スライムハンターは禁止です!
神名 信
スライムハンター
「誰か、誰か、助けて」ユウカはあふれてくる涙を止めようともせずに叫んだ。
ラ・カーム王国の王都ラー、その北西部には山があり、何種類かのモンスターが出現する。
特に多いモンスターはスライムで、大きさは丁度子どもの身長くらいで、動きはそれほど速くない、見た目はゼリー状である。
そのスライムだが、炎に著しく弱い。そこで、王都ラーの子ども達はたいまつに火をつけて「スライムハンター」という遊びに山に行くことが流行っていた。
ユウカは8歳になる大人しい女の子で、「スライムハンター」などは本当はやりたくなかったが、学校で一番仲のいい女の子から誘われて断り切れずに、仕方なくついてきてしまった。
ユウカの他には男の子二人とユウカを誘った女の子一人の合計四人グループであった。
グループの失敗は予備の火種を持ってこなかったことであった。
最初の方は、リーダーの男の子がたいまつを持ち、スライムを蹴散らしながら順調に進んでいったが、しかし、男の子は持っていたたいまつを木の枝にぶつけた弾みで沢に落としてしまった。
たいまつを失った瞬間から四人を目がけてスライムの集団が迫ってくる。
まずは、リーダーの男の子がスライムに取り込まれ、最初は衣服が溶け次に髪の毛そして、頭、顔、胸、腕、足といった順番でスライムに吸収されてしまった。
二人目の男の子も同じようにスライムに食べられてしまう。
その次はユウカの仲良しの女の子の番だった。
スライムに足を掴まれ、靴がまず消化された。
その後は腰・肩とスライムが触れる部分がどんどんと溶かされていく。
「ユウカ助けて」その声にユウカは逃げる足を止めて振り返る。
その女の子はもう助からない、そう思えた。
立ち尽くすユウカが助けを呼ぶ。ミニスカートから出ている両足に力が入らず震えている。
その時、ザザザっという足音とともに炎の匂いがした。大丈夫かと声がかかる。
同い年の男の子、クウガだ。近くでスライムハンターでもやっていたのだろう。
群がってきていたスライムがどんどんと遠ざかっていく。
「クウガ・・・」ユウカは安心したのかそのまま意識を失ってしまった。
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