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 床も壁も柱も大理石で開放的な窓にはハーフミラーコートのガラスがひかっているラビリアタワーの7階に オーガニック音楽産業のトレーニングスタジオはある.

 30階のタワーだが床面積は広く600坪の本体に つけアトリウム部は300坪あり規模は大きい.

 アトリウムにはシースルーエレベーターやオープンの大階段など はなやかな演出をこらしてデザインされていた.

 超高級コンドミニアムとしては高層といえる.

 工期が早くなるように超高級でありながらコスト圧縮のため設計に合理的な工夫のすいをこらしている優れた建築として 名建築としての誉れがたかい.

 7階までテナントフロアで つけアトリウムが接続して エントランスホールをかたちづくる.

 アトリウムの天井は全天候型のテラスになっていて 中央部は明かりとりの天窓構造になっている.

 30階は展望フロアとラウンジで全天候の屋上空中庭園に階段でのぼれるようになっていて 空中庭園には美麗な塑像が展示され居住者は無料で利用できるしくみになっている.

 ヒカリは今日はじめて6階にあるオーガニック音楽産業のスタジオで指導を受ける.

 ヒカリと同期の女子は

 シライ カオリ

 シモト サヤカ

 サエキ マドカ

 の4人だった.

 指導者はヒカリたちの先輩で すでに歌手として名声のあるハナエ マイ18才である.

 18才ですでに数十億円のソフトの売り上げがある.

 ふたつ並んだドラムセットがありマイがドラムセットにつくと

「これからプログラムにそってさまざまなトレーニングをしていきますが ボーカルのトレーニングのまえにまず楽器の練習をしてもらいます ビートの感覚は音楽の基礎としてとても大事です ではヤシマさんから」

 ヒカリがもうひとつのドラムセットにつく.

「もっとも基本のリズム4ビートから わたしが打ったように打って これは簡単ね テンポは四分音符1分120でハイハットクローズ チッ チッ チッ チッ4回一拍と三拍キック二拍と四拍スネア はいつぎ おなじテンポで8ビートハイハット8回であとはおなじよ」

「ヒカリやるね」

「キックのシンコペーションのフレーズ三拍のキックを8分ずらして」

「マイさんすごい」

 マイはドラムからはじめて基本楽器のピアノ ギター ベースの音階練習コード楽器ではコードフォーム練習など各楽器の練習すべき課題を説明した.

 ここでもオーガニック教育工学システムが採用されているので常にマイが教えるわけではなく各自端末から学習プログラムによって自学自習する.

 端末はスタジオではおもにタブレットを使っている.

 ヒカリたちはすでに一般教科の学習では大学教養課程くらいの学習内容を理解していて数学はさらに進んでいて 線形代数やベクトル解析も理解でき線形一次の微分方程式の導出ができるまで進んでいた.

 ラビリアタワーの5階に研究所の附属学校の教室がある.

 小人数なので教室にはゆったりと大型のモニターと大型の机が配置されて 机の上にはキーボードや電子ペンタブレットなど入力の補助ツールがおかれている.

 自学自習システムなので教室に教師はいないが オンラインのテレビ電話でいつでも質問や必要な話しができるようになっている.

 この教育システムの基本はステップバイステップで視聴覚的な解説と課題の演習を繰り返し さらに各自が研究所の教育データベースを検索して課題をほりさげていくとゆう仕組みだった.

 教育データベースとは人類の知見のすべてを情報として 詳しい解説をつけて組織だてて整理したもので 研究所の事業として日々改訂をおこなっているとゆうものだ.

 29階にはオリジナルフードのレストランオーガニックVIPがある.

 このレストランは予約制の個室ラウンジのレストランで 附属学校の生徒は学校が確保している個室でいつでも好きなものを食べてかまわことになっている.

 ヒカリとカオリ サヤカにマドカの4人はいつもいっしょにVIPで食事をとっていた.

「ヒカリ 人口論の方程式の導出おわってる」サヤカが聞いた

「おわってるよ」

「食糧供給が潤沢ならってさ 人口論として意味がないと思わない」

「思う 食糧生産の限界で人口の最大値が決まるはずだとおもうから それを超えて人口は養えないでしょ」

「そうだよね 人口論ならまずニアス星の食糧生産の限界値を解くべきだよね」

「うん」

「そうだよね」マドカとカオリが声をそろえた.

「ねえ ねえ」マドカがいう

「ニアスの重力方程式の導出はできたんだけど方程式の解の物理的意味が解によればニアスの質量が一点に凝集していることを示しているって実際にはそんな現象が起きるわけないのにこれで重力方程式として正しいの」

「わたしもお兄さんに聞いたんだけど」ヒカリがいう

「ヨシタカ先輩?」マドカがたずねた

「うん 質量パラメータに問題があるんじゃないかって」

「どうゆうこと」カオリがきく

「重力を質量に由来することにしてたてた式だから重力は質量と関係しないのかもしれないってお兄さんがいってた」

「ワーイきたきた」

「ヤキスパはヒカリでしょ」

「わたし わたし」

「チキンボール」

「ハーイ」手をあげてカオリがいう

「カボチャのバーベキューセットはわたしで」サヤカがいう

「ハイ タラの焼き物ピーナッツおろしはマドカね」サヤカがマドカのまえにおきながらいった.

 この頃は4人でスタジオで練習することがおおい.

 楽器の練習だけでなく音楽理論 作曲編曲法 シーケンサーを使った作曲実習からボーカルトレーニング ダンスのレッスンまで日々はげんでいた.




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