買い物に行く途中でイチャイチャ

「海斗くんとデート」

「ご飯の買い出しだけどな」


 日曜日、海斗と愛奈は食材の買い物にために手を繋ぎながらスーパー向にかっている。

 こうやって買い物に行けるのは同棲ならではだろう。

 普通のカップルでは買い物といえば服を買ったりで、食材を買いに行くことは少ない。

 幼馴染み物のラノベでは半分同棲みたいになっているので、一緒に食材の買い物をするシーンはあるが。


「買い物もちゃんとしたデートだよ。食材を一緒に買いに行くって新婚さんみたいだね」


 結婚した後のことを想像したのか、愛奈の頬が紅潮する。

 結構想像力豊かのようで、たまに妄想して「海斗くんと結婚……ずっとイチャイチャ」と頭の中が垂れ流しになることがあるのだ。

 妄想することは自由だし、何か言うのがことはない。

 海斗だってラノベキャラで妄想したことがあるのだから。

 愛奈のは実際にイチャイチャしているから妄想と言えるかわからないが。


「そうか。少しずつ暑くなってきたな」

「うん。昼間は薄着でも大丈夫かしれないね」


 ゴールデンウィークが終わった辺りから気温がどんどん上がっており、今日の最高気温は二十度を越えるそうだ。

 五月下旬には二十五度を越えるかもしれない。

 そうなったら外では半袖で過ごすことになるだろう。


「薄着になったら海斗くんも興奮してくれる?」

「そんなの知らん」


 素っ気ない態度をとってしまったが、興奮くらいはするかもしれない。

 だけど興奮するイコール襲いかかるわけではないのだ。

 愛奈はいつでして良いと言ってくれているが、もっと好意を上げてからの方が良いだろう。

 ただ、不満漏らすかのように、愛奈は「むう~……」と頬を膨らます。

 「しょうがないな」と言い、肩を抱いてから愛奈のことを引き寄せる。

 そしてたっぷりと胸板の感触を味わせることにした。

 優しく頭を撫で、休日で人通りが多いのにも関わらず、たっぷりとイチャついていく。

 愛奈が目立つからしょうがないが、どうしても一緒にいるだけで注目されてしまう。

 少しだけ慣れてきたとはいえ、視線をどうにか出来ないかと内心ため息。

 学校ついてはその内収まってくるだろうが、外では毎回この調子になるだろう。

 それでもこうやってイチャついてしまうのは、尽くしてくれる愛奈の願いをなるべく聞いてあげたいからなのかもしれない。

 だから向けられる視線くらいは我慢しようと思った。

 外だと大体は興味本位で見ているだけのようだし、学校と違って誰かに話しかけられるわけではない。


「実は海斗くんは女の子の扱いに慣れてる?」


 少し心配そうにしている藍色の瞳が向けられた。

 愛奈は過去に海斗が異性と絡んだことがあるだけで嫉妬してしまうようだ。


「ラノベ読んでるからな。それに変態の姉の扱いには慣れてる」

「そっか。海斗くんは私を喜ばすから慣れてるかと思った」

「ボッチ舐めるな」


 夏希以外の異性と話したのは愛奈が久しぶりだし、未だに他の人とはまともに話すことが出来ない。

 あまり話したいと思っていないので、このままでも良いと思っているのだが。


「ところでいつまでこうしてればいいんだろうか?」

「いつまでもが良いかな」


 今度はずっとイチャイチャしていたいという視線で、もう少しだけこうすることにした。

 買い物する時間はいっぱいあるし、イチャイチャする時間は嫌いではない。

 そもそもイチャつくのが当たり前になっており、こうするのはいつものことだ。

 愛奈の顔を胸にうずめさせ、たっぷりと堪能させてあげる。


「そろそろ買い物行かないか?」

「も、もう少し……」

「こにままだとカラオケと同じことになるぞ」


 先日行ったカラオケでは、愛奈がずっとくっついていたためにほとんど歌うことが出来なかった。

 カップルでカラオケに行くとイチャイチャしてしてしまうのはしょうがないことだが、別に家でも出来るし歌いたかったのが本音だ。


「こうしながら歩けないかな?」

「難しいぞ」


 抱き合いながら歩くカップルなど見たことがないし、そもそも歩くの自体大変だろう。

 もう少しなら大丈夫であるが、愛奈のことだから強く言わないとずっとこうしていそうだ。

 家でだったら問題ないのだが、外ではいつでもというわけにはいかないだろう。


「いつまでたっても買い物に行けないから離れるぞ」

「ええ~嫌……んん……」


 断られるのは想定内なので、海斗は愛奈の唇に自分の唇を重ねる。

 するとすぐにうっとりとした表情になり、愛奈が「んん……」と口から甘い声を出す。


「続きは家でな」

「うん……いっぱいしてね?」


 海斗は頷き、愛奈の手を繋いで食材の買い物した。

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