第4話 見える世界は戸惑いばかり

「どこで食べよっか。昨日と同じ所で食べる?」

「それでも良いけど……」

 ガヤガヤと騒がしい街中をクルミから離れて歩くリコ。あっちこっちとお店を見渡して忙しそうにしている。その二人の大分後ろで、モモカと手を繋いで歩いているミクが、キョロキョロと町を見渡して、少しずつ歩く速度が遅くなっていた

「落ち着かないね。どうしたの?」

 ミクの様子に気づいたリコが声をかけると、モモカの手を強くつかんで、少しうつ向いて話はじめた

「あの……えっと……。初めて見るものばかりで……」

 少しずつ小さくなってく声と話す内容に、顔を見合わせるリコ達。しばらく沈黙が流れるとミクの視線に合わせるように、少し屈むとミクの頭を撫でたリコ

「噂では、ほとんど家の周りしか外に出してないって言ってたけど……。本当だったんだね」

「大丈夫?ゴメンね。無理矢理連れてきて不安だろうけど、私達と一緒にいたほうが安全だから……」

 モモカが話しかけると、小さく頷いて、またうつ向いたミク。モモカの背中に隠れて、動かなくなってしまった


「やっぱ戻って食堂で食べる?」

 立ち上がりクルミに話しかけるリコ。モモカと顔を見合わせて、どうしようかと悩んでいると、人混みに戸惑っているミクを見て、ため息混じりに頷いた

「そうしようか。ミクちゃんが疲れすぎちゃうのもよくないし」

「ゴメンね。帰ろっか」

 リコの言葉に頷いて、歩いてきた道を戻るミク達。またキョロキョロと街中を見渡し、落ち着かないミクを囲うように、施設へと帰っていった



「あの……すみません……。ここはどこなんですか?」

 施設に着くと、最初に来た時とは違う知らない廊下をついて歩くミク。手を繋いでいたモモカに聞いたつもりが、話をしながら先に進んでたリコとクルミにも聞こえたのか、足を止めミクの方に振り向いた

「えっ?その話しもしてなかったの?」

 ミクの言葉に驚いて、クルミが隣にいたリコに問いかける

「うん。お腹すいたから、話しはご飯食べてからにしようって思ったから」

「そりゃずっと、怯えてるわけだよ……」

 リコの返事を聞いて、クルミがはぁ。とため息つくと、笑ってごまかそうとするリコを残して、ミクの所にクルミが戻ってきた

「仕方ないか。ご飯食べながらゆっくり話そう。知りたいことは、なるべく教えるから、ねっ」

 クルミがミクの頭を撫でて微笑むと、小さく頷いたミク。少しだけ緊張感が解れた時、リコの大声が廊下に響いた


「やった!今日はハンバーグ定食があるよ!ミク、一緒に食べよう!」

 と言うなり、ミク達の所に戻ってくると、ミクの手を引っ張っり、そのままミクと一緒に走って施設の食堂に入っていったリコ。あっという間の出来事にモモカとクルミが、ぼう然と二人の後ろ姿を見ていた

「緊張感がないわね……。それがリコの良い所だけど……」

 苦笑いで話すクルミに、モモカもつられて微笑むと、クルミに話しかけながら、二人が入っていった食堂へと歩いていく

「そうね。それより私達も早くご飯食べて、あの子から話し聞きましょ」

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