恋愛よりも友情


晴翔くん、私にパワーをくださいっ!

バックについたネクネコのパスケースを握りしめ、念じながら教室に入った。


4月。新しい自分になれるかもしれないという期待と友達ができなかったらどうしようという不安が混ざり合う季節。

名簿番号を確認して、自分の席につく。

席近い子に声かけようかな…そんな風に悩んでいると後ろからツンツンとされた。

振り返ると

「ねぇねぇ、カバンについてるのってネクネコだよね?」

「えっ?! そうそう!」

「黄色ってことは晴翔くん?」

「そうなの! えっと…」

「あっ、植木えまです。突然ごめんね。私もNEXTのファンだから、テンション上がって声かけちゃった。ちなみに私は颯太くんね。」

「えまちゃん!! 全然、私人見知りだから声かけてもらって嬉しい! 颯太くんかぁ〜いかつい感じなのに、おちゃめなギャップがいいよね。」

晴翔くんパワーのおかげでえまちゃんという新しい友達ができた!

晴翔くん! ありがとう!!


「ねぇねぇ結、今度のライブ絶対一緒に行こうね!」

「当たり前じゃん!」

私たちはとっても仲良くなった。



帰り道、ファストフード店でハンバーガーを食べていると

「結、あのね。実は次のライブ彼氏と行こうと思ってるんだよね」

ーえっ、一緒に行こうって約束したじゃん

「結、ごめんね。」

「うぅん。そうだよね。全然。行ってきなよ。」


あーあ、NEXTのライブ一緒に行きたかったなぁ…



ライブ1週間前。

結局私は今まで通り、親と一緒に行くことにした。

突然、スマホが鳴った。

「ゆぃぃ〜」

電話の先のえまは泣いていて

「えっ?!どうした?」

「じづは、がれしにふられだぁぁ」

「えっ?! なんで??」

「なんか、ずぎなこがでぎだらしぐて…うぇーーーん」

「まじか、ありえん伊月。もう、こうなったら、NEXTのライブいって、パッと盛り上がろ!!」

「えっ、でも…」

「だから、一緒に行くの!!」

「ごめん、ゆぃぃ〜」

「もう、泣かないの! やっぱり彼氏より親友とNEXTでしょっっ!」

「結、大好きっ」


そして、今まで以上に仲良しになりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る