3-2
夢を見た、ぼんやりとした視界に誰かが泣きながら何かを言っている夢を……
朝 教室
今日は普通に起きて教室に誰かいないか来てみたらノープが先に来ていた
「マリー、おはよう」
「おはよう……早いんだね」
「早朝に起きてちょっとね……」
そう言って頬を人差し指で少し掻いて答える
「本当に真面目なんだね、私もやってみようかな?」
「やめといた方がいいよ、体調を崩しかねないから」
そう話しているとクーが入ってくる
「二人ともおはよう!!」
クーが二人を見つけるなり笑顔で挨拶をする
「おはようクーちゃん」
「クー、おはよう」
そう話した後に一つ、二人に聞きたいことを聞いた
「そういえば二人ってどういう関係なの?」
ノープが少しぽかんとした表情をして
「幼い頃からの仲でな、そこからずっとさ」
クーがそう言った
幼い頃からの仲なんだ、羨ましいなー
そう思ってからさらに聞いてみた
「クーってすごく力があるよね、家でどういう仕事をしてたの?」
クーがあー……と言ってから
「うちの父さん、1度国を救った勇者の1人でさ、情報に長けていたんだ、そのお陰かこの街で知らないことがないと言われるくらいの情報屋になっていてさ、家を作りながら副業でやってるんだよ……あくまで本業が大工だから子供の頃から鍛えてるんだけど」
「わぁ……」
すっごい、魔力が強いのと力強い事の理由がわかってよかった
「じゃあ、ノープはどうなの?」
ノープに聞くと彼女は目をそらして答える
「まぁ……ちょっと言えない……かな?」
「えぇー、言ってもいいのにー」
「ダメなものはダーメっ!」
と言って顔をふいとそらされた
「クー、なにか言えないのー?」
クーに聞いてみるとにやけながらこう言った
「へへっ、これは流石に言えないなー、彼女の大事な秘密なんだ」
「クーすら秘密って言うなら、もう聞かないけど……」
「そうしてくれ」
ノープが時間を見て
「二人とも、そろそろ授業が始まるよ、席に着いて」
「はーい」
「わかりました」
二人は答えて席に着いた
「今回は魔術に関する授業だ、ノートを出してしっかり覚えるんだぞー」
先生がそう言ってから授業は始まった
「魔術には『固形』と『流形』があり、『固形』は氷や木のような「最初から魔術の形が整っている状態」を指す、逆に『流形』は火や風といった「魔力自体が形を持たないで使われる状態」を指す、このように……」
この学院で最も長い授業『魔術学』これは歴史よりも長い授業でこれ1つだけで2~3時間は持ってかれる
こんな長い授業では寝る生徒が出てくるのは当然だったが、私達は珍しく最後まで起きてました
昼 教室
「よし、授業は終わりだ、誰か起きて……ないか」
先生が辺りを見渡して言った
「先生、起きてますが」
ノープが手を上げて答える
「……珍しいな、三人か」
先生が少し悩んだ後
「ちょっと待っててくれ」
と言っては教室を出た
「先生どうしたんだろう?」
私が言うとノープは小声でこう答えた
「この学院の噂があってね、最も長い授業を起き続けるとご褒美があるって聞いたの」
「へぇ、そうなんだ」
話していたら先生がフラスコを3つ持って戻ってきた
「君達はこのクソ長い授業を最後まで聞いてた褒美だ、《敵情確認》のスキルが入ってるから、みんなには内緒にしろよ……」
「わかりました」
3人はフラスコの中身を飲み干して先生に返した
「よしそれでは……授業がんばれよ」
そう言って教室を出た
放課後 寮
授業が全て終わって私達は部屋で暇をもて余していた、もて余すと言うよりかは二人を呼んでも話をするだけしかないのだが今日はノープが部屋に来た
「部屋に来ても話すことしかできないよ?」
「それでもいいよ、確認も兼ねているし」
「確認?」
「……《敵情確認》」
それを聞いて私はあっ……と言って
「それで私からなのね」
「そゆこと」
そう言うとノープは両手の人差し指と親指で四角い枠を作ってスキルを使う
「私のステータス……どうかな?」
私のステータスを見てどういう事なのかノープの視線から哀しみに満ちてたような感じがした
ノープのが終わって次は私の番
「じゃあいくよ……」
ノープと同じ用途で見てみるとステータスが浮かぶ
『ノープ・アキサメ』レベル70
攻撃700
魔力8900
速さ:700
賢さ:800
技量:700
スキル スキルポイント:50
《敵情確認》《武具の達人》《超反応》《全開機動》《魔術圧縮》《全状態異常耐性》《領域展開》《勇者の素質(覚醒)》《魔力解放》
あれ?私の友達って……こんなに強かったっけ?
