僕でも知っているある噂
頭が真っ白になる。
さっきも言った通り、確かに僕には姉がいる。
福島
卒業後も学校OBとして、何度かここに帰ってくることがある。
僕とは正反対の性格で、陽気で人懐っこく
当然のように男子、女子それぞれから人気がある。
寺田先輩も姉のことを知っているのも納得がいく。
だが、僕の能力を知っているのは、今では僕の家族だけだ。
そして、僕の力については絶対他言禁止となっている。
当然、姉がわざとバラすわけがない。
「さあ、人違いじゃないでしょうか?『能力』って何のことですか?
早く帰らないといけないのでそれでは。」
とっさにしらを切ったが、心の中では動揺を隠せない。
カバンを持って急いで逃げ出そうとした。
しかし、追い打ちをかけるかのように
「キミ、嘘つくの下手すぎるよ。」
とクスクスと笑いながらドアにもたれて腕組をする先輩。
どうやら、逃げることはできないようだ。
流石に女子相手に力尽くで振り切ることはできるだろうが、何せ相手が悪い。
そう相手は・・・
「そんなにおびえなくていいよ。やっぱり、あの噂って結構広まってるんだね。
私がビッチって噂・・・」
そう、寺田リノは学校トップの美少女と共に、
学校一のビッチだと言われているらしい。
なんでも、付き合った男子は五万といて、それに誰とも別れていない。
『そして告白したら必ずOKしてくれる人』としても有名だ。
それでも、本人の性格と全く違うからか信憑性はかなり低いからか、
確実に誰かとヤッたという事実こそはないが、噂が広まった時点で負けなのだ。
真実であろうが無かろうが、その時点でその人の価値が決定される。
ラベル世界の完成だ。
実際の目で見たわけでもないのに噂が広まる様子は、まるで滑稽にしか
見えない。それでも人々は可能な限りの妄想を使って、ありもしない
虚無のラベルを張り、貼られる。
そのせいもあってか女子からの人気は最悪に近い。
自分の彼氏がとられないか心配だ、とか、調子に乗ってるだけ、と
会話しているのが聞こえてくる。
正直言って、ただの嫉妬だ。
それを聞いているとき、僕はかわいそうだと思った。
「まあ、有名ですからね。でも、そんなことはないと思いますよ。」
しかしながら、口ではこういっているが、僕の中での『寺田リノ』というラベルも
世間と結局は同じなのだ。
見えるところにいるのが悪い、目立つのが悪い、そう判決が下される。
だから、僕はこの人と関わりたくない。
至極真っ当な判断だろう。
そもそも人と交わることを嫌う性格なのに、その上
面倒な噂まで立てられるなんて正直御免だ。
「まあ、みんなそう言ってくれるんだけどね・・・
みんな世渡り上手なんだね。」
どうしてか、最後に言った言葉には、どこか寂しさが含まれる。
何故か、胸の中にモヤモヤとしたものがこびりついている。
「まあいいや。それでキミの、この話は本当なのかい?」
「知って何になるっていうんですか?脅しでもするんですか?」
「そうだなぁ・・・それもアリかな?」
そう言うと、さっきまでよりも、僕たちの距離が突然近くなった。
先輩がこっちに向かってくる。
咄嗟に避けようと横へ逃げる。が、一歩の差が大きすぎる。
すぐに捕まった。
そう言えばこの人、バスケ部だっけ?勝てるわけないよ・・・
「ちょっ、待ってくれ・・・いったん落ち着こう」
「ダメだよ、キミ、暴れちゃったら・・・
この部屋、後で掃除しなきゃいけなくなるかもしれないんだゾ☆彡」
一応じたばたするも抵抗する甲斐もむなしく、机の上で
完全に羽交い絞めにされてしまった。
このまま何をするんだ?
と思った、先輩はポケットから素早くスマホを取り出して・・・
えっ・・・スマホ・・・?
パシャ
フラッシュと共に、自撮り写真を撮られた。
「うん、これでよし」
そして僕の方に振り返ってこういってきた。
「この写真、ばらまかれたくなかったら言うこと聞いて。」
夕焼けをバックにした写真は、教室のものと分かる机や椅子と共に、
僕と、ブラウスの上のボタンが2、3個開いている先輩が頬を赤らませている
物だった。 これは誰が見てもマズイ。
背景が『教室』という背徳感を生み出してるせいで、よりいかがわしく見える。
これは、反則だろ・・・
終わった。俺の静かな学校生活が・・・
と同時に、案外悪くない写真だなと変なところで感心してしまったのだった。
オトコナンテソンナモノサ
あとがき
なんだかんだで書ける書ける!!
と思いましたが、誤字ってるの多々あると思います。
何かあれば報告お願いします。
追記 初☆ありがとうございます!!これからも精いっぱい
書けるだけ書こうと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。
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