浮気した彼女を見返すために、幼馴染と幸せになります

第13話 次の目標

　俺は今日も今日とて学校に行くべくマンションの下に降りていくとそこにはいつも通りいのりが俺を待っていた。いつもと違うとすれば何故かいのりは仁王立ちで俺を待っていた。

「お待たせしました！　次の目標の発表です！」

「あぁ、そういえば目標とかあったな」

「忘れてたの！？」

　俺のイメチェンからは早くも1週間が経過していた。さすがに1週間もするも注目を浴びることは減ったけど、同じクラスの人っていうより他クラスの人達からチラチラと視線を向けられることが増えたようなそんなことも無いような.......。あっ、もちろん毎日ちゃんとヘアセットはするようにしている。

「それで？　今回の目標とやらは何なんだ？」

「それはね.......私と実は今付き合っているってことをバレないようにすること！」

「.............は？」

　そんな簡単なことでいいのか？　というか、それに何の意味があるんだ？　バレないようにするって言っても俺が誰にも言わなければいいだけじゃないのか？　いのりが自分から暴露していくのを止めろとかだったら果てしなく不可能に近いけど.......

「いのりが自分から周りに広めるのを止めろとかそういうことか？」

「私は何もしないよ」

「？　なら、俺が何も言わなければいいだけだろ？　これに何の意味があるんだ？」

「意味はあるよ。でも、それは私の口からは言えない」

　ますます意味が分からん。意味はある。けど、いのりの口からは言えない？　なぜ言わないじゃなくて言えないなのだろうか？　まぁ、別に言葉の意味としては同じようなものだし言い方の問題ってだけなのか？　まっ、いのりが意味のあることだって言うなら今は大人しく従うとしますか。

「それで？　期限とかはあるのか？」

「期限かぁ.......そうだねぇ.......今はまだ未定ってことで！」

「なんか、今回の目標はあやふやな点が多いな.......」

「前回のはチュートリアルってことで分かりやすくしてあげたってことだよ！　やっぱり人間たるもの人に聞いてばかりじゃなくて物事は自分で考えないとね！」

　自分で考えると言っても何から考えたらいいんだか。期限は未定ってことは今すぐどうこうっていう話ではないだろうし、のんびり考えていくとしますかね。

　それから俺といのりはいつも通り学校に向かって歩いていく。柚希に浮気されて何故かいのりと付き合うようになってから何だかんだ毎日一緒に登校しているんだよな。なんだか、少しずつ昔に戻っていってるような気さえする。日が進む事に昔を感じるっているのは変な気分だ。

「2人ともおっはよう！　今日もいい天気だねぇ！」

「おはよう光莉」

「おはよ」

　そしてもう1つここ最近で変わったことといえば瑠川さんが毎朝教室に入るとこうして挨拶をしてくれるようになった。あと、お昼休みも中庭で一緒にお昼ご飯を食べるようになったこともだろうか？　とにかく、この人との関わりが増えたのだ。

「今日も朝からお熱いですねぇ～。今日も今日とて2人で一緒に登校だなんて実は幼馴染の関係を超えてたりするんじゃないですかぁ～」

「もぉ何言ってんの？　蒼空とはただの幼馴染だよ。ねっ？」

「あ、あぁ。いのりとはただの幼馴染だよ」

　やっべぇ.......心臓が止まるかと思った.......。なんてタイムリーな発言をしてくれるんだ.......。けど、そっか。いのりと付き合っていることがバレないようにするってことは、こういったところにも気を付けないといけないのか.......。せっかくまた一緒に登下校をするようにもなってきたけど、今回の目標がある限りはそれも控えたの方がいいのだろうか？　幼馴染なら別に問題ないような気もするけど.......分からん。

「ふぅん。まっ、彼女でも幼馴染でも私としてはどっちでもいいけどいのりが困ってたらちゃんと助けてあげるんだぞ！」

「大丈夫だよ！　普段はこんな蒼空でもいざという時は頼りになることを私は知ってるからね！」

「いのりには助けられることの方が多いのもまた事実なんだけどな」

「あはは。本当にね！」

　本当にいのりには助けられてばかりだと思う。今も現在進行形で助けられているようなものだしな。本当にあの日、偶然とは言えいのりがマンションの下にいてくれなかったら俺は今頃自暴自棄に走っていただろうからな.......。この恩はいつか返さないとな。

「おーい、蒼空いるか？」

　俺がいのりと瑠川さんと話していると教室のドアの方から俺を呼ぶ声が聞こえる。そっちの方を見てみるとイケメンがいたので俺はそっと耳にイヤホンを付けていのりと瑠川さんから離れて自分の席に座るのだった。