10

 29階の部屋の窓から街の灯りがみえている.

 部屋にもどると さっきまでの余韻が残っていて 楽しかったな とヨシタカはおもった.

 タックスから部屋着に着替えるとヨシタカはインフィニット10 にむかった.

 重力のみなもとを解こうとしている.

 ニアス星の重力方程式の解は事実を反映していない.

 それなのに誰もその意味を疑わないのが不思議なことだと彼はおもっていた.

 質量パラメータに問題があると考えるしかなく それは重力は質量に由来しないことを意味する.

 では何に由来するだろう.

 宇宙は1軸のバランスドールが外乱 叩かれて揺れながら元えかえるのと同じで 絶対的には全方位に つりあい バランス をとりながら絶対場にもどる現象といえる.

 たとえそれがどんなに複雑で怪奇なものであってさえも 絶対的にはそれだけでしかないとヨシタカは確信している.

 この絶対の姿から宇宙に現れる力の構造 その仕組みはどんな形であるだろうか?

 ヨシタカはひたすら心をまっすぐにして心に問いをおき耳を澄ます.

 宇宙はある極限のエネルギーで 全方位につりあいをとるとき その形は輪のようにとじて回るエネルギーとなる.

 絶対的には それしかなく入れ子のように原子分子の形をもち絶対的あるいは本質的には原子も分子もつりあいをとっているだけとゆうことになる.

 原子と分子の入れ子構造から押し測れば 原子を構成する陽子 電子 中性子のそれぞれも輪のようにめぐるエネルギーであり おそらくさらに極限 極小の輪のようにめぐるエネルギーが宇宙の絶対要素として存在することを示唆していると彼はおもうにいたった.

 では宇宙にあらわれる力は結局のところ遠心力と求心力すなわち引力と斥力につきた.

 きれいな円を描いてめぐっていれば力はあらわれない.

 遠心力 斥力は回転に歳差成分があるときあらわれ 求心力 引力は回転の軌道が蛇行して乱れがあるとき回転の内側にうずまき効果が生じるためにあらわれる.

 前の例は遊園地の乗り物でもよくわかるところだが 後の例は渦潮を想起すれば感じとることができるだろう.

 重力は後の例にあたる.

 それがヨシタカが心をまっすぐにして得た問いの答えだった.

 ニアス星にしても太陽にしても ある閉じたエネルギーが存在し 星の周りを巡りそのエネルギーのめぐる軌道は大きく乱れている.

 彼の考えによれば 軌道の乱れによるうずまき効果で生じる力こそ ニアス星や太陽系の重力だった.

 ニアス星で知られているバンアレン帯こそ軌道のもっとも乱れたところなのだと彼は確信していた.

 その輪のようにめぐるエネルギーを彼は波動と呼ぶことにした.

 彼は重力波動説によって重力物質由来説を完全に否定した.

 これによって重力を物質由来に想定した質量パラメータをもつ方程式は否定されることになる.

 ついでの宿題に彼は素粒子物理学えの懐疑についての答えに

「電子や陽子 中性子などの高エネルギー場である宇宙空間でのバランスとして生じたすなわち輪のように閉じたエネルギーは同じような高エネルギー場でなかれば壊れることはないでしょう 人がつくりだす加速器のエネルギー程度では壊れることはあり得ないし 泡箱などで電子の破片のように言っている素粒子なる物は素粒子ではないでしょう わたしは波動の入れ子構造から類推すれば極小の要素としての波動がある数がめぐっていて その数は想定される要素の極小度すなわちそのオーダーによりますが 概算ですが数百億くらいでしょう 数百億の要素が輪のようにとじて回っているものが電子や陽子 中性子なのだとゆうことです それに粒子の階層でのつりあいは強固に取られていて宇宙初期の高エネルギー空間でバランスのために ある決まった数が生成された粒子の数は 後で変わることがあってはならないのです」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うずまき銀河の惑星 ヤハタ クロウド @claudeyahata

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る