-01.蔵スタジオ解禁
俺はアイテムボックスに一通りの楽器が入っているので、それらを出して少し教えよう。
俺は3503号室に集まっているみんなに、謝って妹の話をして、先に帰ることを伝えた。
俺が3501号室の前に来ると5人は俺を待っていた。
「お待たせ、じゃあ行こうか。」
俺は5人を連れて、マンションを下りた。
う~んそうだな。
美香にお金を渡して、バーガーショップで何かセットでもそれぞれ買ってくるように言った。俺にもビッグバーガーとコーラのセットを頼んだ。
俺はいつものスクラッチを買いに行くことにした。
今日は3等狙いだな。窓口で換金できて、そこまで高額じゃないからいいだろう。
まあ、念のためだな。今回は3等5万円か。窓口で換金できるぎりぎりだな。
いくつかのセットから選ばせてもらって、俺は4セット買った。
バーガーショップに行くと高校生ぐらいの3人の男たちに美香たちが絡まれてた。
「どうした。何かあったのか?」
俺は近づいて声をかけた。
「なんだてめえ。邪魔すんじゃねぇよ。」
と、高校生であろう男が俺にかみついてきた。
う~ん、俗にいう不良のナンパ?
今どきそんなそり入れて、将来はげるぞ。
「なんだてめえってずいぶんなご挨拶だな。俺はその子たちの保護者だよ。」
俺はそう言って美香たちの前に割り込んだ。
「くそっ。」
と言っていきなり男が殴り掛かってきた。
まあ、これぐらいのやつらなら美香でも平気だろうけどここはお兄ちゃんがいいとこ見せないとね。
俺はそのパンチを交わした。すぐにその横の男が蹴り上げてきたがそれも躱した。
「おい、囲むぞ。」
と、3人は俺を囲むように立ち回った。
パンチやキックはヘロヘロだったけど、こいつら馴れてる?
俺を取り囲んだ奴らは次々に俺に殴り掛かってきた。
俺は仕方ないのでそれらを受け流し、素早く弁慶の泣き所を次々に蹴っていった。
「ううぅ。」
と脛を抱えて3人はうずくまってた。
俺は美香に
「お前たちは先にうちに行ってなさい。俺はこの人たちとちょっとお話があるからね。」
そう言って、その3人の男たちをバーガーショップの裏路地に首根っこをつかんで引きずって行った。
片手で二人は持ちにくいね。
俺は多少こいつらの服が破れてもかまわないとばかりに強引に引きずって行く。
俺の妹の美香をナンパするなんて、1万年早いわ。
こいつらどうしてくれようか。
俺は3人を放り投げて、ブロック塀にぶつけた。
そして俺に文句言ってた男の髪を引っ張って顔を起こしてやった。
「お前たちがナンパしようとしてたかわいい中学生は俺の妹なんだ。妹の友達には試練があってな。俺に認められないと無理なんだよ。お前たちじゃ…100年たっても釣り合いそうにないから出直せよ。」
俺は髪の毛をつかんだまま、そう言った。
「うるせぇ。お前をぶっ殺して、あいつらも犯して捨ててやる。」
と、ポケットからナイフを取り出し、俺を刺そうとした。
俺は手首ごとナイフをつかんで
「はい。殺人未遂いただきました。俺はナイフを避けて、馬鹿な君は自分のナイフが足に刺さっちゃいました。」
と言いながらそのナイフを持った手をそのままその男の太ももに突き立てた。
ギャーっと叫んでうるさいのでこめかみを殴って気絶させた。
「次は君かな。いったいこんな駅前で、迷惑なナンパしかけてたのはなんで?お前たちの顔と態度じゃナンパなんて無理なのもわからないほど、頭がおかしいのかな?」
「うるせぇ。女連れて行かないと、俺たちが〆られるんだよ。」
「ほぉ。お前たちは誰かの命令でナンパしてたのか。そいつはどこにいるんだ?」
「商店街の裏道にある『ハロー』ってスナックにたむろってる。そこが俺たちのリーダーの家なんだ。」
俺がそいつの髪の毛をつかんで引っ張ると、怖くなったのかぺらぺらと話し出した。
「そっか。お前もちょっと寝とこうか。」
