三章『大好きだよ』
俺がアニメを好きになったのは中学生の時だ。
中学2年に入ってクラス替えが発表された。
教室に入るといきなり女の子から、タオルを渡された。
「夏来くん。はい、タオル渡すね」
渡してきた子は小学生から知ってる女子生徒で、一度も話したことがない。
「……え?」
そして女子生徒のグループの方に戻って喋っていた。
このタオルは一体……。
そして数週間が過ぎ話を聞こうと呼び出した。
「それで、話ってなに?」
「あ、いや……この前にタオルくれたろ。あれって……」
「あー普通に意味とかないから。私、彼氏がいるし」
「……はぁ?」
彼氏が居てプレゼントってなに?
「…えっと、友達として渡したとか」
それなら意味がわかる。友達として仲良くなりたいから渡したのかもしれない。
「はぁ?」
するとその子は険悪そうな顔に豹変していた。
「いや、ないから。あなたとか友達になろうとする。メリットがないから」
「……はぁ!?」
意味がわからない。じゃあ何でタオル渡してきたんだよ。
「じゃあ何でタオルを渡してきたんだよ!」
「普通に知らない男子から渡されたら、興味がなかったから、あなたに渡しただけだし」
「はぁ!?」
本当に意味がわからない。人から貰った物をたらい回しにして渡すか普通?
「さよなら。もう、話しかけて来ないで……」
後ろを振り返りっていた。髪をかけあげながら、その子は去っていく。
「ざけんな!」
意味がわからな過ぎて頭が痛い……。
その場でしゃがんで頭を冷やす。
「……」
淡い期待をしてるんじゃなかった……。
もしかしたら好意があって渡してきたのかも知れないって思ったのに、友達すらなく、ただの便利屋かよ。
「……最悪だ」
荷物を持って早く帰ろう。
立ち上がって教室の方に向かってドアの前に立った。
「うわー本当に夏来くんって、面白くないよね」
この声、さっき別れたヤツと話ししてや取り巻き……。
「そうそう。タオル渡して、からかった釣れてるのアイツ』
「それはウケる。あはは! あいつなんかいっつも見てきたじゃん何あれ?」
「あーなんか友達になりたいって言ってきて。マジありえない〜〜」
やめろ……逃げたい。
俺はそのまま教室から歩いて玄関の方に向かっていた。
ざけんな……。
玄関を過ぎた辺りから強く、踏み込み出していて。走っていた。
ざけんな! ざけんな!
さっき言ってきた言葉が蘇ってきた。
『友達になりたいって言ってきて。マジでありえない』
怒りが沸騰して涙が溢れ出す。
あんな風にバカにされ、貰ったプレゼントを好意だって思いこんでしまった自分の情けなさ心に嫌になってく。
そして自分の部屋につき。寝ようと布団にくるまるがイライラが収まらさなくって、寝れない……。
また、声が蘇って再生してくる。
『普通に知らない男子から渡されたら、興味がなかったから、あなたに渡しただけだし』
……いいから、やめてくれ!
雑音でも良いから、声を遮りたくテレビを付ける。
すると、何かアニメがやっていた。
「なんだアニメか……」
丁度アニメの女の子が告白しているシーンで嫌気があった。
『私! 貴方の事が大好きなの!』
この大好きの言葉が今となっては嫌いだ。
そして番組が終了し、新しい新アニメがやっていた。
1話を観てみると幼なじみの女の子が主人公を朝、起こすシチュエーションだった。
そして、次々と女の子が登場してきて、主人公と楽しくお喋りして終えていた。
「面白かった……。次はどうな風に言うんだろう」
少し興味が湧いていた。あんな女子のことより、こっちを見た方が楽しい。
俺は毎週のこの作品を見ていた。
笑いや恋に苦しい気持ちがこっちにも伝わってきて、キャラクターの感情が読み取れる。
そして最後にヒロインが報われた時の喜びが嬉しだった。
「良かった……」
そこからはもう、二次元の気持ちが分かるようになっていた。
「ああ、やっぱり現実は意味がわからない」
俺の事を嫌ってるんだから理解する必要がない。
そこから俺は二次元を精一杯応援してた。
そして、告白をされた。
『大好きだよ』
「俺も大好きだよ……」
そこからは出来るだけリアルの女子とは最小限、言葉をかけず生きて行こう。
そう、話してくれるのは二次元だけで、良いのだから……
青春? ラブコメ? 知らないしそんなの 二髪ハル @2kamiharu
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