15.メールでの呼び出し
『もも:今日のお昼休み第一体育館の裏に来てくれない?』
勉強会の次の日。
俺はスマホに届いていたLINEを見て驚いていた。
柏木さんからこLINEが来るなんてなんの用なんだろう。
普通体育館の裏に異性を呼ぶという行為は告白をするみたいなことを聞いたことがある。
でも柏木さんとはそういう感じじゃないしな。話しやすいしアニメの話は楽しいけどまだあんな関係を持ってないと思ってるんだよね。
「どうしたー拓人!そんな辛気臭い顔してー」
「なんかね、かし……いやなんでもない、気にしないで。」
「おい、めっちゃ気になるじゃんか!まあ追求はしないんだけどさ。」
「蒼太ありがとう。そうしてくれると助かる。」
今柏木さんとのLINEのことを聞いたら全部がわかってしまう気がして少し怖い。
もし告白だったら今の俺にOKをすることは、、できないと思う……
そうなってしうのは嫌だから…
「まあなんかあったら言えよな!」
蒼太はそう言って行ってくれた。
まあそこまで考えても何も始まらないし後でまた考えようかな。
そう思いながら朝のホームルームが始まった。
「今日校長先生からチラッと聞いただけだからみんなに言っていいかわからないんだけど、知っていた方がいいと思うから言うぞー。」
そう言ったらクラスがざわざわしてた。
少し俺はクラスメイトが話していることに耳をすました。
「莉乃ー、なんだろうね?」
「やっぱりテスト関係の何かかなー?」
「私の完全な勘なんだけどさ、転校生な気がするんだよね〜」
「それはなくない?今の時期に来なそうだけど。」
「やっぱりそうだよね〜。」
「おっほん。静かにー。みんなに知らせたかったのは、転校生だ。
来る日はまだ決まってないらしいが来週には来るだろう。みんな仲良ししてやってよな。」
「えー、本当に転校生だったの!?ももの勘すご!!」
「私の勘結構当たるんだよな〜」
「どんな子なのかなー?女の子だったらいいね〜」
「そうだね〜」
そう浜辺さんと柏木さんが話してる中俺はある人物のことを思い出していた。
それは40分前に遡る。
俺が家を出てから10分ぐらい経った時、通学路にある橋の下に1人の女の子がいることに気づいた。
彼女は何か物を探しているような動きをしていた。
いつもだったら無視していたけど最近は少し他人と関わるのも悪くないと思って、その彼女のところまで降りた。
「何か落としたんですか?」
「あ、すいません!バッグについていたストラップを落としてしまって、未だの見つからないのです…」
「俺も探しますよ!」
「ありがとうございます!」
やっぱり落とし物をしてたようだった。
ストラップか。ここは手入れされてないとはいえそこまで草が伸びているわけではないから見つけやすいと思うんだけど。
ちょっと探すか。
…
…
…
あれ?見つからないんだけど。助けた感じだったんだけど見つけられなかったら俺がきた意味がなくなっちゃう。
…
…
…
もう10分経っても見つからない…
「ごめん。結構の間探したけど見つけられなかった。俺が来た意味なかったね?」
俺は悲しくなりながらそう言った。
「あははは!」
俺の言葉を聞いた彼女は大きく口を開けて笑った。
「なんで笑ってるの?」
「いや、探すのに手伝ってくれたんだし見つからなくても私は嬉しいよ!実際そんなに大事なストラップじゃないしね〜。」
そう思ってくれるならよかった。でも俺でも後半は嘘をついてくれているぐらいは分かる。彼女の顔が言ってる。
「じゃあせめて何かさせてくれないかな?」
「うーん。」
彼女は少し悩んだ末にこう言った。
「じゃああなたの名前教えて!普通自分を助けようとしてくれた人の名前は知りたいものでしょ?」
「そうなのかな?わからないけど、まあいいや。俺は斎藤拓人です。」
「おおー、拓人くんか〜。本当に拓人くんは優しいな〜。またいつか会えたらいいな〜」
「いつかあるかもしれないですね。じゃあこれで俺は。」
「探してくれてありがとね〜〜!」
こんなことが今朝あったのだ。
彼女は高校生っぽかったしここにも慣れてなさそうだったからもしかしたら?とふと思っていたが、まあそんな偶然はないよな。そう思っていた。
「まあそう言うことだからよろしくなー。はい、号令!」
こうして朝のホームルームは終わる。
そんなこんなで転校生が来るという珍しいことがあって柏木さんからのLINEのことを完全に忘れていた拓人であった。
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