-02.合わせ技はすごい

 俺たちは朝から精力的に動き回った。


 翼たち口座作成班は万が一のことを考えて、6人全員で行動することにしたようだ。

 それも2人ずつを銀行で口座作成して行っていた。

 3件の銀行を回り終えた時はさすがにかなり目立っていたようだ。

 一般から見目立っていたのではなく、銀行員から見て目立っていた。

 3件目の銀行ではどうやって当てたのかなど、いろいろ聞かれたそうだが、お答えできませんと無視を決め込んだようだ。


 俺としおりと義男は、義男の親父さんの紹介で行政書士を訪ねていた。

 そこで会社設立について話を聞き、会社設立の手続き一式をお願いした。

 費用は20万円ほどで、2週間ほどかかるようだ。


 で、最後まで決まらなかった会社名は俺がつけることになってしまったので、昨日考えて一つの会社名を決めた。


 会社名は【マジカル・ワールド】にした。

 俺が授かってるスキルって魔法の世界のものって感じがするからね。

 俺たちがかかわることで魔法のような世界を生み出すという意味を込めてみた。


 前後が逆になったけど、行政書士さんに紹介してもらった印鑑屋にマジカル・ワールドの印鑑を作りに行った。

 普通印、丸印、角印の合計3つ。結構速く作ってくれて1時間ぐらい待っていると出来上がっていた。これも値段は3つで20万円ほどした。

 印鑑は長く使うものだから、いいものにしたんだ。


 俺たちは書類がそろっているのを確認してもらって、日本の大手銀行へ会社名義の口座を作るために向かった。

 定款や行政書士さんに会社設立を依頼し、受諾してもらった旨の覚書を見せてすんなり口座は開設された。さっそく作った印鑑が活躍した。

 俺たちはその印鑑をもう一度行政書士さんのところに行って預けて、預かり証を受け取った。


 これで2週間後には、俺たちも会社オーナーだ。


 忘れないうちにメールで会社の口座番号を送信しておいた。みんなからの入金を資本金にしないといけないからね。俺たち3人も送金しておかないとね。


 こうして、その日の午前中には俺たちは送金も終え、昨日話していたパワーストーンの卸元に行ってみた。

 そこで扱われている全種類の石をそれぞれ500gずつ買って、3人で分担して持って帰った。もちろん途中で物陰に隠れてアイテムボックスに収納した。できるだけ原石に近いものを購入してきた。加工済みのものだと、卸元の品質と、販売している品質の際に気づく人が出てくるかもしれないからね。とはいうものの、実際に販売している完成品もいくつかは購入している。見本がないとね。


 俺たち3人は駅前のファミレスで昼食をとることにした。

 俺たちはスマホで個人口座からそれぞれ資本金を会社口座に送金した。

 ご飯を食べている最中に翼から電話があり、合流するということなので、そのままファミレスで待っていると6人がやってきた。

 それぞれがご飯を頼んで、待っている間に資本金の送金をお願いして、それぞれが送金してくれた。

 送金完了した時点で、行政書士さんにも資本金2,000万円を会社口座に入れておいたことを電話で伝えた。


 俺たちはついでにパワーストーンを買ってきたことを伝えると、みんなが見たがったが、ご飯食べてからマンションで見せることになった。今はすでにアイテムボックスに入れてある。みんなにもどういうクオリティのものがどう変化するかを見てもらうためにもまだ原石のままだ。


 あ、忘れないうちに母さんにも電話しておこう。

 俺は母さんに電話して、無事会社設立ができたことと今後呉服の修復は俺たちの会社【マジカル・ワールド】で請け負うことを伝え、呉服屋さんにも明日にでもあいさつに行くことを伝えておいてもらった。


