3.友情の復活
俺は土がついたような薄汚い教室のドアを開けた。
「ガラガラガラ。」
やっぱり100年もある校舎はボロいな。
そう思っていると、いつもどおりの顔が見えた。
「拓人-!」
少し嬉しそうにしながら蒼汰は話してきた。
「蒼汰。。」
蒼汰の顔を見ただけで考えたくなくても思ってしまう。
俺はまだ昨日のことを引きずってしっている。
もう諦めるって決めたじゃないか。
「さっき聞いちゃったんだ。アリスってキャラが好きなんでしょ!
さっき調べちゃったー。かわいいねこの子!」
え?
「え?」
俺はぽかんと口を開けてしまった。
「だからー、アリスって子めっちゃかわいいね!!」
「え?」
蒼汰は急に上を向いてうなずいてああーって顔をして俺に指を指して言った!
「昨日あんなに動揺してたのってこのことだったのか!!
オタクがバレちゃったからいじめられるとか友達じゃなくなっちゃうとか考えてたんだろ~。」
「う、うん。。。。。。引かないの。。。?」
「引くわけ無いだろ!いいじゃんそんなの拓人の立派な趣味じゃん!
そんなんで友達じゃなくなるなんて友達じゃないぞ!!」
蒼汰は言い切ったようにスカッとした顔になった。
「で、でも。。」
それでも俺はまだ信じられない。
昔のことが心の奥深くで棘が刺さっていた。
「だからーー!俺は人の趣味で勝手にそいつを判断しないし、
楽しいって思ったら友達!それだけ!
だから拓人とは友達!分かった?」
「。。。」
本当なんだろうか。信じてもいいのか。
ぐるぐるぐるぐる。
「もう!わかった。俺は仲のいい友達と思ってる。拓人は俺のことが嫌いか?」
「嫌いじゃない!」
「わかった。今日はそれでいい。毎日喋って笑って、それでわかってくれればいいから。
だからさ、これは改めてよろしく。」
蒼汰は俺の手を握った。
今は、まだ、難しいかもしれない。でも、でも、これは本当の気持ちなのかもしれない。
「はい!これでこの話はおしまい!それはそうとして昨日はゴメンな!俺は拓人のことを全然わかってなかった。」
蒼汰は少し笑って少し申し訳無さそうに言った。
「もういいよ。大丈夫。俺も動揺しちゃってたのもあるしごめん。」
「よかった。俺もさ少し関係が悪くなっちゃうのかって心配してた。」
二人で一緒に見合って笑ってしまった。
あれ?なんか違う。いや違くない。
蒼汰に嫌われなかったのは本当に本当に良かったんだけど、何か忘れている。
なんだ?なんだっけ?
「斎藤くーん!ちょっと来てーー」
あ、浜辺さんたちのこと忘れてたああああ。
ど、ど、どうしよう。
「あ、はい。」
急に話しかけられてそっけない対応になってしまった拓人であった。
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