05.感覚強化【4/29】
今日はまた新しいスキルを授かる。
スマホをもどかしく操作して、メールを見てみた。
【感覚強化】というスキルらしい。
『感覚が鋭くなる。 空間把握がうまくなる。 身体の動きがわかる。』
というものらしい。
これは身体強化の感覚版なんだろうな。
俺は昨日帰りに、駅前のスポーツ用品店によってバスケットボールを一つ買って帰ってきた。
俺は納屋でそのボールを使ってドリブルやボール回しなんかをやってみた。
確かにボールをつかむ感覚や身体の傾きや挙動がよくわかる気がする。
俺は今日もおいしく朝ご飯をいただいて、美香と少し話をした。
今日は休日なので、学校は休みだ。今日からゴールデンウィークに突入している。
「今日水曜でしょ?今日は何だったの?」
「今日授かったのは【感覚強化】というスキルで、感覚が鋭くなるらしい。朝ボールを使って少し体を動かしてみたけど、確かに身体の動きやボールの動きがよくわかるようになったみたいだよ。」
「なるほどね。なんだか最近運動系のスキルばかりじゃない?」
「う~ん。サッカーの部活頑張ってるからかな?基礎体力のための運動ばかりだから全然実感がないんだけど、確かにここのところ授かってるスキルは結構助かってるよ。ほかに何ができるかはいつものように要検証かな。」
「あ、検証で思い出した。お兄ちゃんが押してくれた宝くじの購入。ちゃんと当たってたよ。」
「おぉ。そうかよかった。」
「でも、私の口座残高、1,000万円軽く超えてるんですけど。」
「いいんじゃない。母さんなんか5,000万円超えてるだろうからね。」
「すごい!」
「多分このまま増やしても問題はないと思うけど、そろそろ株に切り替えないといけないかもな。」
「株?株取引ってこと?」
「そう。美香たちにも協力してもらったおかげで、俺がどういう形でも購入にかかわれば、勝つことができるってのはわかったからな。例えば買い目を俺が指定して、メールで送って購入するとかね。いろいろあると思うよ。」
「そっか。じゃああまり気にしなくてもいいね。」
「うん。おそらく最終的には10億とかそんな単位のお金になると思うよ。だから美香はそんなお金に振り回されないようにしっかり勉強して、やりたいこと見つけなよ。美香のやりたいことのためなら俺がお金なんかはちゃんと用意してやるからな。」
俺はそう言って美香の頭をなでた。
最近こういうまったり過ごす時間も増えている。いい感じだ。
さて、それはともかく
俺は今日、本屋に行く予定だ。
いろいろと本を買い込んでおきたい。
アイテムボックスに入れておけばいつでも取り出せるし、暗記物ならどんどん覚えていける。暇な時間を有効活用しないとね。
俺は駅前の大型書店に向かった。
ここでは教科書も取り扱っている。
そこで2~3年生用の教科書を買いに来てみたんだ。
それと、専門書。特に株関係の本だな。四季報を覚えるのもいいかも。
それと裏の畑のために農業知識も欲しいな。
そうそう、温泉も掘れるといいよね、で温泉採掘の専門書も。
あとはバイク関係かな。
自動車工学、バイクメカニック。早く走るためのチューニングなんかより、まずは基本を学ばないとね。
お、最新のバイク雑誌も買っておこう。これ読んでしおりや義男と盛り上がれそうだ。
そういえば、義男ん所の工務店。今日は山田さんちを直してくれてるのかな?
