第2話
「どうやら君とはもう切っても切れない縁になってしまったようだな。フムフム、これもまた一興、悪くない」
「あー、最悪。なんでこんなことになったの……。なんでなんでこんなやつが……」
「まぁ、そういわないでよ。俺もちょっとは悪いと思ってるんだze⭐︎凛ちゃん」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!なっんなのぉー!バカ柳ほっんとイライラする言い方するわねー!どうにかならないのそれ!」
「すまないな、俺は生粋の性格も顔もイケメンなんだよ⭐︎凛ちゃん。」
「あぁぁぁぁぁ!もうおかしくなっちゃいそう!しかも地味に顔はそこそこイケメンなのが腹立つぅぅ!しかも凛ちゃんとかやめてくれる?ふつうに凛ちゃんなら百歩譲ってまだいいんだけど、語尾あげて凛ちゃん⤴︎とかホント無理だから」
「そうだな、まだイマイチ分からないことが沢山あるぞ。もう一度やってみよう。凛ちゃん、俺のこと押してくれ、そして部屋から出そうとしてくれ」
「え、今までの流れガン無視じゃん。何それ……。はぁ、まぁいいけど。なんとなく柳というやつがどんなやつか分かってきた気がするわ」
グーグーグー押してみる。
「ダメだな。なんでこれ出れないんだろ。なんか分かる?凛ちゃん?」
「なんだろね、でも私がこの部屋から出たときは出れたんでしょ。なんかあるよね。あ、部屋変えてやってみようよ。隣の部屋誰も使ってないし」
グーグーグー
「ってやっぱり出れないじゃん」
「……………。柳、ちょっと来て。ここはお母さんとお父さんの寝室。ここでもやってみよ」
グーグーグー
「あれ?ダメだな。やっぱり出れないや。ん?あれ、どうした凛ちゃん?」
凛ちゃんは顔を蒼白にしている。
「……………。私が部屋から出たら一緒に出る。私が部屋にいたら部屋から出れない」
何か小さなささやきが聞こえる。あまり良く聞き取れないな。
「え、凛ちゃん?なんて言っ………」
「ってこれ、ずっと柳と一緒にいなきゃならないってことぉ!??同じ部屋にいないといけないってことじゃない。なんで………」
「そんな深刻な顔しないでよぉ。ハハハハ。俺がいるだけでそんな嫌がるなんて、そんなのゾクゾクするなぁ〜」
「ぐすん、…………」
「あれ、ホントに泣いちゃった?」
「あぁぁぁぉぁぁぁぁ!なんなのこれー!」
彼女は大声を上げた。俺と会ってから出してきた叫び声の中で最も大きな声で。
「ちょっと、凛うるさいわよぉ。何してるの?何かあった、大丈夫?」
下の階から声が聞こえた。
「ああ、ごめん。お母さん、大丈夫、何でもない。ちょっと、アンタのせいで変なやつになっちゃいそうじゃない」
「え、そんなジト目で見ないでよ。なんか反応しにくい。どうせならもっと睨んでくれ。
あぁ」
「はぁ、ホントに私これからこんな人と一緒にいなくちゃいけないの。あ、そうだ!それならトイレってどうなっちゃうの?もしかしてアンタに見られるの?」
「さぁ、どうでしょーか!別に興味ないから気にしないでよ」
「いや、気にするわ!アンタはしなくていいんでしょーが!ちょっと行ってみよ。確認したい」
凛がトイレに入っても、柳は移動させられることなく、見えない壁に阻まれることもなかった。
「なんなのそれ!トイレのプライバシーだけは守られるの!?それは嬉しいけど、それだけって意味分かんない!」
「別にトイレのプライバシーがあるとは限らないよぉー。何でも透ける俺はトイレのドアの中にも入れるんだからぁ」
そう言って柳はドアから顔だけがでるありえない光景になっていた。
「キャア!あぁーびっくりした。やめてよ、それ。二つの意味で怖い。顔だけ出てるのも怖いし、覗かれるのも怖いってかなんでアンタ覗いてんのよ!今は実験でトイレ入っただけだったからまだ良かったけど本当にしてたらどうしてくれるのよ!アンタ次入ったら容赦しないからね!死ぬまで殴ってやるんだから!」
「え、凛ちゃんのトイレ覗いたら死ぬまで殴ってもらえるの!?じゃあやろっかなぁー」
「……。ꐦꐦアンタ、マジで殴ってやろかぁ!」
「冗談だよ、冗談。本当にそれは流石に嫌だよ。俺もただ殴られるだけなら喜んで受け入れるけど、殴り殺されるのだけは勘弁だ。いやーでもそう考えるとそうだな。俺は幽霊なんだろ、ならどうやったら死ぬんだ?俺はいつまでこのままでいないといけないんだ。幽霊になるのはいいんだけどずっとこのままは嫌だぞ。そうだ!俺は成仏したい。一番気持ちいい方法で成仏しよう!だから凛ちゃんも協力してよ」
「え、うん、それなら協力するよ!ばっちりする!」
「え、ありがとう。どしたの?凛ちゃん。えらく協力的だね。あんなに僕を毛嫌いしていると思ったのに…」
「やっぱ、柳ってバカね。私が協力して早く成仏できたら早くいなくなってくれるってことでしょ。そんなのするに決まってるじゃん」
「あ、そっか。くそー!俺としたことが見落としてたわ。名探偵と呼ばれていた俺が」
「何しょうもないこと言ってんの。何の記憶もないんでしょ」
「はっ!くそー!バレてしまったか。さては君が名探偵だな?」
「あーもう、ハイハイ。そうゆうのめんどくさいから」
「えー冷たいなー。でもそれもイイ」
「あとさ、柳。アンタって私は見えるけど他の人はどうなの?さっきは外に人がいなかったから分からなかったけどさ」
「うーん、どうなんだろ。俺は自分のこと何も分からないんだから、俺に聞かないでー」
「凛ー。ごはんよー」
俺たちがゴタゴタしている間にこんなに時間がたってたのか。
「あ、お母さんが呼んでる。もう行かなきゃ」
「じゃあさ、俺も多分ついていくことになるんだろうし、凛ちゃんのお母さんの前に出ちゃって確かめようよ」
「えー。そんなのもし見えちゃったら言い訳聞かないよ。知らない人だったらなんとかなるかもしれないじゃん」
「そうなか?」
「そうだよ。だから影に隠れててね。出てきたらダメだから」
そう言って凛ちゃんは階段を降りていく。やっぱり俺も引かれていく。
「やったー。今日ハンバーグだ!お母さんやるぅー」
「凛、そんな喜んでくれるの嬉しいわ」
俺は何故かいても立ってもいられなくなって凛ちゃんのお母さんの前に出てきてしまった。
「あ!」
「どうしたの、凛?」
「いや、何でもない。ふぅ、良かった」
俺は意地悪がてら凛ちゃんのハンバーグを舐めるそぶりをする。もちろん俺は触れないから。
「ッチ!おい………」
俺はひと回り小さくなった頭を掴まれ、投げられる。「ドスッ!」「チーン」透けるはずだと思ったのだけど壁にぶつかって頭を打った俺は意識を失った。
「凛どうかしたの?」
「何でもない、あースッキリした。お父さんソファに座ってないで、こっち来なよ。ごはんだよ」
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