#推しのいる生活

えりぶー

Stupid

「ラジオネーム真っ赤なブレスレットさん。NEXTのみなさん、こんばんは。」

「こんばんは〜」

「いつも、楽しくNEXTALK聞かせてもらってます。突然なのですが、NEXTのみなさんにお礼が言いたくて、お便り書かせていただきました。実は、NEXTのファン同士ということがきっかけで交際に発展し、今度その人と結婚することになりました。素敵な人に出会わせてくれてありがとうございます。

いや、おめでとうございます〜」


そうか、結婚するのか。ラジオを通じて、あいつの結婚を知るなんてな…



大学3年生の春、彼女と出会った。

ゼミの内容についての説明に飽きてきた俺は、ふと目線を斜め前に移した。

もしかして、この子

「なぁなぁ、誰推しなの?」

教授にバレないように小さい声で話しかけたら、びっくりしたような顔で彼女は振り返り、小さい声で答えた。

「えっ?! 湊だけど。もしかして、NEXTの…?」

「俺も好きなんだよ、ちなみに俺は悠斗推し。今度のライブ行く?」

「あ〜チケット取れなかったんだよね…」

「えっ、マジで? 俺2枚チケットあるから一緒に行く?」

「えっ?! いいの? 行きたい!!! ね、ね、LINE交換しよ」


NEXTの話をするうちに仲良くなって、俺たちは付き合うようになった。

付き合った最初の誕生日、彼女に真っ赤なブレスレットをプレゼントしたら、とっても喜んでくれた。

彼女がもし、NEXTALKにメッセージ送るなら、真っ赤なブレスレットにしようと言ったから、単純だなって照れ隠しの返事をした。


大学を卒業し、就職を機に俺は上京した。彼女は地元で就職をしたため、俺たちは遠距離になった。

仕事に慣れることに精一杯だった俺は、彼女からの連絡にも返信できないことが続いた。


そんなある日、彼女は突然俺に会いにきた。

「どうした? とりあえず、入れよ。」

「うん…」


「…突然ごめんね。会いたくなって、来ちゃったんだ。」

「いや、こっちこそ最近忙しくて連絡できなくてごめんな。今日とまってくだろ?腹へってるならピザでも頼もうか?」

「…いいね!」


次の日の朝、俺が起きると彼女はいなかった。

ー私たち、別れましょう

手紙と共に、真っ赤なブレスレットがベットサイドに置かれていた。

俺は追いかけなかった…



♪〜「今週のNEXTALKいかがだったでしょうか?NEXTALKでは、みなさんからのメッセージをお待ちしております。NEXTへの疑問、質問なんでもオッケーです。」

「Noメッセージ、NoNEXTALK」

「これまでのお相手はNEXTの黒川湊と」

「上田悠斗でした」♪〜


ーピーンポーン

久しぶりにピザが食べたくなって注文したのだが

付き合っていた頃の癖で彼女といつも注文していたマルゲリータのLサイズを注文していた

「大きすぎるだろ…」そう呟くと、涙がこぼれた。



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