ブラックマンデーとアウスグライヒ

1936年2月3日 ドイツ帝国 ベルリン証券取引所

 「た、大変です!株価が急に暴落し始めました!!」

 「な、何だと!取り敢えずすぐに閉鎖をしろ!」

 この日、ベルリン証券取引所は大暴落を起こし、市場は閉鎖された。その日から、ドイツ帝国の覇権は急速に崩壊し始めた。その余波は全世界へと広がった。しかし、その波を避けられた国があった。イタリアなどの社会主義国家である。彼らは資本主義国家と隔離された経済体制によって、各国が経済崩壊に苦しむ中、成長を遂げていった。

 一方、この影響をモロに受けてしまったオーストリアでは社会福祉の拡大を掲げる社会民主党(SDAP)が勢力を急速に拡大していった。また、この混乱に目を付けたセルビアがオーストリアの属国のイリュリアが統治するモンテネグロを占領してしまった。

 そんな最中、キリスト教社会党(CS)が狩猟会を開催し、それに皇太子であるオットーを招待した。しかし、その狩猟会で事件は起きる。なんとCS党員の息子が使っていた銃が突然暴発。発射された弾は皇太子の足をかすめるということが起きた。これが原因でCSの支持率は急落。同年に行われた選挙ではSDAPが大勝した。

 

1937年4月某日 ウィーン アウスグライヒ会場

 オーストリア代表A「えーそれでは、これより、アウスグライヒを開始します。よろしくお願いします。」

 その他「よろしくお願いします。」

 ハンガリー代表団B「……さてと、早速ですが、直球に言います。我々はオーストリア・ハンガリー帝国を誇りに思ってはならないのでしょうか?今ウィーンに住んでいるその人物は既に完璧であるものを変えてしまおうとする努力を何十年にもわたって続けています。私はオーストリアと、そしてハンガリーは、ともに世界の将来において役割を果たすことが出来ると確信おります。共にオーストリア・ハンガリーを再び偉大な存在へと変えていこうではありませんか。」

 墺代表団「…」

 その他「…」

 ……静寂だけが支配する会場。しばらくの沈黙の後、オーストリア代表団がその発言をしたハンガリー代表団に対してこういった。

 墺代表団「君は我らがカイザーを否定するというのか?話にならんな。警備兵!そいつを連れ出せ!」

 警備兵「はっ!」

 ハンガリー代表B「え、ちょ、やめ…」

 ハンガリー代表C「やれやれ、だから、もっと慎重になれといったのに…あ。そうだった。この会議の目的に移りましょう。我々は数年前にイリュリアからクロアチアを奪われた。我々はイリュリアに対して、それなりの賠償を要求したが、彼らは応じようとしなかった。今回こそ、ちゃんとけじめをつけてもらおう。」

 イリュリア代表「ふざけるな!そもそも、あれはお前たちがまともな統治をおこなわなかったから起きたんだろ!」

 オーストリア代表「まあまあ、二人とも、落ち着きたまえ。ここは我々の財源から出しましょう。」

 ハンガリー代表「まあ…私個人としては同意できますが…国民がどう出るかはわかりません。」

 イリュリア代表「我々が支払わなくてもよいのなら…」

 イリュリア問題は一応の形で解決した。次は民族問題だ。

 チェコ代表&スロバキア代表「我々はスロバキアの自治権拡大を要求する。」

 オーストリア代表「分かった。そのようになるだろう…」

 ハンガリー代表「はあ。これ以上我々に圧力を掛けるというのなら、もう我々はあなた方に協力しない。」

 そう言うと、ハンガリー代表は退席した。

 

 もう疲れたから急ぎ足

 ポーランド代表「俺たちの国を保護国にしてくれねえか?」

 オーストリア代表「いいよ。」

 ルテニア代表「カルパティアの一部俺たちにくれねえか?」

 オーストリア代表「いいよ。」

 イリュリア代表「バチュカ盆地くれないか?」

 オーストリア代表「どうせならバチュカ全土持ってけよ。」

 ルーマニア代表「トランシルヴァニア独立させて」

 オーストリア代表「いいよ。」

 

 今回のアウスグライヒはハンガリーいじめみたいな結果になった。

 

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