-11.やくざの手口
※過激な描写が含まれています。ご注意ください。
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日曜日はそのまま会社に戻って美智子さんに報告した。
レコード出さないかと言われた話も伝えておいた。
名刺を渡したので、電話があるかもしれないので、その時はお願いしますといっておいた。
月曜日、朝から学校で例の顧客リストに該当している人物を探してみた。
するといた。2年生に3人、3年生5人。高校生36名のうち8人。
会いに行ってみるとごくごく普通に見えるが、鑑定すると覚せい剤中毒者と出ている。
恐らくだが、覚せい剤の成分を体内から抜くのはアイテムボックスの収納を使って覚せい剤の成分だけを収納と念じればできると思う。問題はその中毒性だ。
覚せい剤中毒者は再犯率がすごく高い。身近な快楽として選んでしまうようだ。
そこを何とかしないと、この人たちはダメになる。
俺たちはまず2年生をターゲットにして、身体から覚せい剤の成分を抜くとともに、ゾンビ映画の映像を学習させてみた。鑑定すると、覚せい剤を使い続けるとゾンビになるという刷り込みができたようだ。これでそうやすやすとは再び薬に手を出すことはないだろう。
続いて3年生にも同じことをした。
しかし、ここで思わぬことが鑑定結果に出た。
一人の鑑定結果に父親から覚せい剤を撃たれて、強姦されたという記述が出てきた。これはあかん。あかんやつや。
そのクラスの学生名簿を拝借して、住所を特定。
それを源蔵さんたちに知らせて、すぐに対処してもらうことにした。
そんな親は刑務所に入ってもらう方がいい。
しかし、受験生ということもあり、本人も麻薬中毒にさせられてしまっている。
どうすればいいのか。源蔵さんに調べてもらったら、どうやら奥さんも中毒患者らしい。この家庭はすでに終わってる。しかしせめて母親と高校生だけは生き延びる道を示せないか。すでにこの家庭で働いている人間はいない。親の財産を食いつぶしている状況だ。源蔵さんにもう少し詳しく調べてもらったら、どうやら父親が木本組のカジノに出入りしたことから、母親が相続した親の財産目当てに麻薬中毒に陥らせて、そこから家族にも覚せい剤を打つようになったようだ。
木本組はつぶした。あとはこのどうしようもない父親を何とかするしかない。
母親と娘だけでもこっちで引き取るか…。
例えば、まず家族全員身体から覚せい剤を抜いてゾンビの暗示をかける。
そのしっかりした意識の状態で、源蔵さんと由香里さんが母親と娘を説得。
そのあとに母と子を転居させて父親を孤立させる。
更生すればよし、更生しなければ証拠をそろえて、警察に逮捕に向かうように密告する。
ああ…。誰一人幸せになれないじゃんか。
俺はとりあえず、その子のことを保留にして、不動産屋に行き、33階を全室購入した。豪運に感謝だ。33階も12室あり、若干安く1,100万円で一室を購入できた。〆て1億3千2百万円だった。
隔離施設を作ろうと考えたのだ。このケースはまだまだこれから出てくる予感がしたのだ。やくざが考えた手口だ。他でも使ってると思う。
俺は会社に戻り、カアサンズとトウサンズに相談した。
33階のフロアを買い取ったことも話した。
「どう言う手を打っても、誰もこのままじゃ幸せになれない気がするんです。」
「うん、そうだね。でものり君の考えた方法はいいんじゃない?まず母親と父親を離婚させるのよ。強引にでもね。そして母親と娘はこのマンションに移して、マジカル・ワールドに入社させればいいのよ。父親がその後更生するかどうかはもうほっておきましょう。だって娘に覚せい剤を打って強姦するような父親はまともじゃないし、一緒に暮らせないもの。問題は娘さんよね。強姦されたこと母親にも知られてないかもしれないしね。そのあたりはどうだったの?」
順子さんの問いに源蔵さんが答える。
「確かに母親は知らないね。」
「父親は離婚に応じるかしら?」
と、順子さん。母子家庭だけあって離婚問題には切実なものがあるんだろうな。
「そこはウイザーズの出番かもね。」
俺はそう言った。
その夜計画は実行に移された。
俺たちは高校の後輩ということで、先輩に会いに行くことにした。
その先輩、日吉真子をまず説得することから始めようと考えた。
身体から覚せい剤を抜いたのは俺たちだと告白し、このままだと悪くなる一方だと話をした。日吉先輩はかなり情緒不安定になっていた。
そりゃそうか。むしろ今までよく精神が持ってたよな。…そうか、覚せい剤で麻痺させられてたのか。
俺は母親の雅子さんと一緒にマンションの3301号室まで連れだした。
当分ここに住んでいいことを伝えた。
その上で3501に連れて行き、マジカル・ワールドのメンバーをざっと紹介して、俺の秘密を話した。
この力を使って今この町で起こっている事件は俺たちが起こしたことも話した。その一環で高校生や中学生にも中毒者がいることを突き止め、俺の鑑定の力で、特定して、身体から覚せい剤を抜いた。しかし、その鑑定する過程で、あかりさんの家の状況がわかり、このままでは全員不幸になると思い、大きなお世話になるかもしれないとは思いつつも今ここに連れてきたと話をした。
あかり先輩の秘密もその時に母親は聞かされ、娘と抱き合って号泣した。
