第6話

「あ、あの」


「はいはい。まずはなぜここにいるのかと、目的を、ってあれ。このひと、普通の人というか、なんか殺し屋感ないね」


「そうだな。おまえ、人ころしたことないだろ?」


「ないですね」


「おかしいな。刺客じゃないのか。いやそこの筋肉さんめちゃくちゃ強かったのに」


「いやまて。あんた。どこかで会ったな。顔に覚えがある」


「俺もそう思ったんですが、なんかバトルが始まっちゃって、仕方ないかなと思って」


「緊張してないですね。どのようなお仕事を?」


「山に登って、絵を描いてます」


「あっ。思い出した。あの挟まり女の文化章だ」


「あっ」


「え?」


「お前大臣の護衛だったから会ってないだろ。俺は会場内見てたときに会った。まじか」


「あ、警備の人か。あの会場の」


「おまえ、世界的ダンサーYuの夫か」


「ええ。山といいます」


「えっ、待って」


「なんだ」


「山って、もしかして、九乃重きゅうざん、さん、ですか?」


「あ、はい。普段は山って名乗ってるんでその名前慣れないですが」


「うわああああっ」


「おい、おまえ、どうした」


「ファンですっ。個展もめっちゃ行ってますっ。この前の絶景2見ましたっ。あの、あの山の朝日の感じっ、最っ高ですっ」


「あ、はい。ありがとうございます」


「あ、握手、ああだめだ画家のかたの手を汚ししちゃいかん。ええと、サイン。そうだサインを」


「握手でいいですか?」


「あ、はいっ。ぜひっあっいたいいたいいたい」


「そこの筋肉さんを解放してもらえないか。仕事の連れなんだ。それに、どうやら」


「ああ。お互い勘違いしてるらしいな」


「いたいっ。しあわせっ。あの画家の手っ」



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