ラノベみたいなサービスシーン

「愛奈、旅館たんさ、く……に……」


 部屋のドアを開けた買い取りであるが、愛奈と澪の姿を見てフリーズしてしまった。

 愛奈だけだったら固まらなかったかもしれないが、澪と共に下着姿だったらから驚いてしまったのだ。

 早速、部屋にあった旅館浴衣に着替えようとしているのだろうか?


「海斗くん、ノックしてよ。私だけならノックしないで良かったけど、澪ちゃんがいるから」


 リア充オーラ出まくりの澪であっても、下着姿を見られるのは恥ずかしいのだろう。

 顔を真っ赤にしながら手で自分の身体を隠している。

 早く出ていってという視線を向けられ、海斗はすぐに部屋から出ていく。


「あら海斗、どうしたの?」


 部屋から出ると、既に浴衣姿の夏希がいた。

 着替えるのが男子以上に早い。


「部屋に入ったら二人が着替えて……」


 言ってる途中に言ってはダメな人物だと気づいたが、もう遅かった。

 目の色を変えた夏希が部屋に入ろうとしたので、海斗は邪魔をして入れないようにする。


「何で邪魔をするのよ? 海斗は見たんだから私だっていいじゃない」

「良くない。姉ちゃんが行くとカオスになる」


 今、部屋に夏希入れてしまえば、絶対に下着姿である二人を見るに決まっている。

 もしかしたら手をだしてしいまう恐れがあるため、絶対に入れるわけにはいけない。


「海斗だけラノベやアニメのラッキースケベイベントが起きてズルいわ。私も体験したいの」

「どうせ銭湯に行ったり、夏にはプールの更衣室で女の子の裸を見たりしてるんだろ」

「勿論。夏はそれだけのためにプールに行くと言っても過言ではないわ」


 変態過ぎる行為に、今まで捕まらなかったのは幸運だろう。

 その内本当に捕まる可能性だってある。

 同性同士でもセクハラは成立するのだから。


「海斗くん、お待たせ」


 浴衣に着替えた愛奈と澪が部屋から出てくる。

 見られた恥ずかしさからか、未だに澪の顔は赤い。


「ああーー、海斗のせいで二人が着替え終わっちゃったじゃない」


 もう大丈夫なので、目に涙を浮かべている夏希のことを離す。

 着替えを見れなかったくらいで泣きそうになるなんて、どれだけ見たかったのだろうか?

 異性に一切興味がない夏希だからだろう。


「海斗くん、グッジョブだよ」


 夏希がしようとしていたことを察したのか、愛奈は親指を立てて海斗に向ける。

 よっぽど夏希に見られたくなかったのだろう。


「私はグッジョブじゃないよ。原田くんに見られた……男の人に初めて見られた」

「見る方も選ぶ権利がある。ガルル……」

「何でディスられながら威嚇されないといけないの? 確かに愛奈に比べたらスタイル良くないかもしれないけど、私だって……」


 澪もスタイルは良く、確実に男を惑わす容姿をしている。


「ごめんなさい。ガルル……」

「話せるようになってきたけど、未だに威嚇はされるんだ……」


 海斗に威嚇されて、澪は苦笑いしか出来ない様子。

 きちんと澪に謝ることが出来ただけでも人嫌いは良くなってきているが、まだ威嚇はしてしまう。


「あ、海斗くんは何で私たちの部屋に来たの?」

「一緒に旅館散策しようと思って」

「探索とか小学生か」


 澪のツッコミは無視し、海斗は愛奈の肩を抱いて引き寄せる。

 浴衣越しに伝わる柔らかい感触……いつもと違うが、とても良い。


「愛奈はどうするの?」

「温泉に入ろうと思って」

「温泉?」


 次は夏希が反応するが、面倒だからシカト。

 温泉に入れば女の子の裸が見放題と思っているのだろう。

 いちいちツッコミしていてはキリがない。


「混浴あれば海斗くんと一緒に入るんだけど」


 この旅館には混浴はなく、男女で入れるとしたら部屋についている温泉のみ。

 温泉がある部屋は値段が高いため、今回はない部屋となった。

 OLである夏希が皆の分を出しているのでしょうがない。


「俺は一人でお風呂は入りたいタイプだけど、温泉だったら愛奈と一緒でもいいかもな」

「うん。次来た時は一緒に入ろうね」

「そうだな」


 いつになるかわからないが、また来るのもいいだろう。


「温泉入りいたいなら行っておいで」

「うん。温泉行こう」

「姉ちゃんは俺と一緒に男湯だから」

「何で? 私は女だよ」

「悪い。変態発言するから忘れていた。愛奈たちに手を出さないように別々入ろうな」


 一緒に温泉に入ったら夏希は何をするかわからない。

 だから二人が入っている間は夏希を監視しないといけないので、海斗は後でゆっくりと入るつもりだ。


「姉ちゃんはどうせ飲むんだろ? 酒を買いに行くぞ」

「そうだけど~愛奈ちゃんと澪ちゃんの裸……」

「いいから」


 海斗は夏希の腕を掴んで売店までつれて行った。

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