たそがれ時

 時間はまだ6時過ぎだったこともあり、芽衣の家から出た時、外はまだ明るかった。


 5分くらい歩いた所で、虎が「手を握ってもいいか?」と聞いて、紗矢は何も言わずに手を握ってきた。


 大塚と池袋の間は意外と交通量も少ない道が続く。


 「紗矢」言って、強く手を握る。


 「痛いよ、虎」


 「ああ、ごめん」



 「なにか言いたいことがあるんでしょ?」



 「俺、仲間 紗矢さんのことが好きです、付き合ってください」



 「うん、私で良かったら、いいよ」



 その後、また沈黙が続き、昨日の公園までたどり着いた。



 「紗矢、俺キスとかしたことないけど、してみたい」


 「私もないんだからね、虎」



 たそがれ時、少し先も見えないような時間帯、虎と紗矢の影が一つに重なった。

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Six Distance 神名 信 @Sinkamina

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