第23話 ちゃんと読まないネットコメント
今日は土曜日と言う事で、学校はお休み。パレットは家でのんびりしています。久しぶりにベッドの上でゴロゴロしながらスマホをいじっていました。
「おお、この無責任感って曲、心に響くなぁ……」
彼女は今、昨日教えてもらったアカウントの別の動画を好奇心の赴くままに再生しまくっています。確かに全体的にシュールではあるのですけど、怖かったり面白かったりと、どの動画も不思議な魅力にあふれているのでした。
「ふあ~あ……」
動画を見続けて疲れたのか、朝の9時に一旦起きたパレットはまたまぶたを閉じてしまいます。そうして、次に目を覚ましたのは部屋の暑さが睡眠の限界を超えた辺りでした。昨夜は割と涼しくてエアコンを切ったままだったのです。
「うあ~、失敗したあ……」
気がつくと11時35分。お腹もいい具合に減っています。彼女はぬるりと起き上がると、しっかり目をさますために取り敢えずパジャマモードから普段着モードに着替えます。適当に身だしなみを整えて部屋を出ると、ちょうど母親からのランチのお誘いが。
そうして、昼食の後は愛好会活動の創作の事を考えます。テーマは未来。別にSF縛りと言う訳でもないのですが、参考になるかもとパレットはWEB小説サイトのSFジャンルの作品を読み耽るのでした。
「うーん、こう言うの思いつけないなぁ……。みんなすごい」
スマホの画面に夢中になっているところで、家にお客さんがやってきます。それはお馴染みのパレットの友達でした。もう何度も行き来しているので顔パスです。
「パレチー! 遊びに来たよー。何してんの?」
「やっほ。まぁ、ネタ探し……?」
「ほう……。いいネタ見つかった?」
「それがね、ちょっと聞いてよー」
近所のおばちゃんモードで返事を返したパレットに、ミッチーは首を傾げます。その言動の理由が分からないまま、彼女は友達の隣に座りました。
「何?」
「これだよ。今ツイッター見てたんだけど、この人、元のつぶやきをちゃんと読まずに反応してるんだ。私こう言うのだいっ嫌い。どうして文章を最後まで読まないんだろ」
「あー、ネットあるあるだわ。最初の一行読んだだけで脊髄反射してるねー」
「自分勝手の極みだよ!」
そう、パレットはいつの間にかツイッターの方を読んでしまい、そこで理不尽なやり取りを目にして勝手に憤っていたのです。話を聞かされたミッチーは冷静なまま、興奮状態の友達を見つめます。
「ネットに現れるおかしいのはスルーがいいよ。だって話噛み合わないんだもん」
「自分のアカウントに来たらそうするけど、他人のやり取りはどうにも出来ないでしょ」
「まぁねー。でもそれもネタだと思えばいいじゃん。世の中全てネタだよ。嫌な事も創作に活かそうよ」
「……そうかもね。ミッチーすごいなぁ」
パレットは友達の大人な意見に感銘を受けました。それからは他愛もない創作談義が続き、2人はお互いにいいネタを見つけ、有意義な休日を過ごす事が出来たのでした。
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