第1話 祠の理由
村外れにひっそりと佇む小さな神社。
今となってはほとんど人が寄り付かなくなってしまい、廃れてしまった神社。
しかし、建造された当初と比べ大分廃れてしまってはいるものの、小さいながらにして立派に建てられたということはありありと感じることができる。
では何故、幾多もの年月を重ねてもなお輝くほどの神々しさを放つこの神社に人が寄り付かなくなってしまったのか。
それを語るには、神社がまだ繁栄していた時代まで遡る。
この神社が建てられた当初、村は飢饉に悩まされていた。
ただでさえ、食い繋ぐのに必死なのにも拘わらず飢えを加速させるかの如く、重くのしかかる税収。買い叩かれる特産品。何度お上に願い出を出しても、取り合ってもらえることはなかった。
お上にも、誰にも頼ることもできなかったため、村長はもう神に頼る他なかった。村長は祠を立て、毎日のように祈り続けた。村長のそのような姿に感化された村人たちが一人、また一人と増えいつしか、村の習慣とまでになった。
人々の祈りが通じたのか、お上から村への援助に加え、税の額は例年の二割減でいいとされた。これなら村人全員で冬を越せる!と村長らは歓喜した。
知らせを聞いてから村長らがまずしたことは、祠の修繕である。金銭的にも時間的にも余裕がなかったため、毎日祈りをささげるたびに痛ましく思っていたのだ。
そして修繕が終わり、祈りをささげるときには村長をはじめとした村人の目には涙が光っていた。
その一件以来、村では朝と夕方の仕事前と終わりを神に報告と感謝を告げることがこの村の慣例となったのだ。
村は徐々に繁栄していき、豊かな村になっていった。
村が豊かになったということは、それだけ財政にも余裕ができたということ。村長はやはり、この豊かさは村人皆のおかげだと思うのと同時に神のお力のおかげだと強く思っていた。
そこで、祠を建て替えて一回り大きい神社を造った。
さらに、とある姉妹に巫女と神官(巫女の補佐)という役職に就かせ、神社の管理を任せた。
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