-01.9…9台?

「じゃあ今日全員で買いに行きましょ。」

 で、全員で呉竹駅前のカワサキのバイクショップに立ち寄った。


「おっちゃん。ニンジャのKTMエディションてやつくれる?」

「ん?買うのか?免許は取ったのか?」

「うん今教習所に通ってるところ。」

「そうかそうか。Ninja 400 KRT EDITIONは保険含めて乗り出し価格で値引き入れて75万ってとこかな。」

「おっちゃん何台か買ったらもう少し負けてくれる?」

「ん?どういうことだ?」

「だから、ここにきてる全員で同じの買ったら安くしてくれない?」

「え?一二三…9台?え?まじか?」

「うん。マジ」

「う~ん。」

「切りのいいところで70万でどう?」

「いやいや。それは無理だよ。」

「じゃあ、よそに買いに行こうかな…。チラッ」

「…わかったよ。その代わり現金払いだからな。」

「OK!おっちゃん振り込みでもいい?」

「お…おぉ。ローンでなくて一括の振込ならいいぞ。」


「じゃあ、注文書書くから書類ちょうだい。」

 俺たちはぞろぞろと店の中に入り込みそれぞれが契約書を書き、サインした。

「振込先を教えて?」

 と俺はおっちゃんに口座を教えてもらった。

 即座に全員がその場でスマホから70万円を振り込んだ。

「おっちゃん今振り込んだから確認してよ。」

「……おぉ。確かに630万円振り込まれてるな。」

「じゃあ、おっちゃん後書類は何がいるの?」

「あとは住民票ぐらいかな。今ならそこのコンビニでも取れると思うぞ。」

 俺たちはぞろぞろとコンビニに向かい、店員に聞きながら住民票を取得した。

 俺たちは高校入学時にマイナンバーカードを取得していたので、コンビニで発給が受けられた。


「おじちゃんこれ。」

「お。もうとってきたのか。うんうん。これでいいよ。」

「おじちゃんバイクはいつ納車できる?」

「そうだな9台あるからな。今から発注してう~ん。20日ごろかな?」

 俺たちの免許取得予定日が24日だ。

「俺たち24日には免許が取れるんだよ。だから25日に引き取りに来ていい?」

「おお。それじゃ逆に25日に合わせて、整備しとくよ。保険も25日からでいいな?」

「うん。お願いしとくね。」

「あと、任意保険は自分で加入しないとだめだぞ。」

「え?任意保険も入った金額じゃないの?」

「お…お前は鬼か。」

「そっか。任意保険ってどれぐらいかかるの。」

「そうだな。最初は3万円ぐらいかかるんじゃないか?一年で。」

「そっか。それならナンバープレートがつけれた時点で電話くれない?ここに書いとくから。」

「おぉ。そうだな。あと保険には車体番号なんかもいるからな。現車が届いてナンバープレートが付いてってなるともう25日の当日になるかもしれんぞ?」

「そっか。せめて前日に入らないとその日から保険は効かないよね。」

「確かそうだな。じゃあ、24日に免許取ってそのままここに来いよ。それならいいだろう。」

「うん。じゃあそうするよ。」


 俺たちはこうして実にあっけなくバイクを購入した。

 いいのか?これで?

 まあ、今はみんな金持ってるから、気に入らなくなったら別の買うんだろうな。


 俺たちはみんなで会社に行った。

 ここではカアサンズとトウサンズが何を買うかでまだ揉めている。


 いいよな。選択肢がたくさんあるのは。

 俺たちなんか新車に限定したら10種類ぐらいしかないからね。


 おかげでスッと決まったよ。


 さて今日はバンド練習の日だな。

 俺たちは最近いつもの編成ではなく、ボーイズバンドとレディースバンドで練習している。

 つまり俺、義男、翼の3人組でボーイズバンド。

 シンプルなギター、ベース、ドラムの編成なのでロックンロールやブルース、ロカビリーなどをやっている。

 一方レディースバンドは千秋がドラム、京子がベースを担当して、しおりのギターと紗理奈のサックス、あかりのキーボードと都のパーカッションという編成だ。

 こっちはホーンセクションが紗理奈だけになったので、シンプルに歌謡曲のJ-POP風を中心にやっているようだ。

 ボーイズバンドとガールズバンドの時はそれぞれメンバーが曲と詩を書いている。


 どっかでそろそろ演奏したいよな。

 高校に軽音部ってあったよな。

 一度みんなで覗きに行こうか。


 俺たちは翌週の月曜日に軽音部を訪ねてみた。

 今日は練習がある日らしい。

 お願いして見学させてもらった。

 一応それぞれが楽器は持ってきている。それぞれのアイテムボックスの中に。

 この軽音部では3バンドが活動しているらしい。

 各学年一バンドだそうだ。

 う~ん。あんまり人気ないのかね。


 ……うん。確かにそんなにうまくはない。

 心に届くものも…ない。

 コピーバンドはいいんだけどさ。

 そんなに歌まねしなくてもいいと思うんだよね。

 しぐさから歌い方から。うんうん。わかるけどね。

 君たちも何かやってみてよと言われて

 どうしようかとみんなでアイコンタクトしてみた。

 う~ん。

 あれでいいか。

 義男にカホンを出させた。もちろん一旦部室を出てね。

 パーカッションの都もカホンだ。

 俺はブルースハープ

 翼は歌で

 オリジナル曲のブルースを歌いだした。

 2台のカホンが掛け合いながらゆったりとリズムを刻んでいく。

 そこに俺のブルースハープが入る。

 で、翼が歌う。

 このブルースは曲は完全オリジナルだけど歌詞は丸パクリしている。

 RCサクセションの『トランジスタラジオ』だ。

 カホンとハープだけなんで曲の印象は全然違う。

 それにブルースっぽい歌い方を翼がしている。

 軽音の部室に3バンドも入っていたら、もう一杯だからね。

 俺たちは廊下で演奏した。

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