冒険者ギルドにて

 スライムハンターの事件から9年が経ち、クウガもユウカも17歳になった。


 クウガは身長178センチのやせ型で筋肉質、黒い髪を短く切っていて、目の色はグリーン、女の子にも相当もてるようになった。


 ユウカは身長158センチ、黒くて長い髪は自然に垂らしていて、目の色は黒かった。


 同じ年頃の男の子からもちやほやされるが9年前の出来事から極端にクウガに依存しており、他の男子は目に入らないようだ。


 「クウガぁ、今度のクエストはどれを受けるの?」ユウカが必要以上に体を寄せてくる。


 「うーん、どうするかなぁ」ユウカの頭にひじをのせながらクウガも考える。ユウカはひじ掛けじゃないぞと不満げな視線をクウガに送る。


 二人は16歳から冒険者ギルドに所属し、冒険者として生活してきた。


 王都ラーの中心部に冒険者ギルドがあり、二人は駆け出しの冒険者だった。


 ギルド本部は各国にあるが、その中でもラーのギルドは最大の規模であり、今日も100人を超える冒険者が訪れている。


 危険な依頼が多いが、その代り成功報酬も高く、現役の冒険者は30代までが多く、40代以上となると引退やギルド運営にまわる者も多い。


 割合的に男性の冒険者が多いが、治療魔法である水魔法を使えるのは女性冒険者も相当いて、ユウカのような若い女の子の水魔法使いはあちこちのパーティーからお誘いがかかる。

 もちろん、ユウカはその全てを断り続けている。


 「これなんてどうだ?」クウガがクエストボードを指さした。


 【キリスダンジョンのモンスター退治:報酬50シルバー:達成ポイント15ポイント:ブロンズランクから】


 「50シルバーかあ、ポイントも悪くないよね」50シルバーというと新人役人の月収の2.5倍である。


 「ユウカも俺もキリスオー連盟に行くのは初めてだし、今なら海にも入れるからさ」少し照れたように伝えているクウガの目は泳いでいる。


 「なーに?私のことそんなに気遣ってくれるの?それとも私の水着が見たいってことかな?クウ君」


 「バ、馬鹿」クウガは顔だけでなく全身真っ赤になっているようだ。


 「はーい、受付してくるね」ユウカは機嫌よく受付嬢の方へ歩いて行った。

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