一緒に寝る
「本当に俺の服で良いのか?」
お風呂から上がった後、愛奈が着た服は海斗のティーシャツだ。
体格差があるため、かなりブカブカだ。
「うん。彼シャツってやつだね。もしかして裸が良かった?」
「いや」
即答で否定する。
全く興味がないわけではないが、今は興奮してしまっては困るのだ。
隣の部屋には夏希がおり、間違いなく聞き耳を立てているだろう。
そんな状態で興奮するわけにもいかず、してもイチャイチャやキス止まりだ。
初日だし、これでもかなり進んでいる方だろう。
愛奈はもっとしたいという顔をしているが。
何年も前から想い続けていたのだし、愛奈からしたら早く全てを捧げたいのだろう。
「流石にそろそろ限界に近いな。眠い」
「そうだね」
二人揃って欠伸をする。
夏希のおかげで一時的に眠気はなくなったもの、今の二人はすぐにでも寝てしまいそうだ。
「寝る?」
「ううん、もう少し起きてるよ。寝たら海斗くんの感触を感じられなくなっちゃうから。ずっとくっついていないな」
甘い言葉を猫撫声で愛奈は囁く。
ようやく一緒にいれるようになったのだし、沢山甘えたいということだ。
「そうか」
何て返したらいいかわからず、素っ気ない返事になってしまう。
愛奈がまだ起きている言った以上、彼氏である海斗も寝ない方が良いかもしれない。
もちろん寝たいって言えば寝させてくれるだろうが、一人で寝るのは悪い気がした。
「海斗くんは先に寝ていいよ? 凄い眠そうだし」
「まあ、その内寝落ちするとは思う」
恐らく今日も愛奈を抱き締めないと寝れない。
だから抱き締めなければ良いのだが、本能が睡眠を求めてしまっているかのように海斗は愛奈をベッドに連れていく。
そして横になってすぐに愛奈のことを抱き締める。
柔らかい感触、甘い匂いが昨日より感じられ、海斗の脳を刺激される。
ボッチの海斗は女性に慣れておらず、ラノベを読んでる時みたいに頭の中で色々と想像してしまう。
文章だけのラノベは場面を想像しなければいけないので、海斗の妄想力は他の人より凄い。
ラノベキャラであんなことやこんなことの妄想を良くしていた。
いっぱい妄想してきた海斗であるが、今はその妄想を現実にすることが可能だ。
海斗のお願いであれば愛奈は何でも言うことを聞くのだから。
「海斗くん、顔が赤いです」
「しょうがないだろ。昨日は無意識だったし、自分の意思でやるのは初めてだ」
「そうだね。海斗くんから抱き締めてくれて幸せだよ」
幸せを噛み締めるかのように、愛奈は海斗の胸に顔をうずめる。
どうやらこれが好きらしく、胸板の固い感触と匂いを味わっているようだ。
若干鼻息が荒くなっているのはあえてスルーするべきだろう。
「俺も胸に顔をうずめても良いんだろうか?」
ボッチといえど思春期男子であることに変わりないので、もちろん異性の身体に興味はある。
ラノベなのでラッキースケベイベントがあるが、何で主人公は興奮しないんだろう? と不思議に思う時が多々あるのだ。
してしまったら十八禁になってしまうからと言われたら元の子もないかもしれないが、普通の思春期男子だったら据え膳はいただくだろう。
だけど今日だけは変態な姉である夏希がいるから興奮するわけにはいかない。
「良いよ? 海斗くんが望むことは何でもしてあげたい」
胸板にうずめさせていた顔をヒョコっと出し、上目遣いでそう言ってくる。
あり得ないほど可愛く、二次元のような容姿をもつ愛奈に少しだけ海斗は悶えそうになってしまう。
アニメで上目遣いの女の子は良く見たが、実際に目の前でやられると可愛すぎると思わずにいられない。
「今日は止めとく」
歯止めが聞かなくなってしまったら、聞き耳を立てているであろう夏希にからかられてしまう。
そもそも明日には帰ってくれるのだろうか?
愛奈ちゃんとガールズトークしたいわなどと言って日曜までいる可能性が大きいかもしれない。
ウザったい夏希をどうにかしたいが、すぐに帰ってくれるなら苦労しないだろう。
「してもいいのに」
不満なのか、愛奈か「むう……」と頬を膨らます。
「眠いのに興奮して意味不明になりそう」
「興奮してくれるの?」
「するでしょ」
愛奈に興奮しない男は不能だと断言できる。
「今は眠気の方が勝ってるから。おやすみなさい」
「うん。おやすみ」
モフモフ感はなかったが、寝ようと思った瞬間に海斗は夢の中へと入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。