-04.スパイダーマンにはなれないけどせめてハットリくん
※残酷と思われる描写があります。苦手と思われる方はご注意を。
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そうか。このビルか。
そのビルを見ると5階建てのようだった。通路は狭く作ってある。
うん、これって襲撃対策だよな。
俺はその横にある3階建てのビルの上まで跳躍して上った。
3階くらいまでなら飛べるんだよね。5階は一気には無理だな。
俺はその3階の屋上から塚本組のビルの屋上に跳躍した。
屋上についているドアに隠密をかけてドアをねじ切り引きちぎった。
遠慮しないで力を出すとこうなる。サッカー部やめといてよかったよ。
俺は建物の中に侵入し、人の気配のある方に進んだ。
上から攻めてくる者がいるとは想定していないようだ。
俺が下りたところにあったドアを開けた先に衝立が見える。
そこから覗くとこの塚本組の組長が女の乳をもみながら酒をあおっている。
いいな~。俺もあんなでっかいのもんで見たいよな~。
俺は思春期特有の馬鹿な夢を見てしまい、気を引き締めなおした。親分とおんなの傍まで寄り、首筋に掌底を叩きこんで気を失わせた。
さて、どうするかな。
この組を本日限りにするのは決定事項。
あとはどう工作するかなんだが…。
俺は組長の机の中にあったトカレフと玉、弾倉を5つ見つけてそれらはアイテムボックスの中にしまった。
大きな金庫があったので、その中のものは全部収納しておいた。
金庫はそのままに中身だけ。
あとはいろいろ家探しするといろんなところに日本刀やドス、サブマシンガンまで出てきた。
こいつらいったい何と戦おうとしてたんだろう。
親分とおんなを丸裸にひん剥いていた時にコンコンとドアがノックされた。
「親分、状況を確認してきました。入りますよ。」
その男は一人だけだった。部屋に入って親分を探すと裸で女と共に伸びているのが目に入った。が、次の瞬間意識を失った。
この男も丸裸にして鑑定を掛けると、こいつが飯島だとわかった。
俺はリサイクルショップで買った結束バンド(タイラップ)で、親分とおんなと飯島の手足を縛り、親分と女には猿轡と目隠しをかましておいた。
『おい、起きろ。』
俺は目隠しをした飯島の頭をこ突いて目を覚まさせた。目隠しされてるから状況がわからず、必死に頭を振り、目隠しを外そうとしていた。
『無理無理。今のお前では目隠しも外せねえよ。俺の質問にだけ答えろ。』
俺がそう以心伝心の念話で話しかけると大声を出そうとして息を吸ったのを見て、俺は心臓に掌底を打ち込んだ。ハートブレイクショットというやつだな。
一瞬息が止まり、大声を出すこともなくゴホゴホとむせ返っていた。
『いいから黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ。お前はチンピラ使って上納金を納めさせてたな。ハローって店にたむろしている百済とかいう下らねえ野郎のことだ。』
飯島は首だけでうんうんとうなずいて返事した。
『お前のおかげでこっちは迷惑してるんだよ。女子高生や女子中学生のガラ攫わせて、風俗にでも売るつもりだったらしいが、その売にもお前がかかわってるのか?』
飯島は首を横に振った。しかし、俺の鑑定にウソはつけなかった。
『いやいや。お前の指図だろうに。もうネタは上がってんだよ。お前の女のヤサに金も隠してるようだな。お前は薬も扱ってるのか。おいおい。高校生どころか中学生にも広めてるだと?お前相当頭がおかしいらしいな。』
完全ギルティ。釈明の余地も許さん。
『お前が選べる選択肢は二つある。このままここで殺されるか、俺に素直に全部話して殺されるかだ。いいか、お前はどうあがいても死ぬしかないんだよ。』
