第1章 Start towards the top

第1羽 高校入学

  海浜高校、総生徒数900人とまぁまぁいる。

 文武両道を掲げているため部活動への入部率は99パーセント、その分様々な部活が存在している。

 この学校の特殊なところは入学前に仮入部を済ませて、入学式当日に活動場所に行きそのまま入部することだ。


 ということで今バドミントン部の活動場所にいるのだが…


「俺1人しかいない……どゆこと?」

 

 まさかこの小説での第一声がこれとは思わなかった。

 そう思っていると、1人が歩いてこっちに向かって来たので話しかけてみた。


「バドミントン部入部希望の人? 俺もそうなんだけど誰もいなくて心配だったんだ」

 

 一瞬間が空いたと思うと……


「げっ……ナンパですか?やめてください離れてください。顔が猿みたいでガチでキモいです」


 これが高校で最初の女子との会話だった。

 正直かなり傷ついた。

 バナナだって食べてないのにそんなこと言われるなんて……と思っているとさらに奥から2人の女子が来た。

 

「あなたたちが入部希望者ね。私は鬱金香うこんこう 紗黄。バドミントン部マネージャーです!これからは紗黄姉って呼んでね!」

 

とめちゃめちゃ綺麗な人が言ってきた。


 「はい〜! 私は花一華はないちげ 紫織です。精一杯頑張るのでよろしくお願いします」

 

とおれの後にきたさっきの女子が言った。

 なんだこいつ、俺の時と全然態度が違う……てか目が違う。

 俺の時は犯罪者並みの睨みだったのに今は尊敬の眼差しを向けている。


「お〜い。そこの君の名前は?」


「は、はい。羽崎うざき 蓮と言います。ところで…他の部員は?」

 

と申しなさげに聞いてみた。


「う〜ん……」


 なぜか黙り込んだ。

 そんな姿もかわいい〜とか思っているとまだ一言も喋ってない女子が


「この部活はマネージャー含めて4人。あと1人見つけないと部活が廃部になっちゃうんだからね!」


「はい?」


 その理解不可能な単語についつい声が漏れてしまった。


「向日葵が言ったとおり、今日中にあと1人部員を見つけないと廃部になっちゃうの」


とニコニコしながら先輩は言う。

やっぱかわいい……どころの話ではなく、また不運を振りまいてしまった。

 それも今回に限ってはもはや活動すらできないかもしれないと下をむいていると、先輩が


「と言うことで今日の目標は部員を1人捕まえよう〜!」


と言った。

 そんな陽気でなぜか少し悲しい雰囲気をまとった声が学校に響いた。

 これから果たしてどうなることか、先が思いやられる。



読んでいただきありがとうございました。

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