第39話 桜田ファミリーの逆襲①
県内でも有数の刑務所、
ようやく寒波も去り、
「もう戻って来るんじゃないぞ」刑務官のお決まりの文句に、出所したての男は、無言のまま不敵な
「探偵。チョー暇なんだけど」鳴海 美々は回転椅子に座ったまま、ウェハースを口に咥え、その場で回った。
「あのね、美々ちゃん。そうそう依頼なんてこないもんなのよ、探偵事務所なんてさぁ」探偵はミルミキサーを回しながら、鼻から空気を抜いた。
「師匠。俺はまだ見習いだから仕方ないっすけど、美々は充分戦力なんだし、時給とかどうなってんすか?」最近はオールバックにしていたリーゼントを、探偵への憧れから、少し遊ばせた前髪を
「なんで君まで
「そう言えばさぁ、探偵の
「父は十二年前に亡くなったよ。まぁ公務員一家ってとこさ」探偵は沸いたポットのお湯をゆっくりフィルターに注ぎ入れた。
「でも、でも、探偵は公務員じゃないじゃん」
「美々ちゃん。人には色々あるもんだよ。言うなれば僕には今のスタイルが合ってるって事さ」探偵はコーヒーを啜りながら、前髪を弄った。
するとデスクに置きっぱなしの探偵のスマートフォンが震えた。
「もしもし、やぁ、古山警部。どうかしました」電話は県警捜査二課長の古山からで、とある
「桜田が……分かりました。一応は気にかけておきますよ」探偵の顔色は、幾分血の気を引いたように見受けられた。
「どしたの、探偵。顔色悪いよ」
「うん?あぁ、何…昔の悪友がちょっとね」探偵の忘れたくとも忘れ
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