俺はそう言って腰を蹴り砕いておいてから、麻薬の保管場所、取引相手、客のリストがどこにあるのかを聞いた。どれにも答えなかったが、思い浮かべるだけで、俺の鑑定はそれを明らかにしてくれた。俺はそれから百済と同じように両肩を壊し、大声を上げさせた。親分も同様に腰を蹴り砕いて両肩を破壊しておいた。
突然組長の部屋から大声で叫び声が上がったので、下に詰めていたチンピラたちはすぐに組長の部屋に殺到した。
俺はそいつらの腰を残らず蹴り砕き、肩を壊しておいた。
こうしておけば当分社会復帰は無理だろう。
俺は悠々と下の階に行き、部屋にあるものを根こそぎ回収していった。
チンピラたちはもちろん丸裸にしてタイラップで手足を縛っている。
このタイラップって使い勝手がいいね。さすがアメリカの警官の御用達にもなるわな。これで結束されると腕の力ぐらいじゃまず切れない、ほどけない。
今度もっと大量に買っておこう。
俺は次々に塚本組の事務所ビルを下りて行って、中身を空にしていった。
おお、結構現金も置いてあるんだな。
密輸入した拳銃もどっさりだ。弾丸も相当数ある。
俺は透明になったまま、塚本組を後にした。
それから俺は飯島の女の家にも侵入し、隠していた金や拳銃、弾丸、麻薬などは全部押収しておいた。この女の人も被害者なんだろうなと、同情し、それ以外には手を付けずにおいた。
それから薬の隠し場所などを転々と移動して押収していった。
チンピラなどが見張っていると、残らず丸裸にしてタイラップで拘束して腰蹴り砕きの両肩破壊をしておいた。レイプ現場に出くわしたときは頭に血が上って思わず蹴り殺しかけたが、何とか途中で力を抜いてセーブできたようだ。俺はそいつの股間にもタイラップをしっかり巻き、血が通わないようにしてやった。これで二度とそういう犯罪はできないだろう。玉ごと括り付けておいたからな。
俺はようやく家に帰ろうとしたが、さすがに血の匂いもするようなので、一度山田さんちのふろを使ってから家に戻った。すでに黒装束とマスクは外している。
結局隠密をかけっぱなしだと別に着替える必要もなかったのだけど、万一姿を見られても誰かわからないようにしておくことは必要だ。
俺はその夜ぐっすり眠れた。
翌朝木曜日、といっても2時間も寝ていないが、俺は起きだして着替えて顔を洗って食事をいただいた。
今日も元気だ飯がうまい。
いつもなら美香の方が先に起きてきているのに今日は珍しく俺より後だった。
どうやら昨日夜遅くまでギターの練習をしていたらしい。
「頑張るのはいいけどちゃんと寝ないと学校で授業中寝ちゃうぞ。」
というと、俺の顔をキッと睨んだ。睨まれた。
え?俺の所為?
俺と美香はそろっていってきますと家を出た。
家からしばらく離れてから美香がスッと寄ってきて
「昨日の夜中、どこ行ってたの?」
と聞いてきた。
「え?何のことだ?俺はちゃんと寝てたぞ。もう朝までぐっすり。」
「しらじらしい。私昨日夜中にギターを練習してて、どうしてもうまくいかないところをお兄ちゃんに教えてもらおうと部屋に行ったらもぬけの殻だった。どこ行ってたの?」
「いや、その」
「どこ行ってたの?」
は~。こうなった美香はしつこいからな。
「ちょっと最近体動かしてなかったからこっそり走りに行ってたんだよ。」
「でも朝まで帰ってこなかった。」
「あ…ああ。調子に乗って大分遠くまで走っちゃったからな。身体強化で疲れ知らずってやつも困りもんだ。」
「お兄ちゃん。昨日のやつらのところ行ったんじゃない?」
「美香は気にするな。もう終わったことだから。」
「行ったんだね?」
俺は立ち止まって美香の目を覗き込んでいった。
「美香。俺は俺の家族や仲間が危険に会うのを放ってはおけない。俺は俺ができる限りの力を使ってでもそんな奴らは排除する。ついでに言っておくけど、当分の間俺は夜部屋にいない。でも心配するな。お前のお兄ちゃんはこう見えても結構強いからな。」
と、俺はそう言って美香の頭をポンポンと撫でた。
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