テスト終了後デート
「海斗くんとデート~」
テストが全部終わり、海斗と愛奈は制服のまま駅前に来ていた。
テスト頑張ったということで、二人で打ち上げをしようということになったのだ。
「カラオケなんて何年ぶりだろうか」
行こうとしているとこはカラオケで、個室にドリンクバーがあるし、学生が打ち上げをするのには持ってこいの場所だろう。
それにカラオケは他の人に見られることがほとんどないため、人の苦手な海斗でも問題ない。
ただ、ヒトカラなんてする勇気がないので、今まで片手で数えるくらいしか行ったことがないのだ。
「行ったことあるの? 誰と?」
少しだけ愛奈の瞳から光がなくなっており、誰と行ったか気になっているのだろう。
もし、女の人と二人で行っていたしたら、愛奈にとっては嫌なことのはずだから。
「姉ちゃんに付き合わされただけだな。アニソンばっか歌ってた」
家族とだとわかったからか、愛奈は「良かった」と一安心したよう瞳に光が戻る。
夏希のアニメ好きは相当で、アニソンしか歌っていなかった。
しかもほとんどマイクを独占し、一人でリサイタルしていたみたいだった印象が残っている。
どこぞのアニメに出てくるガキ大将のように音痴じゃなかっただけマシだったが。
「俺が虐められて休日は引きこもってたから姉ちゃんがカラオケとかに連れてってくれた」
夏希は可愛い女の子が好きではあるが若干ブラコンが入っているように思え、かなり海斗を心配していた。
「そっか。お姉さん海斗くん思いなんだね」
「感謝しているとこはあるんだが、あの性格だからお礼を言う気になれない」
納得したかのように、愛奈は「ああ~……」頷く。
変態すぎる夏希に愛奈もドン引きしていたし、あんな風に迫られるのは嫌だろう。
普通に接していたら愛奈に好かれて一緒に買い物とかに行けた可能性もあるのに……なんてことも思うが、海斗は口にしなかった。
愛奈自身は海斗の側にずっといたいと思っているようだし、行くとしても三人でになるだろ。
もし、愛奈と一緒に出掛けようと夏希に誘ったら、仕事をサボってでも遊び来そうだ。
流石にサボらせるわけにはいかないので、遊びに誘うことはほとんどないだろう。
愛奈が夏希と仲良くしたいと思っているなら別だが、今の様子を見る限りではあり得ない。
「じゃあ入ろうか」
「うん」
二人は手を繋ぎながら仲良くカラオケ屋に入っていくのだった。
☆ ☆ ☆
「愛奈って何歌うの?」
ドリンク持って部屋に入り、海斗は愛奈に尋ねた。
前回はカラオケじゃなかったし、そもそも愛奈の趣味を全くと言っていいほど知らない。
基本的に愛奈は海斗のために尽くしてくれるし、それに関して文句はないが、ここらで趣味とか聞いておくのも良いだろう。
「JーPOPがメインだよ。海斗くんが好きな曲歌えるかわからないけど。海斗くんは?」
マイクとデンモクを取り出し、愛奈はそう答えて質問をする。
もしかしたらこのカラオケで海斗が好きな曲を把握し、自分も聞くのかもしれない。
それで今度行った時に披露したいのだろう。
「俺はアニソンだな」
ラノベ好きな海斗はもちろんアニソンを聞く。
むしろアニソン以外はほとんど聞かない言ってもいいくらいで、最近流行っている曲なんかはわからない。
学校で何とか坂の曲を聞くとクラスメイトが言っていたのが耳に入ったが、海斗は一曲たりとも知らないのだ。
「そっか。歌う前に充電」
愛奈はマイクをテーブルに置き、海斗にくっついてくる。
いつものように胸に顔をうずめ、愛奈は海斗の温もりと味わっているのだろう。
素直に甘えてくる愛奈は凄く可愛く思え、ずっとこのままでも良いくらいだ。
そう思っている辺り、海斗も愛奈のことを好きになりかけているのかもしれない。
「海斗くんのことが好きすぎるよぉ~」
甘えたような猫撫声を出し、愛奈は頬ずりをして甘えまくってくる。
この先もいっぱい甘えてくることだろう。
「歌わないのか?」
「もう少し……」
歌いたい気持ちより、イチャイチャしていたいようだ。
海斗が「歌わないの?」聞くと、愛奈は「もう少し……」と言ってほとんと歌わないのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。