どん底
「最悪........」
私の気分はもうどん底であった。優吾くんに頼って蒼空に........いいえ、あの女に復讐してやろうと思ったことに後悔はしていない。優吾くんに対してもいつかは裏切られるような気はしていた。だから私は裏切られる前に彼の前から消えるつもりだった。あの女に復讐さえ済めば。
「それなのに........」
私は復讐のためには何でもする覚悟があった。だから私は、優吾くんに自分の体を差し出した。それが彼の提示した条件だったから。正直何度も吐きそうだった。それでもあの女に復讐するためならと思っていた。それでも結果は復讐も出来ず彼には裏切られてしまった。
「どうして私ばかり........私は幸せになっちゃいけないの!? これ以上なにを差し出せって言うのよ!!」
私は遂に耐えることが出来なくて誰もいない公園で泣き叫んでしまう。私が優吾くんから逃げるように走り出して辿り着いた場所は奇しくも蒼空を絶望に叩き落とした公園であった。
「はぁはぁ........。こうなったら私一人でもやってやる........絶対に復讐してやるんだから........」
私が新たな決意を胸に家へと帰ろうと帰路についてすぐのことであった。
「蒼空! 遅いよ! 早く!」
「お前と俺の体力を一緒にすんじゃねぇよ........これでもこっちは必死なんだよ........」
「もう! 蒼空がそんなだから見失っちゃったじゃない!」
「はぁはぁ........それは悪いとは思うけど........」
どうしてあいつらがここにいるの? 神様は私を馬鹿にしているの? この惨めな私にまだ惨めになれとでも言うの?
「........ふざけるな」
私はあの二人から逃げるように走り出した。私が心の奥から復讐を望む二人があんなにも楽しそうにしているのを見るだけでも吐きそうだ。いつか絶対に........絶対に........。
⿴⿻⿸
優吾くんに裏切られてから一週間が経過した。私は来る日も来る日もあの二人に復讐する方法を考え続けていた。幸い私には時間があった。今までのように自分のキャラを守るために猫を被ってクラスの人達と話すなんてことはもうしなくていいのだから。誰も私には話しかけてこない。これが今ではクラスでも当然となり、私にとっての日常なのだ。
それでも、復讐する方法なんて思いつなかった。ただただ、時間を浪費していくだけの日々。これじゃあ、今までと何ら変わりない。
「はぁ........」
「ねぇ、宮崎さん。ちょっといい?」
「...............」
どうしてこの女が私に? 私が復讐したいと思っていた涼風いのりが何故か私に話しかけてきた。クラスメイトもこの事に驚いているのか会話をやめてこちらに注目している。それもそうだろう。クラスメイトもみんな私がこの女にしたことを知っているのだから。
「宮崎さん?」
「...............」
「私、宮崎さんに聞きたいことがあるんだけど........」
「答えるつもりなんてないから、どっか行って」
「でも........」
「聞こえなかったの? 私はどっか行ってって言ったの」
「分かった........」
「分かったならどっか行きなさいよ」
分かったと言いながらも何故か私の前から動こうとしない。なんなの? それから立ち去ろうとするも、すぐにやめて私の方と向き合ってくる。
「やっぱりほっとけない」
「何が?」
「宮崎さん一週間前に何かあった?」
「!?」
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