準備完了

 ・・・ん、誰かの背中?クウガさん・・・?つっ痛いおなか・・・


 「まだ大人しくしていろ」クウガが優しく言ってくれた。


 「クウガさん、優しいんだ」


 「任務だ」


 「ごめんなさい」ユッカの目から涙があふれてきた。


 「どうした?」


 「私、みんなの足を引っ張ってばかりで、何の役にも立っていないよね」


 「バカ、そんなことないだろ、お前の土魔法がなければ夜眠ることすらできない、戦闘だけがパーティーじゃないぞ」


 「クウガさん、そんなに優しくしたら、私好きになっちゃいますよ?」


 「おう、良かったらお兄ちゃんと呼んでくれ!」


 「お兄ちゃん・・・、はは、そうですね」


 「ん?」


 「もう降ります!降ろしてください」


 「あ、ああ」

 

 ユッカはすたすたと歩き始める。


 「俺何か悪いこと言ったか?」アルナに耳打ちする。


 「バーカ」


 採掘ポイントを二つ通り、レア鉱石をゲットしたが、ボスの部屋の前まで、モンスターとは遭遇せずに済んだ。


 朝キャンプを出てからは9時間近くが経過していた、


 「ボス戦の説明をします。ボスはアーマードラゴン、首と胴、いわゆる弱点部分の皮膚がものすごく硬いことから、そう呼ばれています。今回の依頼は、その心臓と、硬い皮膚を持って帰ること。おそらく伝説級の防具になるでしょうね」


 「そういう防具はギルドに頼まないで自分で取りに来なきゃな」ゴッドが茶々を入れる。


 「戦い方は、ゴッドとユッカちゃんのパク・ドラゴンが盾役、エルは飛んで上から比較的弱い背中を攻撃して、クウガは足を狙って、私は眼と顔に攻撃を集中させる、ユッカちゃんはパク・ドラゴンが倒されたらすぐに次のパク・ドラゴンを召喚して、それとなるべく距離を取って。全員に言えるけどドラゴンのブレスは物理・魔法防御を貫通してくるから必ず避けて、以上」


 アルナが全員の顔を確認するが、特に異存はないようだ。


 ボスの部屋の両開きの扉を開けると、そこには巨大なアーマードラゴンが鎮座していた。

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