ショートカットで私より少し高い所に居る

荼八

第1話

蝉の鳴き声を聴くと

遠くを思い出します

あの夏に閉じこもった君に

会いたくなります


僕の友人にメリーと呼ばれている女の子がいるのですが、彼女は言ってしまえば僕に都合が良い人なのです。泣きたい時は後ろから抱きしめてくれますし、嫌なことがあれば優しく眼を優しさで遮ってくれます。


ですが、彼女と生い立ちとしてはそっくりなもう1人の友人と呼ぶべきか、姉と呼ぶべきか、確かに私はひとりっ子ですがそんな私をからかいに来る存在其れが、私が姉と呼ぶもう1人の友人です。彼女はもう僕に興味がなくなってしまったのか、それともメリーさんに食べられてしまったのか、


いいえ。

私は食べられてなんか居ないし、いつも君のそばに居るんだぜ。私は君の夏に囚われているの、囚われてあげているの、もっと正確に言うとするならば、君の幼き頃の夏の記憶に確かに生きているの。私のいる場所は、あの日の公園、あの日のお祭り、あの日の雨宿り先。君が若さを殺して大人になるに連れて、私は君の深い夏に溺れてしまうの。だから君は、私を冷えきったカルキの抜けた浴槽で溺れさて欲しい。それを私は受け入れるわ。そうあるべきなの。遠くに居るの、深くに居るの。だから、貴方は私を殺す必要があるの。

どうか、私を忘れて下さい。どうか私を見殺してください。それで私は報われるのです。でも、いいえ。これ以上何も言うことは無いわ。さようなら。貴方を君を愛しているわ。君もそうやって大人になるの、社会や責任、友人関係。嫌なことを飲み込むとき、一歩また一歩と私はクリーム色の浴槽に沈んで逝くの。だから、私を忘れて下さい。お願いします。何時までも子供では居られないことを君も知っているでしょう。ほら、メリーハンカチでも渡してあげなさい。愛しの彼が涙を流しているから。


私がコインランドリーが好きな理由は、祖母が売った家がコインランドリーになったからかもしれません。

確かにあの日達のことを思い出すと、時計の砂粒が増えるようなきがします。


今日も蝉の声が聴こえます、シキシキと夏を告げるのです。またいつか姉と会える日を楽しみにしています。同窓会でも開きましょうか。

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ショートカットで私より少し高い所に居る 荼八 @toya_jugo

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