-01.宝石の価値

 そうこうするうちにリサイクルショップから会議テーブルなどが届いた。

 それを一度アイテムボックスに取り込んで再生してから設置し、みんなは会議テーブルでセットアップしだした。


 米田工務店に言って、電源タップの配置も考えた方がいいのかな?

 またみんなに意見を聞こう。


 みんなが必要な資料を言ってくるので俺が手持ちで持っているのは次々にテーブルに出す。

 それで足りないものは駅前の本屋に突撃だ。


 俺も電気工事が自分でできたらといくつかの資格の本が集まっているコーナーに行って、第二種電気工事士のテキストなどをいくつか買った。そろそろみんなで行こうとしているバイクの教習の本や学科の本も購入した。


 もう夕方なんで、近くの牛丼屋で並を人数分買って部屋に帰った。

 みんな家でも食べるんだけど成長期は腹が減るんだよな。


「ちょっとみんな相談に乗ってほしい。俺のアイテムボックスを使ってできる商売をいろいろと考えたいんだ。例えばこんなぼろぼろのギターも…こういう風に新品になるんだ。つまりリペアできる商品を考えてほしい。今母さんのところに依頼があって俺が請け負ってるのが着物のリペアなんだ。ほつれなんかも修復されるんで、どうやって直しているかは我が家の秘伝として教えずに請け負ってる。あとやったことあるのはお袋が持ってたブランドバッグかな。でも古いの直しても価値があるのかな?破けたりしても新品になるんだけどね。あと俺が趣味でやってるのはバイクと車。これは引き取るときが大変なんだ。トラックでも運転できればいいんだけどね。店の外に俺が引き取ったものを放り出しておいてもらって夜にアイテムボックスで回収に行ってる。完全なジャンクでも補修用部材として取っておけば使えるからね。そういう商品が何かないかな?」

「う~ん。古いものを直して高く売れるもの?」

「家電製品なんかは?」

「う~ん。手間と人手がかかる割に効率が悪いんだよね。直したからといって売れるわけでもないからね。特にクーラーとか冷蔵庫とかパソコンなんかは日々進化してるからね。消費電力も落ちて行ってるし、性能もいいものが出てくる。中古品として、いくらきれいでも競争できるのは価格だけかな。」

「う~ん。例えばアイテムボックスって改造もできたわよね。」

「うん。改造もできるね。前にモトクロッサーがうるさすぎるってアイテムボックスで静音性を高めるような改造をしたね。」

「例えばね。質流れしているような宝石類を集めて、玉田君のラーニングで最新のカットやデザインを学習して、それに作り変えるってことはできないんだろうか?」

「どうだろ?試したことがないから一度試してみるか。」


 俺はさっそく駅裏にある質屋さんに行って、質流れ品の宝石をいくつか購入した。

 それと本屋によってジュエリーの本をいくつか購入した。

 それぞれアイテムボックスに入れてマンションに戻った。

「買ってきたよ。本も買ってきたから、例えばってことでいくつか選んでくれる?」

 女の子たちがそれぞれ指輪やネックレスを見ていろいろと話し出した。

 ひょっとしてこれって時間かかる?

 俺はさっきエレベーターの中で学習しておいた最新のジュエリーの中からいくつかデザインを選び出してルビーの指輪をそのカットに合わせて加工していく。できそうだな。

 そしてそれを作った時思わずあっと声が出てしまった。


「どうしたの?」

「すごいことに気づいてしまった。」

「何なに?」

「宝石ってそれぞれ、クオリティってあるんだ。要はその石の透明度が高いだとか傷が入っていないとかそういうことなんだけど。」

「ひょっとして…。」

「うん。アイテムボックスの修復を使うとクオリティを上げれることに気づいたんだ。

 宝石の傷なんかも修復の対象だし、透明度を上げるために不純物を除去するのも修復の範疇みたいだ。」

「え?じゃあ、本来ならあまり高値がつかなかったり、傷がついてるものでも品質を上げれるってこと?」

「そういうことだね。あとは品質の低い宝石がどこかでまとめて買えればいいんだけどな。」

 そうして、俺たちは品質の低い宝石がどこかに大量にないか探した。

 取りあえず質流れ品でそういう物を探そうということになった。

 そういう質流れ品を専門に扱っている業者が呉竹市にもあった。

 今日はもう遅いからまた今度だな。


「そういえばパワーストーンなんかも割と宝石としては品質が低くて筋が入っているような石を使ってるよね。ああいうお店の仕入れ元を探ってみるのもいいかもね。」

「質屋よりそっちの方が需要ありそうだよな。パワーストーンの数珠とかあるよな。」

「石がちゃんと集まるようならそういうパワーストーンの専門ショップを開いてもいいんじゃない?店番に女の子を雇って。」

「なるほど。そっちの方が需要はいいかもね。独自技術で品質をアップさせました。って、誰もまねできないだろうけどね。」

 俺たちは笑った。

「パワーストーン・仕入で検索したらいくつもヒットするね。この中からいくつか行きやすいところに行って交渉してみようか。俺の鑑定があれば、安いか高いかもわかるだろうしね。」

「それって相手からしたら反則だよね。」

「まあ、使えるものは使っていきましょう。じゃあ、パワーストーンの専門店やりたい人いるかな?」

 すると明智と井之口が手を挙げた。

「ちょうど二人ともリサイクル担当だったよね。じゃあ、ちょっとパワーストーンについて勉強してくれる?俺は今から本を買いに行くけど一緒に行く?」

 というと二人ともついてきた。

 早速本屋でパワーストーンの本をさがすと…

「多いね。」

「うん。さすがにはやってるってことなんじゃない?ということは市場があるってことだろうし…。」

「うん、よし。片っ端から買って帰ろう。使えるか使えないかはあとで判断して、パワーストーンの店員があの本も知らないなんてって言われないように。」

 俺はそう言って二人に全部1冊ずつ購入させた。

 もちろん当面は全部俺が経費は負担する。


 マンションに戻ると俺はみんなに言った。

「今日はもうこれぐらいにしておこう。明日、明後日は試験休みなんで貴重な平日の日中を使って日頃できないことをやろう。で、帰る前に今日授かったスキルをみんなに伝えるね。」

 と、ここにいるみんなにと頭の中で念じて頭の中で会話してみた。

『みんな聞こえるかな?直接みんなに一斉に頭の中で話しかけてます。今日さずかったスキルは『以心伝心』。テレパシーのようなものと今のところ認識してます。明日は銀行口座の開設の際、チンピラや怪しい人たちに十分気を付けてください。高額当選者がばれやすいのはその行動が見ていてわかりやすいためだと思います。ではこれで解散です。』


「おぉ。すげえな。直接頭に声が響いてくるよ。」

「俺から話しかけている間は、返事も頭の中でしてくれるとそれは俺に伝わるからね。」

「なるほど。一方的にしか掛けれない電話だな。でもこれって意外に便利かも。」


 そんなこんなを話しながら、今日は解散した。


 俺はしおりと義男、三好と井之口と一緒に帰りながらそれぞれ途中で分かれていった。

 女の子が多いってこともあるけど、護身用に武術をラーニングしてもらった方がよさそうだな。

 俺は実験の意味もかねて、その夜『以心伝心』を使ってしおりにラーニングで合気道と杖術をラーニングしてみた。


 翌朝、俺の試みは成功していたことが分かった。

 よし。やはりこれらのスキルは重ね掛けというか、複合的に使うことができるようだ。

 土曜日にでもマンションで全員の憂いを取り除いておこう。

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