第13話 プチッとうどん
今日はパレットの家にミッチーが遊びに来ています。いえ、それは正確ではありませんね。何故なら、ちゃんと別の目的があって来ているからです。そう、筆記用具やノートなどを持参してきていました。
その心強い援軍の登場に、パレットの心のダムは決壊します。
「うわーん、持つべきものは友達だよーっ」
「言っとくけど、ギブアンドテイクだからね!」
「分かってるけど、大助かりだよーッ!」
話は前日にさかのぼります。突然友達付き合いが悪くなったので、ミッチーが連絡してきたのです。そこでパレットが事情を話して、一緒に夏休みの宿題を片付けようと言う展開になったのでした。
パレットが頑張った宿題と、ミッチーが片付けた宿題。ミッチーの方が多く終わらせていたもののパレットもそれなりに進めていたので、2人が見せ合いっこした事でこの夏一番の課題もいい感じで乗り越えられそうです。
ある程度の目処がついいたところで、パレットはシャーペンを机に置いて背伸びをしました。
「自由研究とかポスターとか以外はこれで何とかなった~」
「読書感想文はどうよ」
「そんなの初日に終わらせたわ。文芸愛好会やってんだよ」
「だよね~」
2人は顔を見合わせて笑います。同じ文芸愛好会に入っているミッチーも当然読書感想文は早めに終わらせていました。こうして、個人個人が独自の成果を発表しなくてはいけない提出物だけが残ったのです。
休憩した後に2人が自由研究についてアイディアを出し合っていると、パレットママがドアをノックします。時計を見ると、ちょうど12時を過ぎていました。
「2人共~お昼にしましょ~」
「「は~い」」
ランチの呼び出しに2人が台所に向かうと、用意されていたのはうどんでした。2人の姿が見えたので、パレットママの目が輝きます。
「今日は暑いからうどんにしたの。タレは各自で混ぜちゃってね」
「は~い」
テーブルに用意されているのは丼に入ったうどんと野菜炒め的な具、それとそのうどんに入れるタレ、プチッとうどんでした。一食ごとに個別で混ぜる便利なアレですね。プチッとうどんにも様々な種類がありますけど、今回用意されていたのはすだちおろしうどんでした。定番中の定番のやつです。
パレットママは既に食事を始めていたので、中学生2人もすぐにそれに続きます。容器をプチッと剥がして丼の中へ。そうして、気の済むまでうどんに絡ませて完成です。
うどんはコシのある讃岐うどん。つるつるっと口の中に飛び込ませると、その歯応えと喉越しが最高なのでした。
「う~ん、美味しい。おばさん、最高です!」
「そう? 良かった」
ミッチーの満足顔にパレットママもニッコリ。すだちおろしの風味もうどんにはピッタリで、パレットもミッチーもあっと言う間に平らげたのは言うまでもありません。
こうして空腹も満たし、宿題の片付けも後半戦へと移ります。けれど、残りの提出物のテーマとかを決めた後は気力も尽きてしまい、結局昼からの時間のほとんどは遊んでしまったのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます