エッセイ

8/15 ホットケーキ

ホットケーキになりたい。

今日の昼、ふと口に出た。

何も某主人公のように、本気で物理的にパンになりたい

と言ったわけではない。

当然、一人の女優を生み出したりはしない。

冗談はさておき、北海道の有名なお菓子屋さんである

六花亭でホットケーキをごちそうになった。

母の買い物に付き合ったからという小学生みたいな理由で。

六花亭はマルセイバターサンドなどのお菓子だけでなく

大きな店舗では喫茶室も併設してある。

夏であれば六花氷という練乳と牛乳を

合わせて凍らせたかき氷もあり、これがとても美味しい。

しかし今日はホットケーキを頼んだ。

ホットケーキが出されて間もなく

なんともいえない優しい甘さの香りが広がった。

フォルムもまんまるくてふわふわしていて可愛い。

別添えのバターとメープルシロップをかける。

それはもう完全なホットケーキだった。

私はその見た目と香りに満足し、

「ホットケーキになりたい」と口にする。

そんなことにはもう慣れっこの母は何にも言わない。

よく桃になりたいとか、グレープフルーツになりたい

とか言うんだから当然の成り行きだ。

私もこれくらい甘く優しい、どこか懐かしくもある香りで

ふわふわしているのに意外としっかりしたホットケーキになりたいな、と。

こじつけのようだけれど一応本気で思っている。

今日からしばらくはホットケーキを目指して頑張ります。

パンケーキではなくて、ホットケーキ。

パンケーキだと見た目に力が入りすぎている。

もっと、森の中の小屋が似合うようなのがいい。