「あはは……ノープ、ちょっと?」
そう言ってノープを見ると彼女は頬を掻いて目をそらす
「あ……そう言えばこういうスキルが冒険者には重要なものだから性能を誤魔化すスキルがあるって聞いたことあったけど……流石にこれは誇張し過ぎたよ」
「そ、そうね……ちょっと強くし過ぎたね……」
そう言って互いに笑いあった
朝 寮
ノープのステータスを見て次はクーの見てみたいと頼んでみた、そうすると彼女は
「おう、遠慮なく見てみりゃいいぜ」
と快く承諾してくれた
「ではでは早速……」
『クー・サキジマ』レベル68
攻撃:5700
魔法:800
速さ:3400
賢さ:400
技量:3400
スキル スキルポイント:42
《敵情確認》《鋼の意思》《反撃無視》《防御貫通》《空間破壊》《霧の存在感》《魔力解放》《勇者の素質(覚醒)》《特殊:爆熱装着》
「……」
もう何も言える言葉がでない……どう見てもスキルで誤魔化せるような中身じゃない
「……ねぇ、クー……」
「なんだ?」
そして1つの答えが疑問で出てきた
「私達って……
「……っ」
聞いてみたらクーが固まった
もしかして……なんて思って聞いて損はなかったけど、
『
「……クー、ノープを呼んで下さい……二人に聞きたいことが」
そう言うとクーは無言で頷いてノープを呼んだ
ノープも私の真剣な表情を見るなり少し驚きつつも直ぐに聞く体制をとる
「二人とも……これはどういう事?」
「どういう事って、一体……」
「ステータスです、こんな歳でここまで強くなれる訳ないでしょ!」
そう叫ぶとノープはビクッと反応して縮こまってクーとヒソヒソと話し始めた
「(クーっ、何とかしてよ!これ以上は隠せそうにもないよ!)」
「(そんな事言われても私もわかるか!こうなったら彼女にも話すしか……!)」
「何二人で話しているんですか、もしかして何か隠して……」
そう言いつつ二人の肩に触れたら手から電流が流れ記憶が一瞬映り出す
「……っ!」
意識を取り戻すと二人が心配そうな顔をしていた
「マリー、大丈夫?」
「……うん、大丈夫みたい」
「はぁ……これはマリーにも話した方がいいな」
クーが腕を組んでため息を吐いて私に事情を話した
ある時から世界がループしていること、それに気づいたのが学院に入る日まで戻った時からということ、そして
「じゃあなんで私だけ記憶がないの?」
「そりゃあ、誰かにあんたの記憶を消したくらいしか思い浮かばないな」
「『学院に入る日まで』だし……ってことは私はその時に遅刻で……あっ」
ふと、思い至る節がたった一つだけあった
あの時にぶつかったあの人しかいない……
「あの人だけしか……」
「誰か予想がついているみたいだね」
どんな姿をしていたの?と聞かれたのであの時に見た人は……
「確か……白い薄衣をしていて、青い長ズボンをはいてて……」
その人を伝えると二人が驚いた顔でこっそりと
「もしかして……あの人の事か?」
「ええ……多分そうかも」
何か考えながら話していた
「ねぇ、一体誰なんですか?」
聞いてみるとノープから話した
「あの人は……私達が戦う運命をどうにかしようとしているの」
それを継ぎ足すようにクーが話す
「あいつはさ、誰かが死ぬことを……特に私達を死なせまいと1人で立ち続けているんだ」
「えっと、その人の名前は……」
クーがその名を語った
「ヒロ……『ミサキ・ヒロ』」
ヒロ、それが私が最初に会って……そして今も戦い続ける人の名前
「私は……あの人に守られてる……?」
「まぁそう言うことだが、マリーの記憶がないのも1つ引っかかる」
「そうね、それに彼がマリーの記憶を消す理由が見当たらない」
……気になって聞いていたとはいえ私が驚く事になるなんて思わなかった
そして彼の事を聞いた、爽やかな笑顔で誰にだって接してくれる人で、一時期は努力を惜しまずに三日三晩続けているくらい人一倍責任を背負い続ける人だってことを
「そんな人が、私達を守って……」
「彼に関してのちょっとした噂もあったし……」
「まさか、本当にやってのけたから凄いけど」
二人が笑いながら話し合っている
そこまで親しかったのが見て取れるくらいの笑顔で……話していた
「えっと、その噂って?」
クーがん?と言ってから
「あいつ、一回魔王に勝ったって噂を聞いてな」
「えっ……えええええええ!?」
こんな人が私達を守っていると考えてたけどこれはない、勇者が戦う前に魔王に勝っちゃっていいの?
