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ラビリアタワーの28階と29階にオーガニック附属の学校の寮がある.
このふたつのフロアは吹き抜けやホールなどが連関した設計になっていて 最高級のスウィートルームだけで構成されたホテルのような趣きがある
実際にこのふたつのフロアはヨシカタがゲストルームとしての使用を想定してデザインしたものだった.
ヤシマ ヨシタカは子供の頃からこのフロアのひと部屋を自身の部屋として暮らしてきた.
7才からオーガニックの附属の初等部 中等部と進み今年は16才で高等部の一年になる.
ヨシカタはいま大学の卒論にあたる論文をあるいは博士論文といってもいいようなものを書いている.
もっともヨシタカ自身は随筆くらいのつもりで書いていた.
寮の部屋すなわちヨシタカがずっと暮らしてきた部屋のリビング金を佩たきらびやかな特注の机の上にヨシタカがいつも使っているパソコンがのっている.
オーガニック電子製(実際はオーガニック先端技術研究所が設計してグリーン電子に企業取り引きで生産委託している)のインフィニット10 データバス アドレスバスともに64ビット 動作クロック27マン㎐ OSはメタロイドmarkIIでいま一番人気があるリーズナブルなハイエンドノートパソコンだ.
ヨシタカは打ち慣れたブラインドタッチで文章を書いている.
そのタイトルは
『絶対と相対の根源からの考察と証明』
ヨシタカはまず絶対であるものを想定しようと試みた.
観念概念としての絶対ではなく事実として絶対であるものはなにかをみつけだそうとした.
「問いの答えを求めるとき考えてはダメでした ただ心をまっすぐにして かたよりのない心になって静かに耳を澄ますようにして答えを聞くようにすると答えは自ずから現れるのです」
絶対とはただひとつであってふたつないものでなければならなかった.
結局それは宇宙の内にみいだすことはできなかった.
そこで彼は
「宇宙の内に絶対なるものはなくそこで宇宙が現れた場が存在するとゆう考えかたをすることにしました」
そして彼はこの場を『絶対場』と呼ぶことにした.
つぎに彼は
絶対場がいかなる場なのかを考察した.
「この場に限りをもたせることは自ずから無理があるでしょう そこで絶対場は果てのない無限の場であるとします」
すなわち
絶対場 = 無限場
とゆうことである.
「絶対場が果てのない無限の場と等価であるなら無限であることを考察することは絶対場を知るためのアプローチとなるとおもいます」
彼は無限であることを考察するにあたって公理証明的なアプローチを試み無限公理を導入することにした.
「いまここに無限公理とゆう公理があるとします これは この公理は公理としてなりたっていると仮定したものです」
(1)無限はまったく曲がりをもたない
「いま平面がありその平面に線があるとしてこの線にすこしでも曲がりがあるとこの線は閉じてしまうでしょう 円になってしまうとゆうことです すこしでも曲がりがあればどんなにゆるやかな曲がりでも円の半径が大きくなるだけです したがって無限であるなら曲がりはまったくないものでなければならないでしょう これは絶対場が真っ平な性質をもっていることをしめしています」
(2)無限は無形である
「無限は閉じることがないので円のような形をもつことはできない 反対に形をもつとゆうことは閉じて境をもっていなければならないとゆうことになります 言葉をかえれば閉じたものは有限であると言えるでしょう」
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