帰りに寄ってみよう。
俺は大量の本を購入しカードで支払い、店を出てから物陰でアイテムボックスに全部収納して、山田さんちに向かった。
…いい加減山田さんちって言い方もおかしいよな。
なんかもっと違う名前つけたいな。
そのうち考えよ。
俺は帰り道に山田さんちに寄った。すでに先週から入ってくれているので、工事は大分進んでいた。
「おお、のりちゃん。なんか急にでかくなったな。」
と義男の親父さんが手を挙げて声をかけてくれた。
「あ、こんにちは、おじさん。どんな感じですか?」
「ああ。工事の方は今日で終わるよ。でもこの家、変な家だったな。」
「え?どこかおかしかったですか?」
「今までここって人が住んでたんだろ?それが水道もガスも電気の配線もないっていうのがな。」
「ま…まあ。俺がリフォームしちゃったんで、面倒なものは全部取っちゃったんですよね。あとからつければいいかって。」
「え?ここのリフォーム、のりちゃんがやったのかい?いや~、かなり手際のよいリフォームみたいだったぜ。」
「昔からこう言うのが好きなもんで。電気工事とかは免許がないと出来ないのでおじさんのところにお願いしたんです。」
「まあ、うちとしてはいいんだけどよ。今度うちの仕事手伝いに来ないかい?これだけの腕があったら即戦力だぜ。」
ハハハ…と俺は乾いた笑いでごまかしておいた。
俺のリフォームは特殊だから。人にはお見せできないから。
この家は結構広い。
昔の庄屋などが街の人集めて会議したり、結婚式したりできる大広間もあるし、個室もたくさんある。奥には家族用と思われる囲炉裏端も別に作ってある。
8LLLDDKKってところぐらいかな?
リビング遣いができるところだけで3か所もあるんだよな。
食堂が2つ。これは住人と使用人で別れてたみたいだな。
それとキッチンも2か所にある。これは炊き出しなんかするときに、もう片方も使ったんだろうな。
古い家には古い家の良さがあるよね。
もっともここはかなり新しいんだけど。
奥に風呂場もあるんだけど、ここは改修して近代的な風呂場にした方がいいのかな。
「おじちゃん。ここのお風呂なんだけど。」
「ああ。風呂場な。確かに風呂だけえらく古い作りになってるな。見た目は新品なんだけど…。」
「うん。この風呂場も改修できるかな。できれば岩風呂って感じで、浴槽で10人ぐらいは入れるようなの。」
「そりゃできるけど岩とか結構高いぞ。」
「どれぐらいかかりそう?」
「そうだな。シャワーとかも複数つけるんだろ?そうすると電気湯沸かし器も業務用のをつけなきゃいけねえしな。下手すると1,000万円ほどかかるぞ。」
「おじちゃん。実はこの家、もともと庄屋の山田さんちだったでしょ?それを俺が買い上げたんだけど、正直使い道はまだ考えてなくてね。どうせなら温泉が掘れないかって思ってるんだけど、おじちゃんそういうことできる人、知り合いにいない?」
「もちろん、そういうやつらも知ってるよ。でも掘るだけで1,000万円ぐらいかかるし。設備入れたら2~3,000万円コースだぞ。」
「うん、それなら是非紹介してよ。おじちゃんの仕切りで、入れてくれればいいから。」
「温泉なんてもんは掘って見なきゃわからないし、出ない場合もあるんだぞ。」
「うん。俺結構運がいいんで大丈夫だと思うんだ。その温泉採掘込みで温泉を作ってほしいんだ。」
「それならここのふろ場はそのまま置いといて、温泉が出たら引き込めるようにして、別棟を裏庭に建てて温泉場にしたらどうだ?そうだな、休憩スペースも作って2階建てなんかだとなおいいね。」
「うんうん。そういうアイデアが欲しかったんだよ。おじちゃん、ぜひ設計してくれない?お金ならあるから温泉も掘ってほしいんだ。」
「金ならあるって。どういうことだ?」
「俺最近株始めてて、それが結構もうけが出てるんだよね。そのうち義男にも手伝ってもらおうと考えてるんだけど。で、それを地域還元っていうか、ここに温泉掘って近所のじいちゃんばあちゃんたちに開放してあげたいんだよな。それと、この裏全部俺の土地だから、ポケバイなんかのミニサーキットなんかも作って子供たちが遊べるようにもしたいんだよね。」
「なるほどな。おめぇ、うちのせがれと同じ年なのにいろいろ考えてんだな。よし、わかった。そのサーキットも俺に任せとけ。」
「温泉施設の裏になるから、騒音が問題になると思うんだ。遮音壁?っていうのも考えてほしいんだけどいいかな?」
「よし、わかった。じゃあ、まずのりちゃんの土地を測量して、図面引いてからだな。」
こうやっておじちゃんを引き込んで温泉づくりはスタートした。
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