「そ、そんな事が……」
「すごいよね、ヒロってば毎日魔王城に来ては、魔王に勝負を望んでいたのは事実だったし」
「この調子じゃあ、魔王も繰り返しても記憶持ってるんじゃねえのか?」
「あ、あるかも!しかも一回女子会開けた事もあったよね」
「あったあった、それで買い物にも付き合ってやってぬいぐるみに抱きついてたもんな」
二人まで魔王の知り合いでした
と言うかちゃっかり友達になってる……魔王がぬいぐるみに抱きつく……なんか想像がつかない
「魔王って……誰の紹介でこっちに……」
「もちろん、ヒロだよ」
ヒロって人どこまで開放的なんですか……
「それからは一回もあってないな……」
「そうね、あれから一切見かけなくなって……そろそろ来てもいいのに」
そしていまから気づいた……
「(……あれ?)」
もしクーやノープ、魔王にも対処したってなら
クーとノープと魔王……なんでだろう、何故かそこにだけポッカリと穴が空いた感じがする
「じゃあ彼はなんでまだ戦って……」
私が言うとクーが私を見ていて
「それはなマリー、君を助ける為に戦い続けてるんだ」
「……えっ」
「あ、そろそろ授業が始まるんじゃない?」
私が驚いている内にノープが言う
「あ、そうだった!遅れねぇ内に教室に行かないと!」
そう言って寮を出る
「えっ……え?」
「ほらマリー!行きますよ」
反応に困っていたらノープに後ろから肩を掴まれて押されていった
昼 訓練所
「では魔力射撃訓練を始める、皆自由なタイミングで的を狙え」
今回の授業はただの的当てですが、それと同時に別の魔力適正を確かめる試験でした
皆それぞれが魔術を行使していき的を当てていく
そして、クーとノープの場合……
「なぁノープ、一回力試しといこうぜ」
「そうね、でも初級魔術でどれだけいけるかでいきましょう」
「よっしゃ!」
二人して右腕を伸ばし手の人差し指と親指で照準を作った、そうすると二人の指先からクーは炎、ノープは氷を作って
「《
「《
二人の全身が青く輝き、指先の魔法を放つ
彼女らの全身から魔力が放出された状態での魔術使用、当然威力は見てて分かる程高く、的を撃ち抜くどころか壁に穴を空け、壁の先で大爆発が起こってこの授業は中止になった
私はこの光景で唖然としてましたが、二人のステータスとそうなった経緯を聞くと何故か納得してました
昼 図書室
「いやーまさか中止になるとはなぁ……」
教室か図書室で自習になり、二人がやらかした事はどういう訳か、何も音沙汰がなく自習になりました
「そりゃ《
「分かってるけど、やり過ぎはダメだと思う」
「ちぇっ……」
私は二人に勧められた本を読んで過ごしている、どれもこれも魔術の使い方がよく分かりやすい本が多く、ちょっとした小技や魔術行使するときの相性がしっかり書いてあった
クーは片手のペンを回して暇をもて余していていて、ノープは《領域展開》をして最早どう答えればいいのか分からないくらいの計算をしている、本人曰く「ちょっと新しい魔術を創ろうと」……らしい
放課後 寮
やっと4時間丸々使った自習が終わり、話の続きを聞くが為に部屋に二人といる
「ねぇクー、そのヒロって人がなんで私を助ける為に戦っているの?」
「そういや話をしようとする前に終わってたな……長いぞー」
そう言ってかクーは姿勢を正し、真剣な表情で語る
これは、私達が始まった話だ
だがアイツは今も生きているしこれからも存在するだろうと思う……
back to the rootA……
続く
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