 …とすると、早急に服と名刺ぐらいは必要だよな。

 俺はみんなにスーツと名刺が明日にでも必要なので、今から作りに行くことを相談すると全員一致で買いに行くことになった。

 ちょうどいいから、いろんな商品を見て、俺たちが扱うと値段が上がりそうな商品を見つけることも頼んでおいた。


 昨日の会議がいい例だからね。

 俺一人が考えずにみんなで考えた方が発想も知ってることも、興味あることもそれだけ広がるからね。

 俺たちは隣駅の呉竹東町まで電車で移動して、ここにある百貨店の紳士服売り場へ向かった。

 既製品のスーツはまた、地元の大通り沿いにあるスーツの量販店で買えばいいので、ここでは、それぞれオーダーメイドでスーツを作ってもらうことにした。

 あくまでビジネススーツなので、地味だが、初めてのオーダースーツでみんなテンションが上がっている。

 スーツに合わせてカッターシャツやネクタイピン、靴などもそれに合わせて決めた。

 一人当たり100万円ほどの予算で購入した。

 俺は俺個人の口座のカードを使ってみんなの代金も払った。

 次にその紳士服売り場で聞いた印刷所に行ってスピード名詞というので名刺を作ってもらった。

 俺の肩書は代表取締役社長。

 しおりは副社長。義男は常務取締役。翼は専務取締役、それ以外は全員役員の肩書と担当職を刷り込んでもらった。住所はマンションの住所として、電話は盲点だったな。固定電話をネットと一緒に頼んでおけばよかった。俺はスマホを操作して、現在引いているネット回線に電話を追加するオプションをつけた。すぐに申し込みは終わり、電話番号がわかってそれを刷り込んでもらった。あとは個人の携帯電話を入れるか迷ったが、今は入れずにおいた。

 取り急ぎ作る名刺なのでみんな10枚ずつ作った。


 その足でスマホショップに向かい、9台のスマホを購入した。すべて会社名義だ。

 物陰で9台のスマホをアイテムボックスに収納して、俺たちは大通り沿いのスーツ専門店へタクシーに分乗して向かった。

 それぞれ、普段使いする用のスーツを2着ずつと、靴などを購入した。

 これは個人払いだ。それぞれ銀行からある程度の現金は降ろしてきていたので、それで購入していた。みんな口座には500万円だけ入金してそれ以外は現金で持って帰っていたのだ。

 それらもそれぞれの袋に名前を書いてアイテムボックスにしまっておいた。

 俺たちは再びタクシーに分乗して、俺たちの会社まで戻ってきた。

 いや、疲れたね。

 平日の昼間しか動けないとはいえ、ハードだった。

 時間はまだ15時ぐらいだったけど、俺たちは少し精神的に疲れていた。

 俺はそれぞれのスーツ以外のシャツなどと、それぞれにスマホを渡して、セットアップすることにした。スーツは完成したら送ってもらえるように手配しておいた。

 対外的に番号を教える必要がある場合には会社のスマホの番号を教えるようにみんなにお願いした。それと教える際に、あくまで会社のスマホであること、今はこの番号の携帯を持っているが、ランダムでスマホの所持者が変わることを伝えるようにした。

 これは会社の経費として落とすための方法だ。実際にはそのまま個人的に使うんだけどね。それと女性は特に個人携帯の電話番号を仕事先の人に教えるのは抵抗あるよね。


 ああ、それとコピー機と電話とFAXは、あったほうがいいよな。

 コピー機はリース契約ができるみたいなので、後日米田工務店に入っているリース会社を紹介してもらうことにした。あとで電話機は買いに行こうか。

 各部屋にも一つずつあったほうが便利だよね。

 あ、今時間がありそうだからみんなに話すか。


「ちょっと聞いて。昨日の夜にしおりに以心伝心を使って格闘術と杖術という杖を使う武術をラーニングしてもらったんだ。時間は10分程度なんだけどみんなこの場に寝転んでくれる?同じようにラーニングと以心伝心でみんなに護身術を学んでほしいんだ。」


 俺はみんなが寝転んだのを確認してから、全員を対象に以心伝心でリンクして、ラーニングで杖術、合気道、太極拳をインストールした。時間は太極拳を増やした分少しかかったが全部で15分ほどで終了した。しおりにも念のためダブってしまうが同じように学習してもらった。

 みんなの調子を聞いてみた。

 それぞれがそれぞれの武術の使い方をマスターしたようだ。

 今後はそれを自分のものにするために毎朝鍛錬してほしいことを伝えた。


 それからみんなの希望もあり、1時間ほどかけて、中学生から高校生までのすべての教科書の内容をラーニングした。豆単もついでにラーニングしておいた。

 あと、俺はすでに習得していると話すと外国語も習得したいということでまずは英語、中国語、フランス語、ドイツ語をラーニングしていった。

 みんな思い思いの言葉で話し、それに答えるっていうちょっとこの集団何?って感じの会話が飛び交った。

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