ごめんね、ごめんねとずっと謝っていた。
今更謝ってもどうにもならないよね。
泣き止んだ頃を見計らって、将来幸せになるためのプランを説明した。
まず離婚しましょうと順子さんが切り出してくれた。
自分の娘に覚せい剤を打って強姦するような父親はすでに人をやめてる。
これから先、一緒に暮らす事さえ無理だろう。
まずは私たちが間に入って、離婚交渉をする。向こうに引け目はあるだろうから、強引にでも離婚届に判を押させる。その上でお母さんも娘さんもマジカル・ワールドで働いてもらう。
ある程度お金を増やすので、それをもって改めて引っ越してやり直すか、そのままここで私たちと働くかを選んでください。
順子さんはそう言って説得に成功したのだ。
そこからの俺たちの動きは速かった。
日吉先輩の父親英雄さんと対面し、どれだけ鬼畜の所業をしていたかをわからせて、無事離婚届に判を押させた。
話をしている最中に俺がブチ切れて、ぶんなぐってしまった。
言うに事欠いてこのおっさん
「しゃぶに手を出そうが、娘抱こうがわしの勝手じゃ。」
と言い出した。
「じゃあ俺がおっさんのこと気に入らないからって殴り続けても俺の勝手でいいんだな。」
としばらく殴り続けたからだ。
一部始終ビデオに収めていたのでみんなにその所業がばれてしまったが、誰にも怒られなかった。
今まで住んでいた家もお母さんの名義だったらしく、結婚した時からすでにお母さんの実家の遺産が目当てだということは明確になった。
家はそのまま置いておくのもつらいだろうから、呉竹不動産と話をして、2,000万円で売ってもらった。
そのお金でマンションの部屋を購入。
無事引っ越しも完了させました。
先輩は高校に行くのが嫌になったようで、高校を中退。
俺たちが夏休みには高校卒業検定を受けるというと、秋にある検定を受けることになった。
俺たちと一緒に活動するうちに元気になればいいなと今は思っている。
人間やめますか?覚せい剤やめますか?
は、真理だと思う。
日吉親子にラーニングで学習してもらい、グループにも入ってもらった。
もちろんスポーツジムの会員証も渡してある。
しばらくはちゃんとご飯食べて、体動かして、普通の生活ができるようにリハビリしないとね。
俺たちが助け出したときはがりがりで見ていられなかったほどだ。
こういう人たちがほかにもいるかもしれない。
俺たちは他の高校にも伝を探しながら情報を集約していった。
中学の情報は美香中心に、美香のバンドメンバーも協力してくれて探していった。
美香の中学には幸い中毒者はいなかった。
美香が一人一人全校生徒を確認していったそうだ。
しかし学校の中には二人の中毒者がいた。
用務員と音楽教師だった。
取りあえずこの二人も美香が薬を抜いておいた。
既にこの町では覚せい剤が入手できないはずだ。
これから先どうするかは自分自身で決めるだろう。
少なくとも禁断症状は出ないはずだ。
再開するとすればその人の意思だろう。
次に再開しているのを見つけたら、即先生に
「あの人少しおかしいようですが大丈夫ですか?」
って感じで聞いてみるって美香は言ってた。
うん。それぐらいでいいだろう。
知り合いがいない地域はやはり情報が入りにくい。
めんどくさくなった俺は西校、東港、北校に直接乗り込んでみた。
このリストの中に知り合いがいないかって聞いていった。
すると残りのリストはほとんどが北校の生徒だった。
俺は火曜日学校を休んで、北校の生徒を一人ずつ鑑定していき、覚せい剤中毒の人間を治療し、暗示をかけていった。
その際、覚せい剤を打つのを強要されている人がいないかと注意してみていたら、やはり日吉先輩と同じような状況が3例ほど確認できた。それを源蔵さんに念話で伝えて俺はすぐに東校に行った。
この状況はどこで同じことが起こっていてもおかしくないという状況だ。
東校にも一人、同じような状況の子がいた。
西校は幸い中毒者もいなかった。
俺たちは北校の3人と東校の一人が同じ状況だと報告した。
すぐに救出しようと、カアサンズとトウサンズが手分けして、その4人の情報を集め、離婚まで持っていった。
現在すでに3305号室まで入居が決まってしまった。
手口を調べるうちに分かったのは覚せい剤に手を染めた父親が覚せい剤欲しさに借金する。その代金の取り立ての際に娘を差し出せと脅し、どうせ娘を差し出すのならお前が最初の男になればいいとそそのかし、強姦。その弱みを握られ、妻もしゃぶ漬けにしていた。
木本組め。
この状況だとすでに風俗に売り飛ばされた母子がいてもおかしくない。
いや、すでにいるだろう。
それでうまくいったから同じ手口をいまだに続けていたと考える方がしっくりくる。
俺は呉竹総合病院に潜入し、木本組組長、若頭などを鑑定してまわった。
すると木本組から押収したリストの中で用途がわからなかったリストが判明した。借金を無理やり作らせて風俗に落としたり、覚せい剤中毒にして風俗に売り飛ばした人達のリストだった。
俺は遮音の隠密を部屋にかけて、念入りに木本組の連中の骨を砕いて回った。
翌日もはや両手両足を切り落とさないと手足が壊死するという状況にまでなっている木本組関係者が発見され、両足両腕切断となったそうだ。
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