アニメを観ながらイチャイチャ

「アニメを観よう」


 学校が休みの土曜日、海斗は自室で愛奈にそう言う。

 基本的にラノベばっかり読んでいるが、好きな作品がアニメ化された際は必ず観るようにしている。

 作画崩壊しているのも多くて少し残念な気持ちになることはあるのだが……。


「アニメ? あまり観たことないよ」

「大丈夫。アニメは老若男女楽しめるから」


 自室にあるレコーダーには大量のアニメが録画されているので、海斗は適当に選んでリモコン再生ボタン押す。

 完全に男性向けではあるが、夏希のように女性でも美少女が沢山出てくるアニメにハマったするし観る分には問題ないだろう。

 それに愛奈だって彼氏である海斗の趣味を知れる良い機会だし、全く観ないなんてことはないだろう。


「出てくる女の子可愛いね」

「そういったアニメだからな」


 異世界ファンタジーを観せても意味不明なとこがあるかもしれないので、無難なラブコメアニメを観ている。

 現実世界で恋愛容姿があってわかりやすいし、これなら初心者の愛奈にも観やすいだろう。

 出来ることならアニメ好きになって欲しいなという思惑もある。

 共通する趣味があった方が話が弾むし、やっぱり海斗としても嬉しいのだ。


「何でこういったアニメには主人公にラッキースケベイベントがあるの? 私はまだ海斗くんとそういったことないのに」


 主人公がヒロインの着替えシーン観て愛奈が何やら呟いている。


「あるじゃん。保健室で抱きついて一緒に寝た」


 それも確実にラッキースケベイベントで、思春期男子だったらほとんどの人が体験したいと思うだろう。


「確かにそうだけど~……」


 何やら不満ようで、愛奈は「むう~……」頬を膨らます。

 もしかしたら裸を見てほしいのかもしれない。


「ラッキースケベイベントが起きてほしいの?」

「起きてほしいというか、海斗くんには私の全てを見てほしいの」


 つまりは裸見られたいということだ。

 一緒に寝ているのに襲ってくれないことに不満を感じているようで、愛奈はアニメを観ながら海斗の身体に自身の身体を押し付ける。

 あり得ないほどの柔らかい感覚が襲い、海斗は可愛いなって思ってしまう。

 好きな人に自分に夢中になってほしい……そんな風に考えて誘惑しているのかしれない。


「てか前に下着姿なら俺に見られたじゃん」


 以前に愛奈の家で持っていく服を選んでほしいということで着替えたので、その時に愛奈は海斗に見られている。

 しかもガン見したので、今も脳裏に焼き付いているほどだ。

 もちろんまた見たいという気持ちはあるが、一緒に暮らしているからといっても気軽に見るものじゃないだろう。


「うん。恥ずかしかったけど、いっぱい見てくれて嬉しかったよ」


 頬を赤らめ、愛奈はもっと見てほしいかの言葉を口にする。

 沢山イチャイチャしてはいるが、愛奈も思春期の女の子だ……男子ほどではないにしろ、少しはエッチなことに興味があるのだろう。


「でも、俺は……」


 まだ付き合って良いと思えるほど好きと言えるほど好きなのかわからない。


「わかってるよ。それでも……だよ?」


 ずっと一緒にいれるのであれば抱かれても良いという顔で、少しでも夢中になってほしいのだろう。

 付き合ってまだ日数はそんなにたっていないが、愛奈からしたら小学五年生から好きだったので付き合ってからの時間はあまり関係ないようだ。

 付き合ってから三ヶ月ほどで体験するカップル多いみたいだが、中には付き合ってすぐするカップルもいるだろう。

 現実とは違うが、パソコンで発売されているギャルゲは付き合ってから比較的すぐヤると夏希が言っていた。可愛い女の子が好きすぎてギャルゲにも手を出したようだ。

 愛奈は早く海斗に初めを捧げたいのだろう。


「私が本気で好きなのはわかってるよね?」

「そうだな。好きな気持ちは伝わってくる」


 あり得ないほどに一途に想い続けているのだし、これが本気でなかったら他の人の恋愛はお遊びと言えるだろう。


「だからいしても良いんだよ?」


 上目遣いで言った後、愛奈は海斗にキスをする。


「んん、んちゅ……」


 唇越しに熱くて柔らかい感触と共に好きという想いが伝わってきて、海斗もそれに応えるように自身の唇を動かしていく。

 いつもより濃厚なキスになってしまったのは愛奈の想いに応えるためだ。

 まだすることはないが、もう愛奈と一緒にいるのは決まったようなものなのだから。


「俺から離れるとか言わないし大丈夫だから」

「うん。愛してる」

「ありがとう。俺ももっと好きになれるようにするから」


 再びキスをした後、海斗は時折キスをして愛奈と一緒にアニメを見た。

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