テスト当日の朝
「うう~、また途中で記憶なっくなってる」
テスト当日の朝、海斗は愛奈と手を繋ぎながら一緒に学校へ向かっている最中だ。
昨日は勉強した後からの記憶なくなり、何故だかいつの間にか朝になっていた。
以前のようなダルさはないものの、途中で記憶がなくなるのは怖いものだ。
「勉強頑張ってたから途中で寝ちゃったんだよ」
「そうなのか?」
「うん」
今まで勉強をしている最中に寝落ちなんて経験がないにで不思議な感じがするし、愛奈は何か誤魔化しているかのように思える。
でも、大したことでなさそうなので、海斗は特に何か言うことはなかった。
寝落ちした愛奈と一緒に暮らすようになってから疲れがたまってきているからなのだろうか?
いつも一人でいたし、愛奈と一緒になって気づかない内に疲れていたとしても不思議ではない。
「寝落ちしちゃっても、勉強はしたんだから大丈夫だよ」
「そうだな」
今回は愛奈に勉強を見てもらったので、赤点を取ることなんてほぼないだろう。
二年生になって最初のテストであるが、授業は理解出来ていたし大丈夫だ。
「にしても注目されるな」
学校に近づくにつれて同じ学校の生徒が増えていくため、男子は海斗たちのことを見る。
ここ数日で学園のアイドルである愛奈に彼氏が出来たと一気に広まったらしく、「噂は本当だったんだああぁ」と嘆いている男子までいるくらいだ。
ラノベのように学校一の美少女を彼女にした彼氏に訪れる宿命なのかもしれない。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
周囲からの視線になれていないため、見られると海斗は愛奈のことを抱き締めてしまう。
イチャイチャして周りにこれ以上見てられないと思わせるようにする。
つまりは外ではほとんどくっついているということだ。
愛奈の髪は本人が望んでなくとも目立ってしまうのだから。
「私がいるからいっぱいくっついて良いよ」
「ああ」
むぎゅーと言わんばかりの勢いで力を入れて抱き締める。
これだけで折れてしまうんじゃないとか思えるくらいに華奢な体躯である愛奈だが、人の身体はそんな柔ではないらしい。
それどころかとても柔らかい感触が身体を包み込み、別の意味でも離れたくなくなってしまう。
思春期男子からしたら愛奈の身体は欲望の塊だ。
好きにしてみたいと思う男子は多いだろうが、今の愛奈は全て海斗のものになっている。
海斗以外の男子に触れられることを許しはしないだろう。
「愛奈、離れないで」
「うん。ずっと海斗くんの側にいるよ」
いっぱい抱き締め、海斗は愛奈の感触を味わっていく。
「これじゃあ学校に着くのギリギリになるな」
抱き合っていてはまともに歩くことなんて出来るわけがない。
「大丈夫だよ。勉強もしたし、テストで赤点を取ることなんてないから」
「そうだな」
おでこをくっつけ合っているため、もう誰もがバカップルとしか思っていないだろう。
イチャイチャすることで嫉妬の視線は突き刺さるが、何か言われるよりかはマシだ。
そうしていれば見ていられなくなるのか、すぐに視線をそらしてどこかに行く。
つまりは最初だけ我慢すればいいのだ。
「海斗くん、愛してる」
「ありがとう」
しばらく見つめ合いながらおでこをくっつけあっていた。
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