俺はそいつのこめかみも殴って気絶させた。
さっきのやつもこいつも頭がぐるんってなったけど死んじゃいないだろう。
美香が危ない目にあったのを見たせいか、ちょっと自制が効かなくなってるな。
俺は最後の男に近づいた。
男はあおむけに寝ながらも、後ろずさって少しでも距離を置こうとしていた。
「さて、お前は素直にそのハローってスナックに案内してくれるかな?それともここで朝まで気絶するのかな?大丈夫。大分暑くなってきたからね、裸で転がされてても、朝までじゃ風邪ひかないだろうしね。まあ、雨でも降ってきたら、死ぬかもな。」
俺はそう言いながらそいつの腹を蹴った。
蹴りすぎないように軽く何度も蹴った。
しまいにそいつは吐き出した。
まだなんにもしゃべらないのでそれを続けた。
白目をむいて倒れたので、俺はそいつらの服だけを収納した。真っ裸になった男たちは路地裏に転がったままだ。
太ももを刺した男も、もう血が止まってるから大丈夫だろう。
もっとも傷が化膿すれば足も使い物にならなくなるかもしれないけどね。
俺は3人を人目につかない奥に転がしておいた。
俺が路地裏から出ると、美香たちはまだそこにいた。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「美香、俺は家に行けと言ったはずだけど。」
「だって、相手は3人も居たし、お兄ちゃんのことが心配で。」
美香は泣き出していた。
「大丈夫だって、俺があんなチンピラに負けるはずないだろ?お前だってあんな連中ならやっつけるのはすぐだぞ。まあ、俺がバーガーショップに行かせたのが悪かったな。あんな連中、見かけたことなかったんで、俺もちょっと気が抜けてたかもしれん。みんなも悪かったな。今日はもう帰るか?それとも楽器に触っていく?」
俺がそう聞くとみんなはうちに行きたいというのでそのまま5人を引き連れて家に帰ることにした。
「ただいま。」
と俺は声をかけて、家に上がった。
「おかえり。あれ?そちらは美香のお友達?」
と母さんが玄関まで出てきた。
「そうらしい。バンドをやりたいそうなんで俺が改装した蔵を美香たちに貸してやることにしたんだ。この子たちが出入りするかもしれないから、顔覚えてやってね。ほら、あいさつ。」
と俺はその子たちを母さんに紹介した。
美香はずっと黙り込んでた。さっきのことがよほどショックだったようだ。
「で、とりあえず軽いものでも食わそうと思ってハンバーガーは買ってきてるんでちょっとの間夕食は待ってね。じゃあみんなスタジオの方に行こうか。」
俺はそう言って蔵スタジオの方にみんなを連れて行った。
俺はアイテムボックスの出し入れが今では30m先までできる。
蔵に近づくにつれ、少し歩足を緩めながら、いろいろな楽器をスタジオの中に置いた。
「ここが俺のスタジオだ。ちょっと電気つけるな。」
俺はドアのそばにあるスイッチを押して、電気をつけた。
「うわ~。」
と5人は声を上げた。
いろんな新品の楽器が置いてあったからだろう。
それぞれ入り口で靴を脱がせて、スリッパに履き替えさせて、中に案内した。
「ここにある楽器なら好きに使ってくれていい。もし壊れてもまた直せばいいから気にするな。新しく見えるだろうけど全部俺が中古で買ってきて直したから遠慮はするなよ。」
俺がそこまで言うと恐る恐るという感じでそれぞれが気になった楽器を触りだした。
俺は美香から俺のハンバーガーを受け取り、バーガーをかじりながらコーラを飲んだ。
みんな目がキラキラしている。よかった。あんなことがあった後だからな。
中学生から見た高校生ってやたら大きくて、おっさんに見えるんだよな。
女の子たちもおびえてる様子がなくてよかった。
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