が邪魔だけどお…妹じゃ仕方ないわ。私が侯爵夫人になったら適当な家に嫁がせればいいし。
あと…ランス様。伯爵家なんかじゃ物足りないけどお…格好良い上に実家が服飾系の人気のベンガルド社なのよね!
奥さんになったら毎日素敵なドレスを沢山着れるわ、最高ね!
他にも何人かいるけど、目立ったところじゃこのくらいかしら?
そういえば剣術のトレイシー先生、大人の魅力が素敵…!でも庶民なのよねー、残念。…ちょっとくらい遊んでくれないかしら?
ふふふ、誰を選んでも私の未来は薔薇色ね!
第一候補はアシュレイ様、次にディーデリック様ってところかしら。
今はまだまだ知り合いレベルだけどお…これからよね!恋の障害になる女達も、いずれ軽く乗り越えちゃうんだから!
さーて、今日は誰のところに行こうかな?今日もこの市販のクッキーをラッピングし直して、手作りって言って渡そっと。
まだ受け取ってもらえてないけど、本当は受け取りたいのに周りの女どもが邪魔してるのよねー。
うふふ、うふふふふ!
貧乏な平民生活からおさらばして、お嬢様にはなったけど…もっともっと上を目指さないと!
綺麗なドレスにアクセサリー、そしてお金!ついでに素敵な旦那様!!
今日も、頑張っていくわよ!
「お前男性を地位と金と顔しか見てねえ筆頭じゃねーか!!!」byアシュリィ
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