6.心の傷
「もう大丈夫?」
浜辺さんは俺が泣き止むまでずっと無言で手を握ってくれていた。
「ありがとう。もう大丈夫だから。」
俺は出来るだけもう心配をかけないように笑顔で言った。
「ごめんね。辛いことを思い出させちゃって。でも、言葉にするだけでも少しは心が軽くなるでしょ!」
「うん。」
「それでね、今から少しひどいこと言ってもいい?」
「……」
「私さ、斎藤くんがみんなと仲良くなって欲しいと思ってるの。だから少しずつでも克服するために手伝わせて欲しい。」
「あ、やだって言うなら全然大丈夫!嫌がってまでさせたくはないからね。」
どうした方がいいのか。このままでも暮らして行ける。でも変われたら生活はどう変化するのか。もう過ちは犯したくない。また嫌なことが周りで起きて欲しくない。でも、でも、もし昔みたいにみんなと遊べて仲良く楽しい生活になるのなら。
んーー。んーー。
「うん、頑張りたい。克服したいから浜辺さんには手伝ってほしい!」
「本当にありがとう!言ってくれたからには最善を尽くすよ!それでさ、ひとつだけ秘密にしてくれない?」
「何を?」
浜辺さんは心配そうに言った。
「告白したこと!みんなに知られたらもう恥ずかしすぎて死んじゃう。みんなにいじられそうで。後悔は全然してないけどね!」
そんなことかと俺は思わず笑ってしまった。
「そんぐらい全然いいよ。」
「良かった!あ、まだLINE交換してなかったよね?交換しよ?」
俺は当たり前のようにスマホを浜辺さんに差し出した。
浜辺さんはえ?と言わんばかり顔で俺を見ている。
「ごめん俺LINE全然分からないからお願い。」
「そう言うことね!分かった!ーーーー白くてちっちゃい犬のアイコンのやつ?」
「そうだよ。」
「え〜この犬めっちゃ可愛い!!斎藤くん飼ってるの!?」
浜辺さんはものすごく興奮していた。
なんか今日呼ばれたのもこれのためだったのかと思うぐらいだ。
まあいいか。
「飼ってるよ。こいつ可愛いくせしていつも指を噛んでくるんだよ。」
「それ愛情表現だよ!!めっちゃ懐かれてるじゃん!いいなあー」
「え?そうなの??初めて知ったんだけど。」
え?そうなの?だったら今日はご褒美で何かあげるか。
そう浜辺さんと犬の話をしていたらチャイムが鳴った。
「あ、もうこんな時間か〜結構話し込んじゃったね。」
「俺こんなに長く友達と話したの初めてなんだよね。」
「じゃあ私が、長く話した友達1号だー!!」
「そういうことになるね。」
「それでさっき言ったことなんだけど、今日から作戦を立てようと思ってるんだけどさ、今日暇な時間とかある?」
「んー10時すぎだったら暇だと思う。」
「分かった!そのぐらいに電話するねー!じゃあまた今度!」
浜辺さんはそう言ったかと思うと走って行ってしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「えーーやばい…」
勉強をしようとしているのに全然集中ができない。
そう、後もう少しで浜辺さんとの通話なのだ。
集中しようとしても浜辺さんのことが頭に出てきてしまって全く進まない。
まず異性と電話というものをしたことがない。最初はもしもしでいいのか?次何言えばいいのかな。ドキドキしすぎて考えてなくていいことを考えてしまう。
こう言う時は寝るのが一番だ。
そう思ってベットに寝っ転がるが全く寝れない拓人であった。
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