10.気配遮断【6/3】
今週のスキルメールは【気配遮断】だそうだ。
先週の気配察知もまだ碌に検証できていない。
『自分の気配を相手にわからなくする。対象物の気配も消すことができる。』
う~ん。やっぱり俺にどっかに忍び込ませようとしてる??
姿を消して気配を探って気配消すって…。
うん、どう考えても『アサシン』路線まっしぐらだよな。
でも待てよ…。気配の中に【音】も含まれるよな…。
俺は物に対してもスキルが活用できることを前に体験した。
千秋にこのスキルを学習させた。
これでうまくいけば、千秋は家でもトロンボーンの練習ができるはず。
部屋全体をイメージして気配遮断をかけてみると成功したらしい。
お母さんに部屋の外で立ち会ってもらっても音は漏れてこないらしい。
俺はこれを3503号室にも掛けた。
俺が人に学習させたスキルだと時間経過で効果がなくなるようだけど
俺が掛けると半永久的に掛けられるようだ。
うう。これがもっと早くあれば蔵を防音設備にしなくてもよかった。
…まあ、ドンマイだ。
今週もバイクの教習とバンド練習に費やした。
だって温泉はまだ掘れてないようだし、温泉施設もようやく着工できそうなぐらいに図面が仕上がっているようだ。
おっちゃんが頑張ってくれたみたいだ。
あれ?おっちゃんって何て名前なんだろう?
聞いてみたら源蔵というらしい。
みんなが名前呼びしてるのが羨ましかったそうだ。
これからはみんなで源ちゃんと呼んであげよう。
大工の…。
カアサンズもトウサンズも順調に教習をこなしているらしい。
どうやら大型免許もそのまま取得してしまうらしい。
俺たちは18にならないと取得できないな。
うらやましくなんかないやい。
かわいくないと美香に言われてしまった。
ちょっとした茶目っ気じゃないか。
そういえば美香はバイクの免許が取れないのでふてくされている。
お兄ちゃんの後ろは私が乗るからね、というので先にヘルメットとグローブをプレゼントしたら機嫌がよくなった。
俺たちも教習所に通うためにヘルメットとグローブを買いに行ったからね。ついでに買ってきたんだ。
部屋に飾ってにやにやしてるらしい。
今までもモトクロス用を持ってたろうに。
カアサンズもトウサンズもどんなバイクを買おうかと真剣に悩んでいるらしい。
俺もいろいろ見てるんだけどカワサキのZ400かニンジャか…。
にんじゃ?
こ…これに乗れって言ってるのか?俺のスキル様は…。
スズキの400はスクーターしかない。
ホンダは…400Xかな。
ヤマハは…MT03かYZF-R3か。
「のり君はもう買うバイク決めたの?」
としおりが聞いてきた。
「う~ん。カワサキのZ400かニンジャか迷ってる。」
「どれどれ見せて?」
俺はタブレットでカワサキのHPを開いて見せた。
「このNinja 400 KRT EDITIONっていいじゃない。この緑がいいな。それで私はこの赤が欲しい。」
「赤なんて出てないよ。」
「そこはのり君のアイテムボックスでちょちょいとすればいいじゃない」
…なるほど。その手があるな。
「じゃあ俺はこの緑の部分を青にするよ。」
「え~緑がいいじゃん。」
「いや、俺には派手すぎるよ。だから青に塗り替える。」
こうしてあっさりとNinja 400 KRT EDITIONを買ってそれぞれ塗り替えることにした。
今日の帰りにでもショップに行ってみよう。
「ところで義男はどのバイクにするか決めた?」
「おう。俺はハーレー一択。」
「…。」
「な…なんだよ。その哀れみに満ちた目は。」
「あのな義男。普通自動二輪ってほとんど日本だけの規格なんだよ。」
「ん?それが何か?」
「ハーレーで一番排気量が少ないのって883(パパサン)じゃねぇ?883㏄。」
「?」
「だから。俺たちが今取りに行ってる中型は売って無いの、ハーレーは。」
「な…なにー。」
それから義男はバイク雑誌を見ながらいろいろと探して
「う~ん。チョッパーはないな。」
「ねえよ。」
「じゃあ、ヤマハのMT03かカワサキのZ400かな。
「俺たちはニンジャにするぞ。」
「う~ん。ニンジャか。」
「俺は青にしおりは赤に塗りなおすけどな。」
「なるほどな。じゃあ俺は黄色かな?」
「え?」
「俺もニンジャにするよ。紀夫、塗り替えてくれな。」
「…いいよ。で、翼はどうするの?」
「じゃあ、僕も同じのにしようかな。僕はそのまま緑で乗るよ。」
「いいわね。じゃあ私はオレンジにして。」
と、紗理奈。
「じゃあ私はピンク。」
と、美穂が言う。
「ピンク??」
それはやめた方がいいんじゃないかな…。
「私はここまで明るくない緑、モスグリーンって感じかな。」
と、千秋が言った。
「う~んじゃあ私は何がいいかな。薄い水色にしようかな。」
う…ううう。
全員ニンジャだと…。
ニンジャ戦隊ができてしまったじゃないか。
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