02.鑑定【4/8】
さて、水曜の朝だ。
俺は起きてすぐに、スマホのメールを確認した。
するとやはりメールが来ていた。
中身をすぐに確認すると今回は【鑑定】というスキルらしい。
『物の価値を調べることができる。そのものの構成素材、製作過程がわかる。』
これはRPGのゲームやファンタジー系のアニメの定番だよな。
俺は家にあるものを片っ端から鑑定していった。
【机】
玉田紀夫の机。10年目。まだ耐久値は残っている。
販売価格:¥0
既に型遅れであり、買取もしてくれないだろう。
なんかざっくりした鑑定結果だ。
それに鑑定結果が何というか感想が含まれているようだ。
これ誰の感想だろう?
俺は今週もナンバーズとロトくじは買い続けることにしている。
ちょっとした野望があって、そのためにお金を使おうと考えている。
母さんにも一応了承してもらっている。
未成年だと何かと不便だな。
そろそろ一度学校休んででもしおりたちの口座を作りに行った方がいいのかもしれない。
そのうちいろいろと出費もかかるだろうし、いつまでも手元にあたりくじを置いておくのも不安だろう。
まとめて換金しても驚かれるだろうしね。
幸いにも両隣の駅前にも宝くじを運営している銀行の支店はあるので、それぞれに分けて口座を作ればいいなと考えている。
先週の検証結果で俺がミカや母さんのスマホの購入ボタンを押すだけでもあたることは検証できている。
一度重複して2人を同じ回のくじで俺が購入ボタンを押したけど二人ともが外れた。
選んだ数字はそれぞれが選んだので違う数字だ。
これが唯一外れた場合だった。
つまり一度の抽選で当たるのは一つだけ。
それを二つ(2種類)購入しようとすると干渉しあって外れる。
ということなのだろう。
今週は鑑定を調べてみようと思っている。
人の鑑定は意外にあっさりしたものだった。
母さんを見てみると…
【玉田みどり】
年齢:38歳
状態:健康 最近は運動不足になりつつある。
こんな感じだ。
これもなんとなくだけど豪運と同じようにもっと詳しく見ようとすると見える気もするが、今のところ必要ないのでこの程度で十分だ。
俺は1階に降りて母さんと美香に「おはよう」と声をかけた。
すると二人とも俺を見てワクワクしているのがわかる。
「今日もあのメール来たの?」
と美香が聞いてきた。
「うん、来たよ。今日のスキルは【鑑定】だった。」
とメールを二人に見せた。
「ふ~ん。で、どんなことがわかるの?」
と美香が聞いてきたので
「大雑把な鑑定結果だったよ。俺があまり詳しく見ようとしてないこともあるんだろうけど。」
「でもこの『価値がわかる』ってことが本当なら、骨董市でも行けば掘り出し物がわかるかもね。」
と母さんは言った。
骨董市ね。
「でも今でもお金は十分稼げてるからね。まあ、例えば人が無価値だと捨てようとしたものの価値を教えてあげることぐらいはできるかな。それ以外はどうだろ?あまり思いつかないや。」
俺はそう言って朝食をいただいた。
あっ…。
…もし、俺が今思いついたような使い方ができるとこれは化けるかもしれない。
これは学校の休み時間にでも検証だな。
今日も行ってきますと二人で告げて、美香を中学まで送って、しおりと義男と合流して高校に登校。
授業を受けて、弁当食べて、昼からの授業も受けて、放課後はサッカー部へ。
今日は驚いたことに隣の席の男前、加藤翼が入部してきた。
翼はストライカー志望だった。
うんうん。つばさって名前ならストライカーだよな。
俺はミッドフィールダー。
そして義男はディフェンス志望。
ちょうど3人とも違うポジションを志望していた。
それぞれ先輩に混じって練習していく。
まずサッカーは走れないとね。
一年生の初めはひたすら走りこむらしい。
陸上部かってぐらい。
だってそうしないと90分フルで戦えないからね。
俺たちは入部してからずっと放課後は走っている。
1時間ほど校庭を走ってそのあとは20mダッシュを20本。
また校庭を走ってダッシュの繰り返し。
これを4セットも続けると放課後の部活時間は終わりを告げる。
いや、へとへとになるさ。
しおりは先輩たちがシュート練習をしてたり、パス練習をしてるところで球拾いだ。
終わりかけのころには全部のボールを洗って磨いている。
あれも大変そうだよな。
おかげで3人とも帰りにはへとへとになっている。
翼に
「お前の取り巻きの女の子呼んできてマネージャーしてもらえないかな?結構マネージャーも大変みたいだから。」
というと
「OK。明日にでもさっそく声をかけてみるよ。」
と答えてくれた。
こいつ、こういうところも男前だよな。
翼の家は駅の北側らしいので、学校で別れた。
俺も一度駅前で行きたい店があるんだが、今日はもう無理だ。
膝が笑ってる。
教科書入れたカバンが重く感じる。
ふと自分を鑑定してみた。
【玉田紀夫】
年齢16歳
体調:疲労困憊
とでた。
そりゃそうだろうさ。
俺たちはそれぞれの家の前で別れて、俺はようやく帰宅した。
「ただいま。」
と声をかけてそのまま風呂場に向かった。
汗でべとべとで、とにかく汗を流したい。
俺はシャワーを浴びて全身から汗を流した。
風呂から上がって自分の部屋に戻って着替えてからキッチンに入った。
そこでは今日も美香が夕食の支度を手伝っている。
そして夕食になった。
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