淡い木陰色の君




さわさわと木の葉が揺れる




秋が来る と 眉を顰めた君の

寂しくて切なげな表情を思い出す



さようならも言わずに

ただ 笑みを残して去った

君の声が聞こえた

 気がした




最後に零れた

あれは あれは 涙だった

ひとしずく

きらりと輝いて つうっと落ちて ころりと転がった

それは それは 透明なビー玉

 ラムネの瓶の中に閉じ込めていた

            想い出の中に閉じ込めた

透明なこえ 影のかたち そればかり




まだここにある

忘れない

ずっと大切だ

どんな石よりも綺麗で 欠けがえのない 世界にひとつの


わたしのたからもの

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幻視。かつて、確かにそこに在ったもの。 澄乎 @stranger_

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