第6話 学校1

 4月22日、今日から古鳥高校の新学期が始まる。俺は今日から高校二年生となるわけだ。

 まあ、高校二年生になったといっても朝やることは一年生のときと変わらない。いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ制服に着替え、いつもと同じように朝ご飯を作る……だが、気分はいつもより晴れ晴れとしている。


「ピンポーン」

 

 家から出るための準備していたとき、突如インターフォンの音が家中に鳴り響いた。こんな朝っぱらから一体誰が?……もしかして!!

 俺は期待に胸を膨らませながら家の扉を開ける。そして目の前にいたのは……朝日だった。


「……なに不服そうな顔してるのよ。」

「わ、悪かったよ……ていうかその格好、古鳥高校の制服じゃねえか!!」

「あれ、言ってなかったっけ?私、今日から護衛のために切間君と同じ学校に通うことになったから。」

「ま、マジかよ……」

「なにか不満でも?」

「いや、別にないし。むしろありがたいんだけどさ。ただ……」

「……まあそりゃそうよね。かわいい女の子と一緒に登校なんて緊張しちゃうよね。」

「いや、ちげえから!!ただ、もしあいつに一緒に歩いてるとこ見られでもして勘違いされたら……ってかやべえ!!もう学校行かねえと遅刻するぞ!!」

「えっ、もうそんな時間!?転校初日から遅刻はさすがにまずい!!」


 俺達は急いで高校へと向かった。



 


「はあ……何とか間に合ったな。」

「後ちょっとで遅刻だったね……」


 俺達がゼエゼエ言いながらそう話していると、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「切間、おっはよ!!」


 この元気いっぱいな声の主はそう……姫野だった。


「お、おはよう」


 唐突に呼ばれたもんだから少し気のない返事をしてしまった。


「もう、新学期なんだからしゃきっとしなきゃ、しゃきっと……」

「ははは……わりいわりい。」

「で、そっちの女の子は誰?一緒に登校してきたみたいだけど。」


 あ、まずい。


「え、ああ、こいつ?こいつこの前隣に引っ越してきたやつで学校までの道がわかんないっていうから案内してたんだよ。なあ?」


 俺はとっさに嘘をついた。出来れば嘘なんてつきたくないがさすがにほんとうのことをいう訳にもいかないし、かといってだんまりを決め込んだら誤解されかねない。朝日もうまいこと乗ってくれれば良いが……


「はっ、は、初めまして真理さん!!私、今日からこの学校に転入するこっ、ことになった神宮朝日です。よろ、よろしくお願いします!!」

「ちょっ、おま、どした!?」


 やしゃは緊張してすごいガチガチになっている。


「よろしくね朝日ちゃん。私も同じ転入生だから仲良くしようね。」

「は、はひ!!よろしくお願いします。」


 なんというか、こいつ本当にアイドル姫野のこと好きなんだな……すごい幸せそうな顔してるし。


「ふう、よかった……」

「ん、今なんか言ったか?」

「ううん!!なんでもないよ。それじゃあ、私先生に呼ばれて職員室にいかないとだから。また後でね。」

「おう、また後でな。」


 姫野はそのまま職員室へと向かっていった。


「ふわああーー……。」


 朝日は幸せそうな満面の笑みを浮かべている。


「おいおい、すげえ顔緩んでるけど大丈夫かよ。」

「べ、別に緩んでないから……っていうか私も職員室にいかないとだから。その間狙われないように気い張っててね」

「いやいやさすがに学校内じゃ狙われないだろ……狙われないよな?」

「さあ?とにかく気を抜かないでってこと怪しい奴がいたらその銃で……ね。」


 神宮朝日はその場を去っていった。


「この銃でねえ……。」


 俺は悪魔武器とかいうこの銃を鞄に入れて持ち歩いている。いつ狙われても大丈夫なように。まさか俺みたいな平凡な人間が人から命を狙われる日が来るなんてな……。しかもそいつらはアイドルのファンクラブとかありえねえだろ。もしかしたらこの学校にも『黒』が……


 そんなことをかんがえていると誰かがぽんと方をたたいた。


「うわっ!!」


 びっくりして思わず声を荒げてしまう。


「うお……っておいおいびっくりしすぎだろ。こっちまでびっくりしちゃったじゃねえかよ」

「なんだよ。佐原かよ……脅かすなっての」


 こいつは佐原悠斗さはらゆうと俺の友達だ。


「別に脅かしてねえだろうが。お前そんなびびりだったっけか?」

「いやまあ、ちょっと色々あってな。」

「……そっか、ていうか聞いたか?姫野がアイドル休業してここに転入してくるって話。」

「ああ、聞いてるよ。ていうかさっき会ったし。」

「まじで、もう来てるの!!いやあ、まさかあのマリリンこんなさびれた街に戻って来るなんてな。本当やべえよな!!」


 もうすでに、姫野が実家で休養することは世間に公表している。当然、佐原のように同じ小学校、中学校だった連中はここの高校に来るのは容易に想像できる。まあ、ここら辺が田舎ということもあってここの高校のメンツは半分以上小学校、中学校と同じなのだが。


「しっかし何だろうな、この人気絶頂ってときにアイドル休業するなんてな……もったいないというか何というか。」

「仕事のことでストレスとかたまってたんだってよ」

「ふーん、そうなんだ。ってかなんで知ってるんだ休業してる理由。世間で公表されてないのに。」

「会ったんだよ。一昨日、姫野と」

「……そうなのか。そういやお前、姫野と仲良かったもんな、うらやましいぜほんとに!!」

「いやまあ、小学生のときに仲良かったってだけだけどな……」


 そう、俺と姫野の関係は小学校のときに仲良かったてだけなんだ。それなのにあることないこと言われて命狙われる羽目になって……本当に良い迷惑だよ……


「おい、どうしたなんか顔険しくなってるぞ。」

「はは、いやいやなんでもないから。それよりも早く体育館行こうぜ。」

「体育館?そうか今日始業式があるんだったな早く行こうぜ!!」




 俺達はそのまま体育館で始業式を終えてそのまま二年生の教室へと行く前に一階廊下に張り出されたクラス分けの票を確認しに向かった。


 この学校のクラスは二つ。あいつと、姫野と同じクラスになれる確率は二分の一、50%、ポ○モンで言えばでん○ほうが当たるのと同じ確率……そういうと全く当たる感じがしないが。だが、それでも、それでも俺は!!!


 俺は覚悟を決めてクラス分け票を確認するそしてその結果は……




 

「いやあ、また同じクラスになれたな。」

「まあ、そりゃあ二分の一だからな、別に珍しくもなんとも……」


 俺は佐原とありがちな会話をしていると先生がドアから入ってくる。


「ええ、静かに静かに。みんなもうクラス分け票を見て知っていると思うが二年生から転入となった……」


 教室のドアが開きは教室へと足を踏み入れる。


「……姫野真理です。みんなこれからまたよろしくね!!」


 彼女は曇り無く晴れ晴れとした笑顔でそう言った。










 

 


 


 



 

 


 

 



 

 

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