09
今から魔法の授業だ。なんでも4年生から精鋭チーム・一般チームに別れるらしい。
ついでに言うと魔法学は選択授業なので、興味が無い人は他の芸術とかそっちに行く。私は当然魔法学!
どうやってチーム分けするかというと、とある上級魔導書を読むだけ。読めれば精鋭無理なら一般。当然私は精鋭!!
同じく精鋭にいるのはリリーとパリスとデメトリアスとティモ。魔法が苦手なアシュレイ、平均的なアイルとララ、ミーナにランスは一般。
ティモが精鋭なのが意外だったわ。剣術は参加してないから、弱いのかと思ってた。
「アレンシアは剣術は素晴らしいのに、魔法は苦手なんだな…。」
ふいにデメトリアスがそう呟いた。本当に、意外そうに。一体アシュレイのことをなんだと思ってるんだ…?
そんなんだから貴方は中途半端になるんだ。
アシュレイは剣術に特化してアルは魔法を極めようとしている。どっちも一番になりたいなんて…魔族でもなけりゃ無理だ。
その魔族の私やディードだって、魔国の中じゃ平均レベルだし。私は一応魔法は国でも最高ランクだけど…武術は平均以下くらい。周りは何百年も鍛錬してるような連中だし…。
「それでは皆さん、本日の授業を開始致します。
皆さん得意な魔法の傾向があるでしょうから、この魔導書の中からお選びください。最終的にあちらの巨岩を50センチ以上持ち上げることが本日の課題です。
すでにそういった魔法を習得されていれば、試験だけ受けてくださいね。」
なるほど。精霊を召喚して持ち上げてもらうとか、身体強化して自分で持ち上げるとか。方法はなんでもいいんだな。
そんじゃ簡単だ、私はとっとと試験を受けた。
「『
はい楽ちーん。岩の重さを500gほどにした。そんで持ち上げて、なんならお手玉も出来っぞ!
この魔法って生物相手には使えないけど、一応上級に分類されるんだよね。低級にも似たようなのはあるけど、効果は桁違いなのさ。いやー、生徒達の羨望の眼差しが眩しいわー。
「流石ですわね、ウラオノスさん。貴女はこの後どうしますか?」
「友人の手助けをするのは良いですか?」
「はい、もちろん大丈夫ですわ。」
先生にも許可を得て、リリー達の様子を見に行こう。昔は攻撃特化のお嬢様だったし…大丈夫かな?
「こう…風で持ち上げられないかしら?」
「いやー、あのクラスの岩を持ち上げるとなると、くっそデカい竜巻でもないと…校舎吹っ飛ばす気かな?」
「いいい言ってみただけよ!えーと、どうしようかしら…。」
本気だったくせに…リリーが暴走しないように見張っとこう。パリスはどうするの?
「ぼくは…この念動力を使おうと思います。」
おっいいね。要するに超能力。パリスは魔導書片手に練習を始めたが…私を持ち上げんのはやめようか?
その後リリーは地面を迫り上げることにしたようだ。それもアリらしい。
なんとなく…デメトリアスはどうしてるかなーと思った。そしたら…めっちゃ唸ってた。…リリー達は大丈夫そうだし…ちょっと見てくっか。
「どうしたの?」
「!!…なんでもない、気にするな。」
おおん?…いや、落ち着けアシュリィ、親切の押し売りは良くないぞ。彼が放っとけと言うならそうするさ。
「そ。じゃあ私は…ん?」
とっとと去ろうとしたら…ティモに袖を掴まれた。なんか言いたげだな。
「ティモ!余計なことをするんじゃない!」
デメトリアスにそう言われても、彼は首を横に振り手を離そうとしない。…仕方ない。
「…ティモはもう合格したの?」
首を横に振る。
「合格は出来そう?」
縦に振る。
「で…あの貴方の主人は合格出来そうなの?」
控えめに横に振る。
「ティモ!!」
うーん…それっぽい魔法を使えばいいだけじゃん。何てこずってるの?いくつか魔導書を見せてみた。
「この召喚でも念動力でも重力操作でも色々あるじゃない。何してるの?」
「……!!」
黙り込んでしまった…。
その時、ティモがなんか地面にこそこそ文字を書いてるのが見えた。デメトリアスにバレないようにそ~っと覗いたら…
【なるべく派手で、格好いい魔法を探しています】
…………それでは皆さんご一緒に。せーのっ
「ばーーーーーっか!!!!」
この皇子、発想が男子小学生…いや幼稚園児レベルである。
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