裏切り
「.......え?」
今、私はなんて言われたの? きっと聞き間違いだ。だって優吾くんが私にそんなこと言うなんてあるはずがないのだから.......
「え? じゃねぇよ。知るかって言ったんだよ」
「.......どうして」
「どうしてだって? なんで俺がお前の尻拭いをしてやらないといけねぇんだ?」
「で、でも! 私にアドバイスをしてくれたのは優吾くんじゃない!」
「あぁ? 俺のしたアトバイスを日和って受け入れなかったのは誰だ?」
「それは.......」
「俺は最初から言ってたよな? やるからには徹底的につぶせって?」
全て優吾くんの言う通りだ.......。私は蒼空達を陥れるために優吾くんにアドバイスを貰っていた。でも、優吾くんのアドバイスは過激すぎたのだ。私はみはるの仇である涼風さえ潰せれば良かった。でも、優吾くんのやり方だと他の人にも迷惑がかかるものばかりだった。
蒼空と付き合って捨てるといったのも優吾くんの言う通りにしたけど、蒼空のあの絶望した顔には正直言って心が苦しかった。別に蒼空自身は私の復習には関係の無い相手だったのだから。それからも優吾くんは蒼空を虐めるように言ってきたけど私はそれをしなかった。その私の甘さが今の現状だ。
「ごめん.......」
「分かったならさっさと帰れ」
「お願い優吾くん! 私にもう一度だけチャンスを」
「断る」
「!?」
「というか、お前はもう詰んでるんだよ」
「.......は?」
もう詰んでる? 誰が? 私が? 確かに学校での地位はドン底に落ちた.......けど、私には優吾くんがいる。
「確かに学校ではもうダメかもしれないけど.......優吾くんがいるじゃない!」
「その俺にもお前はもう見放されたってことだよ」
優吾くんがそう言うと優吾くんの周りにいた取り巻き達が笑い始める。だけど、そんな笑い声が私の耳には入らないくらいに私の頭の中は真っ白になってしまっていた。
「じょ、冗談だよね.......?」
「おいおい。この期に及んでそれはねぇだろ」
「それはどういう意味なの.......?」
「そのまんまだよ。あと、柚希。そろそろお前うざいぞ?」
「.......ごめん」
「分かったらもう帰れよ。お前は俺の彼女でも何でも無いんだからよ」
優吾くんの言う通り私達は本当は付き合ったりなんてしていない。私は優吾くんに近づいたのは私の住む地域で一番の切れ者であり、最悪の存在として恐れられていたのが優吾くんだった。私は私の復讐のために優吾くんに近づいた。そして、私は優吾くんの協力を得るために優吾くんの条件を飲んだ。私は優吾くんに自分の体を差し出したのだ。そこまでして、結果はこれだ。
「分かった.......。もういい。あとはもう私一人でやる」
「あぁ、そうしてくれ」
「.......さようなら」
「あっ、柚希」
「.......なに?」
「また俺に抱かれたくなったらその時はいつでも来てくれて構わないぜ?」
「.......ッ!?」
「お前、顔だけは俺の好みだからな。性格なんかは最悪だけどよ」
そう言って優吾くんは取り巻き達と一緒に高笑いを上げている。
「最低.......」
「そりゃ最高の褒め言葉だ。俺がそういう奴だからこそお前も俺を頼ってきたんだろ?」
私は何も言い返せなかった。目から溢れそうになる涙をなんとか堪えながら私はこの場を後にする。後ろからはずっと笑い声が聞こえてくるのが無性に悔しい。
「.......蒼空もこんな気持ちだったのかな」
私の脳裏には蒼空を公園で捨てた日がフラッシュバックしていた。そして、私はあの時の蒼空に自分を重ねるようにして走り去るのだった。
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