第4話 夏は麦茶!
8月のある日、パレットの家にミッチーが遊びに来ました。2人は幼い頃からの友達なので、お互いの家に遊びに行く事はよくある事なんです。朝の10時頃に玄関前で元気な声が響き渡りました。
「パレチー! 遊びに来たよーッ!」
「やあ、いらっしゃーい」
今日家に遊びに来る事の分かっていたパレットも割と早起きをしていて、訪ねてきてくれた友人をすぐに出迎えます。外は暑いですからね、あんまり待たせたくないと思ったのでしょう。この時、既に気温は30℃に達する勢いでしたから。
「ふー、もう既になんか暑いよね」
「まぁそりゃ夏だし」
「だねー」
ミッチーを自室に通したパレットはすぐに台所に向かいました。友人のおもてなしをするためです。やっぱり暑い夏に必要なものと言えば水分でしょう。と言う訳で、彼女は冷蔵庫を開けました。
「うん、冷えてる冷えてる。一応氷も入れとくか」
こうしてお盆にコップふたつとタッパーを乗せて彼女はそれを部屋に運びます。
「お待たせー」
「おっ、悪いねぇ」
「いいって事よお」
わざとらしい小芝居をはさみながら、パレットはコップにさっき運んできたものを注ぎました。冷たく冷やされたそれはすぐに汗をかき始めます。十分に注げたのを確認して、彼女は友達にコップを手渡しました。
「はい、麦茶」
「さんきゅー。うめえ! もう一杯!」
「おおっ! 飲むねぇ……」
麦茶を手渡した途端にミッチーはぐびっと一気飲み。外出してすごくのどが渇いていたのでしょう。その飲みっぷりの良さにパレットは感心します。空になったコップに新しい麦茶を注いでいると、ミッチーの様子に異変が――。
「あああ……。一気に飲みすぎたああ」
麦茶は飲みやすいので調子に乗って大量に飲んでしまうと、体が冷えすぎてしまいます。かき氷のキーンの液体バージョン状態です。ミッチーはその状態になっていました。彼女はしばらく体が固まった後、徐々に回復していきます。
「あはは……これはお見苦しいところを」
「焦って飲むからだよ。もう平気?」
「うん。一気飲みはヤバいね」
落ち着いたミッチーに注ぎ直した麦茶を手渡すと、今度はちびちびと喉を潤しました。すっかり回復した様子を見て安心したパレットも、自分の分の麦茶を注いで飲み始めます。
「ぷはぁ。やっぱ夏は麦茶だねぇ」
「麦茶サイコー!」
こうして2人は意気投合。その後もエアコンの効いた自室で楽しく遊んだのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます