第11話 カレー&ししとう

 お昼になったので、パレットはミッチー家のランチを御馳走になる事になりました。そのメニューはお子様向けメニューのド定番、カレーです。分量には好みが反映されるのでお皿だけを渡されて、それぞれが好きな分量だけご飯とカレーをついでいきました。


「好みに合うか分からないけど、ウチの味を気に入ってくれたらいいな」

「はい。カレーなら大体何でも好きです」

「そ。それは良かった」


 ミッチーママに声をかけられたパレットはよそ行きモードで対応。こうしてミッチー母娘とパレットの3人での昼食が始まります。カレーの具にはその家庭の特色が現れるものですが、自分の家と違う具材ってすぐに気付くものですよね。

 ミッチー家のカレーを目にしたパレットもまた、その違いに一瞬戸惑います。


「ええっと、これ……は?」

「ん? ああ、それししとうだよ。食べた事ない?」


 戸惑う彼女に向かい側に座っていたミッチーが即反応します。自分の家のカレーに入っていないと言うだけでなく、ししとう自体が未知のものだったので、パレットはじいっとその野菜を見つめてしまうのでした。


「大丈夫。美味しいよ。食べてみ」

「うん。あ……」

「どうよー」


 ししとうを勧めたミッチーはパレットの満更でもない顔にドヤ顔になります。そう、カレーにししとうは割といい感じの組み合わせなのでした。他にも味付けやルーの違いなどもあって、パレットは友達の家のカレーを美味しく頂きます。

 その食べっぷりを、ミッチーママが微笑ましく見守っていました。


「どう?」

「あ、はい。ルーもウチのと違っていて、それも新鮮で美味しいです」

「あはは。ありがとう。自信ついたわー。好きなだけ食べてね」


 こうして3人は満足するまで食事を楽しみます。普段はしないおかわりまでしたパレットは、食事が終わるとニコニコ笑顔でミッチーの部屋に戻ったのでした。


「ふー、カレー美味しかったぁ」

「ウチさあ、とけ込むカレーなんだよね。安いカレー。ルーが100円しないくらいなんだよ。毎回あれだからちょっと飽きちゃってさあ」

「そうなんだ。確かにちょっと味が薄めだったような?」

「でしょー。たまにはジャワカレーとか食べてみたいなぁ……」


 部屋に戻った途端、ミッチーは自分ちのカレーの不満をマシンガンのように喋り続けます。とは言え、パレットにとっては美味しく感じたし、友達の家のカレーと言う特別感もあって不満は全くなかったのでした。

 昼からも2人は楽しく遊び、夏の思い出がまたひとつ作られます。帰宅中、パレットは自分ちのカレーにもししとうを入れてもらおうと、そのためのプレゼンの計画をじっくりと練るのでした。

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